石原輝雄のエッセイ「マルセル、きみは寂しそうだ。」─1
『「271」って何んなのよ』
展覧会 キュレトリアル・スタディズ(12)
展覧会 泉/Fountain 1917─2017
展覧会 京都国立近代美術館4階コレクション・ギャラリー
展覧会 2017年4月19日(水)~2018年3月11日(日)
Case-1 マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する。
Case-1 キュレーション 平芳幸浩
Case-1 2017年4月19日(水)~6月11日(日)
---
京近美4階からの眺望:平安神宮大鳥居 (1929年4月10日竣工報告祭)
後方:京都市美術館 (1933年竣工、旧大礼記念京都美術館)
小便器排水口 (TOTO製 京近美1階男子便所内)
---
四次元が時の移ろいの中にあるとしたら、100年を遡り祝う事にも意味があるかも知れない。全国でどれだけ知られているか判りようがないが、京都の国立近代美術館でマルセル・デュシャンが仕掛けた「リチャード・マット事件」の物証と再制作品による展覧会が4月19日から始まっている。事件は年会費と出品料を添えて作品を送れば無条件、無審査で展示するとされた「アメリカ独立美術家協会展」に持ち込まれた男性用小便器が展示拒否されたと云うもので、1917年4月9日に開かれた内覧会から100年を経て、仕掛人の意図やニューヨークのアバンギャルドたちの相関図、その後の美術の歴史に与えた影響について、さまざまな言説が飛び交っている。張本人と目されるデュシャンの身振りについては、深入りしないよう努めながら、京都での1年間に渡る関連企画をレポートしたい。尚、タイトルとした「マルセル、きみは寂しそうだ。」は、最後の晩餐(1968年10月1日)で旧友マン・レイが語りかけた言葉(ニール・ボールドウイン著『マン・レイ』草思社、488頁)。
Case-1 「マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する。」
2017.4.19-6.11
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Fountain(泉)
1917/1964
シュワルツ版ed. 6/8
展覧会に先立つ4月8─9日に美術館でキックオフ・イベントが催された(デュシャンに関連する作品を持つ世界中の美術館が参加し展示拒否から100年を祝賀)。館内のトイレにA3版程度の告知書が貼り出され、忍耐強く読み進めると招待状を受け取る幸運が舞い込む仕掛け---用を足しながら読むとしたら黙読で2分15秒(わたしの場合)---トイレから受付まで、手を洗いハンカチで拭きながら、何人の「リチャード・マット氏」が行き来したのかと想像して、笑った。さり気ない「R.MUTT / 1917」のサインが本物かどうか、手触りで確認した人がいたかも知れないが、石鹸を使わなくちゃいけません(笑)。── として、後日、コレクション・ギャラリーで再製作された男性用小便器と対面した時、工業製品ではなく美術品として「美しく」(デュシャンは意図しないと言うけど)仕上げられ、置かれた便器との隔たり、安全を保証された鑑賞の立ち位置に、「痒い」ものを感じたのは、わたしだけではないだろう。
雑誌『ザ・ブラインド・マン』第2号
1917年
資料好きとしては、展示拒否に抗議して特集が組まれた雑誌『ザ・ブラインド・マン』に載ったスティーグリッツの証拠写真に涎が止まらない。これはオリジナルな訳で、さらに左下に結び付けられた荷札のようなものの表記を読みたい。網目印刷では判読できないと承知しているけど、マット氏の筆跡から人物の特定に繋げたいと思ってしまうのだ。
---
ギャラリートークをされる平芳幸浩氏
(5月20日 14:00~15:00)
今回の関連企画というのは、来年の3月11日までを5つの期間に分け、さまざまなゲストによって「『泉』およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズ」を開催するもので、まずは入門編(Case-1)として企画者の一人である平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)氏が担当(展示は6月11日迄)。わたしは「お祭り」と聞くと血が騒ぐたちなものだから、20日(土)の朝から美術館に出掛けギャラリートークに備えると、一般の方からプロ(?)の研究者までが参加され、人数の多さに驚いた。デュシャンの引力は半端じゃありません。トークの内容はビギナーに判りやすく、また、専門家への問題提起もあって、100年前のニューヨークで遭遇したような臨場感。デュシャンが持ち込んだ『泉』と『ザ・ブラインド・マン』での抗議誌面が示す人格置き換えの謎解き。氏は昨年『マルセル・デュシャンとアメリカ──戦後アメリカ美術の進展とデュシャン受容の変遷』(ナカニシヤ出版、2016.7刊)を上梓され、また今年に入って『夢見るモダニティ、生きられる近代』(ありな書房、2017.1刊)の中で「ニューヨーク・ダダからソシエテ・アノニムへ」の章を執筆されるなど、鋭い指摘をいくつもしておられ、最新の研究から遠ざかってしまったわたしには、目から鱗の刺激だった。


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50点あまりの展示品は個人2点を除くと、レディメードと雑誌類が同館、写真と版画類が国立国際美術館の所蔵となっている。展示で注目したのは初公開となるロベール・ルベルの大著『マルセル・デュシャン』(トリアノン, 1959刊)の版下用写真資料で、マン・レイが撮った10年代のデュシャンやグラディーヴァ画廊のブルトンやタンギー、それに、ゴッサム書店のウインドウに映るデュシャンとブルトンの姿と云った現場を目で追ってしまった。
手前のケースにルベルの版下用資料、『泉』の右壁面には『L.H.O.O.Q.』
「商品カタログやショーウインドーに置かれているように、今回は影の演出を排除しているんです」
---
左から「ローズ・セラヴィよ、なぜくしゃみをしない」「ローズ・セラヴィ」(マン・レイ)、「フレッシュ・ウィドウ」
奥から「秘めた音で」「パリの空気50cc」
展示室に置かれた『泉』の壁の裏面には、上記2つのレディメードが置かれている。どこか湧水の成分を暗示するようで、面白いやり方だと感心した。
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さて、地元なのでデュシャンの謎に取り込まれないよう注意しながら、自転車で出掛け、気楽に展示を拝見している。美術館4階のコレクション・ギャラリーでは撮影も許されているので、わたしなど何度も足を運んでしまう訳。デュシャンの怖さは「1960年代のコンセプチャル・アート以降、デュシャンの『泉』を解釈・解読すること自体が創作行為になっています。」と説明されるような思考の袋小路への誘導にあるけど、すでに、巧妙な罠にかかり日参している重病の御仁や、このブログを読んで慌てて上洛されるファンがいるかもしれない。今回、美術館が用意したチラシには「デュシャン菌」が染み込んでいると思うので、手になさらないでと警告しておきたい。といっても、わたし読んでしまったので、しばらく治りません。
展覧会チラシの色違い3種(無料)
「271」
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三次元が現代科学では計測不能な空間の影であるとしたら、怨霊が渦巻く京都盆地に『泉』がぽんと置かれているのは意味がある。水脈がどこを通っているのか知っているやんごとなきお方も岡崎の地には多いだろうから、含まれる鉱物をすくって飲みたい誘惑に抗えない。用意された8個の貯水槽からキラキラ光る言葉の流れが水管を伝って『泉』から湧き出ている。平芳幸浩氏がチラシに寄せたテキストは10,000字を超え、ダダイストたちが喜びそうな紙面構成で貯水槽と蛇口が繋がれ、それぞれに大きく「Living in the Material World」「271」「事件は会議室で起きてるんじゃない」「変身」「ガラスの仮面」「箱男」「蜘蛛の糸」「トモダチコレクション」と書かれている。遊び心満載で筆者の楽しみが直接伝わる感覚。チラシの「もの」としての魅力も含め、コレクター・アイテムとなること間違いなし。ところで「291」なら雑誌も展示されていたし、スティーグリッツとの関連で判るのだけど、「271」って何んなのよ。
右上に配された貯水槽を黙読すると2分23秒、音読だと3分29秒かかった。言霊が身体から離れてしまったので、共同企画者である美術館の主任研究員、牧口千夏さんに助けを求めると、地球に侵入し人間標本5・6を採取しようとする宇宙生物の一人(?)だと教えてくれた。地球の平和を守るハヤタ隊員の変身は3分が限度だったっけ。
続く
(いしはら てるお)


「キュレトリアル・スタディズ12:泉/Fountain 1917-2017」
会期:2017年4月19日[水]~2018年3月11日[日]
会場:京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
※毎週金曜・土曜9:30~20:00(入館は19:30まで)
休館:月曜(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)、及び年末・年始
※展示替期間:2017年6月13日(火)、8月8日(火)、10月24日(火)
企画:平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)、牧口千夏(当館主任研究員)
1917年にマルセル・デュシャンによって「制作」されたレディメイド作品《泉》は、20世紀美術にもっとも影響を与えた作品として知られています。また1960年代のコンセプチュアル・アート以降、デュシャンの《泉》を解釈・解読すること自体が創作行為にもなっています。2017年4月に《泉》が100周年を迎えるにあたって企画されたこのプログラムでは、当館の所蔵作品だけでなく現代の美術家によるデュシャン解読の作例を加え、各回展示替えをしながら本作品の再制作版(1964)を1年間展示するとともに、さまざまなゲストを迎えて《泉》およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズを開催します。
●Case 1: マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する
2017年4月19日(水)~6月11日(日)
キュレーション:平芳幸浩
ギャラリートーク:5月20日(土) 午後2時~3時
会場:本展開催場所(4階コレクション・ギャラリー)
※聴講無料、要観覧券、開始10分前に4階コレクション・ギャラリー入口にお集まり下さい。
●Case 2: He CHOSE it.
2017年6月13日(水)~8月6日(日)
キュレーション:藤本由紀夫(美術家)
レクチャー:6月23日(金) 午後6時~7時30分
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。
●Case 3: 誰が《泉》を捨てたのか
2017年8月9日(水)~10月22日(日)
キュレーション・講師: 河本信治(元・当館学芸課長)
レクチャー:9月2日(土)午後6時~7時30分
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。
下記は、詳細が決まり次第当ページにてお知らせします。
●Case 4
2017年10月25日(水)~12月24日(日)
●Case 5
2018年1月5日(金)~3月11日(日)
(京都国立近代美術館HPより転載)
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●今日のお勧め作品は、マン・レイです。
マン・レイ
「顔」(『ファースト・ステップス』より)
1920年撮影(1971年制作)
ゼラチン・シルバー・プリント
イメージサイズ:25.2×14.2cm
シートサイズ:25.2×14.2cm
限定8部
裏面にスタンプあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
『「271」って何んなのよ』
展覧会 キュレトリアル・スタディズ(12)
展覧会 泉/Fountain 1917─2017
展覧会 京都国立近代美術館4階コレクション・ギャラリー
展覧会 2017年4月19日(水)~2018年3月11日(日)
Case-1 マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する。
Case-1 キュレーション 平芳幸浩
Case-1 2017年4月19日(水)~6月11日(日)
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京近美4階からの眺望:平安神宮大鳥居 (1929年4月10日竣工報告祭)後方:京都市美術館 (1933年竣工、旧大礼記念京都美術館)
小便器排水口 (TOTO製 京近美1階男子便所内)---
四次元が時の移ろいの中にあるとしたら、100年を遡り祝う事にも意味があるかも知れない。全国でどれだけ知られているか判りようがないが、京都の国立近代美術館でマルセル・デュシャンが仕掛けた「リチャード・マット事件」の物証と再制作品による展覧会が4月19日から始まっている。事件は年会費と出品料を添えて作品を送れば無条件、無審査で展示するとされた「アメリカ独立美術家協会展」に持ち込まれた男性用小便器が展示拒否されたと云うもので、1917年4月9日に開かれた内覧会から100年を経て、仕掛人の意図やニューヨークのアバンギャルドたちの相関図、その後の美術の歴史に与えた影響について、さまざまな言説が飛び交っている。張本人と目されるデュシャンの身振りについては、深入りしないよう努めながら、京都での1年間に渡る関連企画をレポートしたい。尚、タイトルとした「マルセル、きみは寂しそうだ。」は、最後の晩餐(1968年10月1日)で旧友マン・レイが語りかけた言葉(ニール・ボールドウイン著『マン・レイ』草思社、488頁)。
Case-1 「マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する。」2017.4.19-6.11
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Fountain(泉)1917/1964
シュワルツ版ed. 6/8
展覧会に先立つ4月8─9日に美術館でキックオフ・イベントが催された(デュシャンに関連する作品を持つ世界中の美術館が参加し展示拒否から100年を祝賀)。館内のトイレにA3版程度の告知書が貼り出され、忍耐強く読み進めると招待状を受け取る幸運が舞い込む仕掛け---用を足しながら読むとしたら黙読で2分15秒(わたしの場合)---トイレから受付まで、手を洗いハンカチで拭きながら、何人の「リチャード・マット氏」が行き来したのかと想像して、笑った。さり気ない「R.MUTT / 1917」のサインが本物かどうか、手触りで確認した人がいたかも知れないが、石鹸を使わなくちゃいけません(笑)。── として、後日、コレクション・ギャラリーで再製作された男性用小便器と対面した時、工業製品ではなく美術品として「美しく」(デュシャンは意図しないと言うけど)仕上げられ、置かれた便器との隔たり、安全を保証された鑑賞の立ち位置に、「痒い」ものを感じたのは、わたしだけではないだろう。
雑誌『ザ・ブラインド・マン』第2号1917年
資料好きとしては、展示拒否に抗議して特集が組まれた雑誌『ザ・ブラインド・マン』に載ったスティーグリッツの証拠写真に涎が止まらない。これはオリジナルな訳で、さらに左下に結び付けられた荷札のようなものの表記を読みたい。網目印刷では判読できないと承知しているけど、マット氏の筆跡から人物の特定に繋げたいと思ってしまうのだ。
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ギャラリートークをされる平芳幸浩氏 (5月20日 14:00~15:00)
今回の関連企画というのは、来年の3月11日までを5つの期間に分け、さまざまなゲストによって「『泉』およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズ」を開催するもので、まずは入門編(Case-1)として企画者の一人である平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)氏が担当(展示は6月11日迄)。わたしは「お祭り」と聞くと血が騒ぐたちなものだから、20日(土)の朝から美術館に出掛けギャラリートークに備えると、一般の方からプロ(?)の研究者までが参加され、人数の多さに驚いた。デュシャンの引力は半端じゃありません。トークの内容はビギナーに判りやすく、また、専門家への問題提起もあって、100年前のニューヨークで遭遇したような臨場感。デュシャンが持ち込んだ『泉』と『ザ・ブラインド・マン』での抗議誌面が示す人格置き換えの謎解き。氏は昨年『マルセル・デュシャンとアメリカ──戦後アメリカ美術の進展とデュシャン受容の変遷』(ナカニシヤ出版、2016.7刊)を上梓され、また今年に入って『夢見るモダニティ、生きられる近代』(ありな書房、2017.1刊)の中で「ニューヨーク・ダダからソシエテ・アノニムへ」の章を執筆されるなど、鋭い指摘をいくつもしておられ、最新の研究から遠ざかってしまったわたしには、目から鱗の刺激だった。


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50点あまりの展示品は個人2点を除くと、レディメードと雑誌類が同館、写真と版画類が国立国際美術館の所蔵となっている。展示で注目したのは初公開となるロベール・ルベルの大著『マルセル・デュシャン』(トリアノン, 1959刊)の版下用写真資料で、マン・レイが撮った10年代のデュシャンやグラディーヴァ画廊のブルトンやタンギー、それに、ゴッサム書店のウインドウに映るデュシャンとブルトンの姿と云った現場を目で追ってしまった。
手前のケースにルベルの版下用資料、『泉』の右壁面には『L.H.O.O.Q.』
「商品カタログやショーウインドーに置かれているように、今回は影の演出を排除しているんです」---
左から「ローズ・セラヴィよ、なぜくしゃみをしない」「ローズ・セラヴィ」(マン・レイ)、「フレッシュ・ウィドウ」
奥から「秘めた音で」「パリの空気50cc」展示室に置かれた『泉』の壁の裏面には、上記2つのレディメードが置かれている。どこか湧水の成分を暗示するようで、面白いやり方だと感心した。
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さて、地元なのでデュシャンの謎に取り込まれないよう注意しながら、自転車で出掛け、気楽に展示を拝見している。美術館4階のコレクション・ギャラリーでは撮影も許されているので、わたしなど何度も足を運んでしまう訳。デュシャンの怖さは「1960年代のコンセプチャル・アート以降、デュシャンの『泉』を解釈・解読すること自体が創作行為になっています。」と説明されるような思考の袋小路への誘導にあるけど、すでに、巧妙な罠にかかり日参している重病の御仁や、このブログを読んで慌てて上洛されるファンがいるかもしれない。今回、美術館が用意したチラシには「デュシャン菌」が染み込んでいると思うので、手になさらないでと警告しておきたい。といっても、わたし読んでしまったので、しばらく治りません。
展覧会チラシの色違い3種(無料)
「271」---
三次元が現代科学では計測不能な空間の影であるとしたら、怨霊が渦巻く京都盆地に『泉』がぽんと置かれているのは意味がある。水脈がどこを通っているのか知っているやんごとなきお方も岡崎の地には多いだろうから、含まれる鉱物をすくって飲みたい誘惑に抗えない。用意された8個の貯水槽からキラキラ光る言葉の流れが水管を伝って『泉』から湧き出ている。平芳幸浩氏がチラシに寄せたテキストは10,000字を超え、ダダイストたちが喜びそうな紙面構成で貯水槽と蛇口が繋がれ、それぞれに大きく「Living in the Material World」「271」「事件は会議室で起きてるんじゃない」「変身」「ガラスの仮面」「箱男」「蜘蛛の糸」「トモダチコレクション」と書かれている。遊び心満載で筆者の楽しみが直接伝わる感覚。チラシの「もの」としての魅力も含め、コレクター・アイテムとなること間違いなし。ところで「291」なら雑誌も展示されていたし、スティーグリッツとの関連で判るのだけど、「271」って何んなのよ。
右上に配された貯水槽を黙読すると2分23秒、音読だと3分29秒かかった。言霊が身体から離れてしまったので、共同企画者である美術館の主任研究員、牧口千夏さんに助けを求めると、地球に侵入し人間標本5・6を採取しようとする宇宙生物の一人(?)だと教えてくれた。地球の平和を守るハヤタ隊員の変身は3分が限度だったっけ。
続く
(いしはら てるお)


「キュレトリアル・スタディズ12:泉/Fountain 1917-2017」
会期:2017年4月19日[水]~2018年3月11日[日]
会場:京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
※毎週金曜・土曜9:30~20:00(入館は19:30まで)
休館:月曜(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)、及び年末・年始
※展示替期間:2017年6月13日(火)、8月8日(火)、10月24日(火)
企画:平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)、牧口千夏(当館主任研究員)
1917年にマルセル・デュシャンによって「制作」されたレディメイド作品《泉》は、20世紀美術にもっとも影響を与えた作品として知られています。また1960年代のコンセプチュアル・アート以降、デュシャンの《泉》を解釈・解読すること自体が創作行為にもなっています。2017年4月に《泉》が100周年を迎えるにあたって企画されたこのプログラムでは、当館の所蔵作品だけでなく現代の美術家によるデュシャン解読の作例を加え、各回展示替えをしながら本作品の再制作版(1964)を1年間展示するとともに、さまざまなゲストを迎えて《泉》およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズを開催します。
●Case 1: マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する
2017年4月19日(水)~6月11日(日)
キュレーション:平芳幸浩
ギャラリートーク:5月20日(土) 午後2時~3時
会場:本展開催場所(4階コレクション・ギャラリー)
※聴講無料、要観覧券、開始10分前に4階コレクション・ギャラリー入口にお集まり下さい。
●Case 2: He CHOSE it.
2017年6月13日(水)~8月6日(日)
キュレーション:藤本由紀夫(美術家)
レクチャー:6月23日(金) 午後6時~7時30分
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。
●Case 3: 誰が《泉》を捨てたのか
2017年8月9日(水)~10月22日(日)
キュレーション・講師: 河本信治(元・当館学芸課長)
レクチャー:9月2日(土)午後6時~7時30分
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。
下記は、詳細が決まり次第当ページにてお知らせします。
●Case 4
2017年10月25日(水)~12月24日(日)
●Case 5
2018年1月5日(金)~3月11日(日)
(京都国立近代美術館HPより転載)
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●今日のお勧め作品は、マン・レイです。
マン・レイ「顔」(『ファースト・ステップス』より)
1920年撮影(1971年制作)
ゼラチン・シルバー・プリント
イメージサイズ:25.2×14.2cm
シートサイズ:25.2×14.2cm
限定8部
裏面にスタンプあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
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