六本木の国立新美術館で開催されている「安藤忠雄展―挑戦―」。安藤さんによるトークがあるということで、急きょ聴いてきました。
20171004_安藤忠雄展

トークの前に展覧会を観ました。
綿貫さんから事前に聞いていたものの、展示内容のボリュームにびっくり。
ドローイングをはじめ、版画、建築模型、写真、映像、そして光の教会の1/1の再現。
目が回るようでした。
安藤さんが手がけた建築の紹介VTRはどれもとても短く、集中して観て回るにはそれがよかったです。
個人的には、「頭大仏」が出来上がっていく様子を一年以上かけて定点観測で撮影した映像(早回し)が面白かったです。

それと、今までときの忘れもので扱ってきて観ていた「テートモダン」の模型を見て、これが実現してたらどんなにカッコよかっただろう!と思いました。発電所をガラスの角柱が貫く建物は、見てみたかったと思いました。

展示壁やセクション冒頭のパネルにも安藤さんのドローイングがあり、自由だなあ、と思いました。つーっと伸びた線で描かれる建築のドローイングは、誰にでも描けそうで描けないもののような気がしました。

そうそう、会場入り口で音声ガイダンスを借りました。綿貫さんや尾立さんから「笑えるから絶対借りた方がいいよ!」とのことで、借りたのです。
これがとても面白かったのです。
小気味よい関西弁のリズムと、安藤さんの温かみのある声のトーン。
それと「え、そんなこと言っちゃっていいのかな。」と思わず笑ってしまうような内容でした(いくつか繰り返し聴きました)。

トークが始まる頃には、展示室は人で一杯になりました。
1,000人以上はいたはず。。
若い人、特に男性が多かった印象です。

「ぎょーさん集まってるなあ~。」
展示室に入ってきた安藤さんが、ポソッと言っていました。

<住吉の長屋>
施主「寒かったらどうするんですか。」
安藤「寒かったら上着を一枚着ればいいんですよ。」
施主「もうすこし寒かったらどうするんですか。」
安藤「もう一枚着ればいいんですよ。」
施主「もっと寒かったら、どうす、」
安藤「そんときは諦めなさい。人間は諦めが肝心よ。」

「自分だったらあんなとこ絶対に住まないけど、それでも施主は40年以上住み続けてくれている。賞をあげるなら安藤にではなく施主に、と言われました。」という安藤さんの言葉が印象的でした。

<光の教会>
会見でも言っているように、安藤さんはガラスをいつか取ってやると今でも思っているそうです。自然の光で作られた十字架は、天気や時間によって異なった表情を見せ、美しかったです。

~~

ここ数年、建築の展覧会が多いこと。
正直に言うと、今まで「建築」になぜ人々がそこまで熱狂するのか、イマイチ分かりませんでした。
今回の安藤さんの展示を観て、すこしだけ、分かった気がします。

自然と人間の間に建つのが建築と思っていました。
遮断というか。
そういう自分には、「いかに光、風といった自然を取り入れるかということを考え、そうすることで成立する建築を目指している。」という安藤さんの言葉は特に印象に残りました。

あとは安藤さんの人柄と、建物の潔さ。
カッコよかったです。
最後に頭に残った安藤さんの言葉を。

・内臓は無いけど希望はあります。
・日本はもう終わりや、元気がないもの。
・本を読みなさい、朝ごはんを食べなさい。
・(トークの時、)頭の悪い質問はせんといてな。
・挑戦してきたというより、ただ生きてきたんです。


北海道に行ったときはトマムに宿泊することがあるのですが、そこにある「水の教会」も未だに見たことがありません。。
次回行ったときには是非見てみたいと思います。

ときの忘れものの「安藤忠雄展 ドローイングと版画」は本日最終日ですが、国立新美術館の「安藤忠雄展―挑戦―」は12月18日[月]まで開催しているので、是非行かれてみてください。
あきば めぐみ

*画廊亭主敬白
数日前、安藤先生から電話がありました。
「どうや売れてんのか」「若いのは新聞なんか読まへん、みなユーチューブや」「三万冊サイン入れたけど、それでも足らんちゅうて追加したばかりや」
(どうも関西弁の再現は東男には難しいですね)
亭主は普段は「この展覧会はぜひ行って」なんて言いません。スタッフたちは亭主がいくらもえてても(燃えると書くべきか、萌えるなのか)知らん顔している、寂しいもんです。
しかし安藤忠雄展とあらば「社命で観覧を命ず」というわけで、順番に勤務時間中に六本木に向わせています。
上掲はときの忘れものきってのクール派秋葉の観覧の記。面白かったらしい。
本日は駒込の最終日です。ここでしか見られない安藤ワールド、ぜひお出かけください。

●今日のお勧め作品は安藤忠雄です。
11
安藤忠雄《大山崎山荘 I》
1998年
シルクスクリーン
イメージサイズ:50.0×81.0cm
シートサイズ:60.0×90.0cm
Ed.35   サインあり

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TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ  21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー  英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
通常価格:2,500円(税別)、送料250円

「安藤忠雄展 ドローイングと版画」は本日が最終日です。
会期:2017年9月26日[火]~10月21日[土] 11:00~18:00 ※日・月・祝日休廊
201709_ando

●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]~12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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