「第6回ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート」レポート
2017年10月3日、会場を駒込に移してから初めてとなる、「第6回ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート」を開催しました。


前回のテーマである「夜鶯」に続き、今回のテーマは「カラス」。
古くは日欧で神の使いとして奉られている存在ですが、近年ではその知恵周りの良さが人間社会に対して悪い意味で発揮されてしまい、害獣扱いされてしまっている悲しい存在です。
リハーサル風景。
俳優・坂本長利さんの朗々たる声がコンクリートの壁に響き渡ります。
今回のコンサートでは、坂本さんが読み上げた書籍のページが無数にコピーされ、床に散りばめられました。
見てよし、拾い読みしてよし、持ち帰ってよし。
土足厳禁のイベントだからできることです。
コンサート開始直前。
前回の芋の洗い場状態を避けるべく、今回は人数を絞りましたが、それでもやはり階段まで使うことに。
企画者・大野 幸(おおのこう)さんによるご挨拶。
本業の建築家としての活動以外にも、今回のような企画立案に加え、ご自身もヴァイオリニストという多才ぶり。
俳優・坂本長利さんによる読み語り。
ご職業柄、静かな語り口であっても聞き辛いということはなく、プロの凄さを見せていただきました。
今回のコンサートは少々変則的で、建物の構造を逆手にとって、淡野さんには建物の各所で歌っていただきました。
こちらはオーソドックスに来場者の正面。
こちらは中二階の踊り場。
一階玄関と二階の間の踊り場。
最後は来場者も合わせての合唱。
コンサート後の打ち上げ風景から一枚。
今回のメインである絵本『からすたろう』の作者・八島太郎は、自身が掲げた反戦主義のために開戦直前の日本での居場所を失い、アメリカに渡ってまでその主義主張を貫いた人物です。『からすたろう』も舞台こそ日本ですが、1955年の初出版はアメリカであり、1955年全米児童教育連盟最高賞、1954~55年度米国版画協会顕著進歩賞などを受賞して全米で高い評価を得たものの、日本語翻訳版が出版されたのは20年以上後の1978年でした。
子供向けであるために絵本の体をとっているものの、内容は昨今の大人にこそ見てもらいたいものであると、坂本さんの朗読を聞きながらしみじみ感じた晩夏の夕暮れでした。
(しんざわ ゆう)
■淡野 弓子 Yumiko Tanno [メゾ・ソプラノ]
東京藝術大学声楽科卒業。旧西ドイツ・ヴェストファーレン州立ヘルフォルト教会音楽大学に留学し、特に声楽、合唱指揮を集中的に学ぶ。1968年東京に「ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京」を設立、以来2008年まで40年に亘り指揮者としてシュッツ音楽を始めとするルネサンス、バロックから現代に至る数多くの合唱作品の演奏に携わる。1989年に『シュッツ全作品連続演奏』を開始し2001年に全496曲の演奏を終了。歌い手としては、シュッツ、バッハより現代に至る宗教曲、ドイツ・リート、シェーンベルク《月に憑かれたピエロ》を始めとする現代作品の演奏、新作初演など。
1991年~2004年、アグネス・ギーベルの薫陶を受けつつ内外のコンサートで共演。2010年より米国にてエリザベス・マニヨンに師事。メゾ・ソプラノ淡野弓子、ピアノ小林道夫による「歌曲の夕べ」を2013年2月および2015年10月(共演:杉山光太郎・ヴィオラ)を開催。2015年5月には井桁裕子制作の操り人形「ユトロ」との共演により『狂童女の戀』(人形操演:黒谷都/朗読:坂本長利/ピアノ:武久源造)を制作・演奏。著書:『バッハの秘密』平凡社新書。CD:<ハインリヒ・シュッツの音楽> I~IV [SDG/MP]、メンデルスゾーン<パウロ>[ALCD]ほか。
■坂本長利

■大野 幸(建築家) Ko OONO, Architect
本籍広島。1987年早稲田大学理工学部建築学科卒業。1989年同修士課程修了、同年「磯崎新アトリエ」に参加。「Arata Isozaki 1960/1990 Architecture(世界巡回展)」「エジプト文明史博物館展示計画」「有時庵」「奈義町現代美術館」「シェイク・サウド邸」などを担当。2001年「大野幸空間研究所」設立後、「テサロニキ・メガロン・コンサートホール」を磯崎新と協働。2012年「設計対話」設立メンバーとなり、中国を起点としアジア全域に業務を拡大。現在「イソザキ・アオキ アンド アソシエイツ」に参加し「エジプト日本科学技術大学(アレキサンドリア)」が進行中。ピリオド楽器でバッハのカンタータ演奏などに参加しているヴァイオリニスト。
●本日のお勧めは、オノサト・トシノブの油彩小品です。

オノサト・トシノブ
「波形の十二分割」
1980年 油彩、キャンバス
10.0x10.0cm
裏面にサインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●図録を刊行しました
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料250円
●中村美奈子さんが瀧口修造にオマージュした文鎮を制作しました。
こげ茶、赤、緑、オレンジの4色あります。
一個:大5,500円 小5,000円(税別)
二個組:10,000円(税別)
三個組:14,000円(税別)
紙ケース付、送料は一律500円(何個でも)。
瀧口ファンならずとも手元に置きたくなるような色彩豊かな佳品です。特別頒布中ですのでどうぞご注文ください。
●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]~12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

2017年10月3日、会場を駒込に移してから初めてとなる、「第6回ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート」を開催しました。


前回のテーマである「夜鶯」に続き、今回のテーマは「カラス」。
古くは日欧で神の使いとして奉られている存在ですが、近年ではその知恵周りの良さが人間社会に対して悪い意味で発揮されてしまい、害獣扱いされてしまっている悲しい存在です。
リハーサル風景。俳優・坂本長利さんの朗々たる声がコンクリートの壁に響き渡ります。
今回のコンサートでは、坂本さんが読み上げた書籍のページが無数にコピーされ、床に散りばめられました。見てよし、拾い読みしてよし、持ち帰ってよし。
土足厳禁のイベントだからできることです。
コンサート開始直前。前回の芋の洗い場状態を避けるべく、今回は人数を絞りましたが、それでもやはり階段まで使うことに。
企画者・大野 幸(おおのこう)さんによるご挨拶。本業の建築家としての活動以外にも、今回のような企画立案に加え、ご自身もヴァイオリニストという多才ぶり。
俳優・坂本長利さんによる読み語り。ご職業柄、静かな語り口であっても聞き辛いということはなく、プロの凄さを見せていただきました。
今回のコンサートは少々変則的で、建物の構造を逆手にとって、淡野さんには建物の各所で歌っていただきました。こちらはオーソドックスに来場者の正面。
こちらは中二階の踊り場。
一階玄関と二階の間の踊り場。
最後は来場者も合わせての合唱。
コンサート後の打ち上げ風景から一枚。今回のメインである絵本『からすたろう』の作者・八島太郎は、自身が掲げた反戦主義のために開戦直前の日本での居場所を失い、アメリカに渡ってまでその主義主張を貫いた人物です。『からすたろう』も舞台こそ日本ですが、1955年の初出版はアメリカであり、1955年全米児童教育連盟最高賞、1954~55年度米国版画協会顕著進歩賞などを受賞して全米で高い評価を得たものの、日本語翻訳版が出版されたのは20年以上後の1978年でした。
子供向けであるために絵本の体をとっているものの、内容は昨今の大人にこそ見てもらいたいものであると、坂本さんの朗読を聞きながらしみじみ感じた晩夏の夕暮れでした。
(しんざわ ゆう)
■淡野 弓子 Yumiko Tanno [メゾ・ソプラノ]
東京藝術大学声楽科卒業。旧西ドイツ・ヴェストファーレン州立ヘルフォルト教会音楽大学に留学し、特に声楽、合唱指揮を集中的に学ぶ。1968年東京に「ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京」を設立、以来2008年まで40年に亘り指揮者としてシュッツ音楽を始めとするルネサンス、バロックから現代に至る数多くの合唱作品の演奏に携わる。1989年に『シュッツ全作品連続演奏』を開始し2001年に全496曲の演奏を終了。歌い手としては、シュッツ、バッハより現代に至る宗教曲、ドイツ・リート、シェーンベルク《月に憑かれたピエロ》を始めとする現代作品の演奏、新作初演など。1991年~2004年、アグネス・ギーベルの薫陶を受けつつ内外のコンサートで共演。2010年より米国にてエリザベス・マニヨンに師事。メゾ・ソプラノ淡野弓子、ピアノ小林道夫による「歌曲の夕べ」を2013年2月および2015年10月(共演:杉山光太郎・ヴィオラ)を開催。2015年5月には井桁裕子制作の操り人形「ユトロ」との共演により『狂童女の戀』(人形操演:黒谷都/朗読:坂本長利/ピアノ:武久源造)を制作・演奏。著書:『バッハの秘密』平凡社新書。CD:<ハインリヒ・シュッツの音楽> I~IV [SDG/MP]、メンデルスゾーン<パウロ>[ALCD]ほか。
■坂本長利

■大野 幸(建築家) Ko OONO, Architect
本籍広島。1987年早稲田大学理工学部建築学科卒業。1989年同修士課程修了、同年「磯崎新アトリエ」に参加。「Arata Isozaki 1960/1990 Architecture(世界巡回展)」「エジプト文明史博物館展示計画」「有時庵」「奈義町現代美術館」「シェイク・サウド邸」などを担当。2001年「大野幸空間研究所」設立後、「テサロニキ・メガロン・コンサートホール」を磯崎新と協働。2012年「設計対話」設立メンバーとなり、中国を起点としアジア全域に業務を拡大。現在「イソザキ・アオキ アンド アソシエイツ」に参加し「エジプト日本科学技術大学(アレキサンドリア)」が進行中。ピリオド楽器でバッハのカンタータ演奏などに参加しているヴァイオリニスト。●本日のお勧めは、オノサト・トシノブの油彩小品です。

オノサト・トシノブ
「波形の十二分割」
1980年 油彩、キャンバス
10.0x10.0cm
裏面にサインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●図録を刊行しました
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料250円
●中村美奈子さんが瀧口修造にオマージュした文鎮を制作しました。
こげ茶、赤、緑、オレンジの4色あります。一個:大5,500円 小5,000円(税別)
二個組:10,000円(税別)
三個組:14,000円(税別)
紙ケース付、送料は一律500円(何個でも)。
瀧口ファンならずとも手元に置きたくなるような色彩豊かな佳品です。特別頒布中ですのでどうぞご注文ください。
●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]~12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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