埼玉県立近代美術館で始まった「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展のカタログをご紹介します。
現代版画センターは会員制による共同版元として1974年に創立、1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約300点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。
『版画の景色 現代版画センターの軌跡』展カタログ
ケース表紙:26.0×18.5cm
発行:埼玉県立近代美術館 Ⓒ2018
編集:梅津元、五味良子、鴫原悠(埼玉県立近代美術館)
資料提供:ときの忘れもの
デザイン:刈谷悠三+角田奈央+平川響子/neucitora
印刷製本:株式会社ニッショープリント

ケースを開くとサイズや仕様の異なるA~Bの3冊が収められています。Dのケースにも当時の写真や資料が収録されているので4分冊ともいえます。
右から
Aテキスト・ブック
Bヴィジュアル・ブック
Cアトラス(地図と年表)
Aテキスト・ブック
78頁
サイズ:20.8×18.2cm
Aテキスト・ブック
現代版画センターエディション目録
アンケート:現代版画センターについて
現代版画センターニュース総目録
現代版画センター主要刊行物目録
現代版画センター刊行物一覧
梅津元:考え続けるために、〔現代〕版画〔センター〕について


アンケート執筆者:荒井由泰、石田了一、貝田隆博、木下哲夫、栗原敦、指田純子、関根伸夫、西岡文彦、西田考作、堀浩哉、柳正彦、柳澤紀子


Bヴィジュアル・ブック
162頁
サイズ:23.2×18.1cm
Bヴィジュアル・ブック
図版収録作家(45 名):靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄
関根伸夫
戸張孤雁
島州一
菅井汲
安藤忠雄
堀浩哉
宮脇愛子
Cアトラス(地図と年表)
サイズ:たたんだ状態では25.8×18.2cm
広げると51.3×72.6cm
表と裏に1974~1985年の11年間に全国で開催された展覧会、オークション、講演会など1400項目のイベント年表が収録されています。
地図を見ると全国の拠点地域の活動とその密度が一目瞭然

現代版画センターの発表した全エディション目録、機関誌の総目次(全執筆者明記)、刊行物一覧など美しい画像とともに収録されています。ぜひ会場でお求めください。
◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約300点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。
○<本日、現代版画センター展を見に行きました!浦和は寒い!横浜より寒いです!
さて、非常に詳細な年表、そして、錚々たる作家達の版画作品は圧巻でした。特に、磯崎新氏の大きな版画は、群馬の美術館をモチイフにしたのでしょうか。一番素晴らしかったです。関根伸夫氏の作品では、ピラミッドの立体が印象的。菅井汲氏の版画も素晴らしいですし、以前、購入させていただきましたアクリル立体の赤い太陽があり、良い気分になりました。パノラマという静止画の記録も見ましたが、当時の関係者の息遣いのようなものまで伝わってきました。栃木の大谷の洞窟?でのウォーホル展は迫力ありそうですね。80年代前半にこうした企画をしたのは、先見の明がありすぎたのかもしれません…。私も、当時、まだ大学生で、現代美術には関心ありませんでしたし…。図録も、2200円の廉価版の方ですが、買いました。まだ、ちゃんと見れていませんが、データ集、ビジュアル集が分かれていて、後世に残す研究資料にもなるように思います。やや、マニアックな企画でお客さんの入りが少し気になりましたが、ちゃんとお客さんが入っていました。澄川喜一氏の版画、拝見しました。迷いますが、やはり、Aかな。
(20180127/Iさんからのメールより)>
○<本日、埼玉県立近代美術館の「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展へ行ってきました。
私は1972年生まれなので、現代版画センターの活動はまったく知りませんでした。
今回作品を通して感じたことは、当時の作品としての意思・テーマが今の私たちにもはっきり伝わってくると思いました。
本物の作品とは、見た人が何か考えるのではなく、作品自体が観る人の心に語りかけてくるものだと思います。
時代を超越した良いものに今後も出会いたいと思います。
お気に入りの作品は、関根伸夫氏の「ピラミッドの頂」です。しばらく見入ってしまいました。先日エジプト旅行に行ったばかりで、コレクションしたいなあー。
(20180127/Sさんからのメールより)>
○<埼玉新聞に埼玉県立近代美術館の<版画の景色 現代版画センターの軌跡>展が紹介された(1/24):
1998年に群馬県立近代美術館と高崎市美術館の共催で「パトロンと芸術家 井上房一郎の世界」という展覧会があった。井上房一郎は高崎の建設会社の経営者だが、大財閥の創業者のように自前でコレクションを持ち美術館を建ててしまうほどの財力はない。人をまきこみ、波を起こして、磯崎新の群馬県立近代美術館や、アントニン・レーモンドの群馬音楽センターなどを実現していった。
僕はその思想と手法に興味を覚え、事績をたどりはじめた。
井上房一郎が文化への関心を深めたのには、軽井沢の別荘で知り合った画家・版画家の山本鼎の影響がある。山本鼎も、上田の農民美術や、全国展開した児童画運動など、アーティストにとどまらない運動家の性格のつよい人だった。
井上房一郎の事績をたどるのにあたり、井上が出た高崎高校の後輩で目をかけられていた綿貫不二夫さんにいろいろ教えていただいてきた。綿貫さんは「ときの忘れもの」というギャラリーを運営されているが、僕が知り合ったのは現代版画センターが活動を終えたあとのことで、ときたまそんな名や活動の断片をきくことがある程度だった。
埼玉県立近代美術館の企画展で初めて現代版画センターの全体像を見ることになった。版画を多くの人に買い親しんでもらおうとして、展覧会を全国に展開し、しかも版画家にとどまらず、彫刻家や建築家にも制作をはたらきかけている。
この展覧会を企画した埼玉県立近代美術館の学芸員、梅津元さんは、図録の文章でセンターのことを「時代の熱気を帯びた多面的な運動体」という。
先行する山本鼎と井上房一郎の軌跡が「多面的な運動体」そのものだった。現代版画センターの発足・運営には、久保貞次郎をはじめいろいろな関わりや思いがあるだろうけれど、山本鼎-井上房一郎-現代版画センターというつながりを見て見当外れではないだろうと思う。(その1つの現れとして、開設したギャラリーを、山本鼎が創刊した版画誌にならって「方寸」と名づけている。)
群馬県美、高崎市美、埼玉近美の展覧会の続編として、山本-井上-現代版画センターと系譜をたどる展覧会を見てみたい気がする。
現代版画センターの活動もすごいが、まだ歴史的過去になってしまったわけではない1985年に閉じた株式会社の軌跡を扱う展覧会を公立美術館で開催するという英断にも感嘆した。(現代版画センターは株式会社として運営されていた)
美術館での展示は先週見に行ったが、見きれなかった資料があり、展示替えもあるので、少なくともあと2回は行くことになりそう。
(20180125/渡辺恭伸さんのfacebookより)>
○<まだバージンスノーが残っていた埼玉近美。全てのフレームから平等に雫が落ちてくる。企画展は見応えがあった。磯崎さんの版画、まとまって見ると確かにカッコいい。
(20180124/makawakami さんのtwitterより)>
○西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色」が始まりました(1月24日、2月14日、3月14日の全3回の予定です)。草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでーー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。
○光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について」(1月28日ブログ)
○同館の広報誌 ソカロ87号では1983年のウォーホル全国展が紹介されています。
○現代版画センターエディションNo.558 藤江民「ざ行・い」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
藤江民
《ざ行・い》
1982年
リトグラフ(作家自刷り)
Image size: 80.0×57.0cm
Sheet size: 91.0×63.0cm
Ed.30 サインあり

現代版画センターは会員制による共同版元として1974年に創立、1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約300点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。
『版画の景色 現代版画センターの軌跡』展カタログケース表紙:26.0×18.5cm
発行:埼玉県立近代美術館 Ⓒ2018
編集:梅津元、五味良子、鴫原悠(埼玉県立近代美術館)
資料提供:ときの忘れもの
デザイン:刈谷悠三+角田奈央+平川響子/neucitora
印刷製本:株式会社ニッショープリント

ケースを開くとサイズや仕様の異なるA~Bの3冊が収められています。Dのケースにも当時の写真や資料が収録されているので4分冊ともいえます。
右からAテキスト・ブック
Bヴィジュアル・ブック
Cアトラス(地図と年表)
Aテキスト・ブック78頁
サイズ:20.8×18.2cm
Aテキスト・ブック現代版画センターエディション目録
アンケート:現代版画センターについて
現代版画センターニュース総目録
現代版画センター主要刊行物目録
現代版画センター刊行物一覧
梅津元:考え続けるために、〔現代〕版画〔センター〕について


アンケート執筆者:荒井由泰、石田了一、貝田隆博、木下哲夫、栗原敦、指田純子、関根伸夫、西岡文彦、西田考作、堀浩哉、柳正彦、柳澤紀子


Bヴィジュアル・ブック162頁
サイズ:23.2×18.1cm
Bヴィジュアル・ブック図版収録作家(45 名):靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄
関根伸夫
戸張孤雁
島州一
菅井汲
安藤忠雄
堀浩哉
宮脇愛子
Cアトラス(地図と年表)サイズ:たたんだ状態では25.8×18.2cm
広げると51.3×72.6cm表と裏に1974~1985年の11年間に全国で開催された展覧会、オークション、講演会など1400項目のイベント年表が収録されています。
地図を見ると全国の拠点地域の活動とその密度が一目瞭然
現代版画センターの発表した全エディション目録、機関誌の総目次(全執筆者明記)、刊行物一覧など美しい画像とともに収録されています。ぜひ会場でお求めください。◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約300点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。○<本日、現代版画センター展を見に行きました!浦和は寒い!横浜より寒いです!
さて、非常に詳細な年表、そして、錚々たる作家達の版画作品は圧巻でした。特に、磯崎新氏の大きな版画は、群馬の美術館をモチイフにしたのでしょうか。一番素晴らしかったです。関根伸夫氏の作品では、ピラミッドの立体が印象的。菅井汲氏の版画も素晴らしいですし、以前、購入させていただきましたアクリル立体の赤い太陽があり、良い気分になりました。パノラマという静止画の記録も見ましたが、当時の関係者の息遣いのようなものまで伝わってきました。栃木の大谷の洞窟?でのウォーホル展は迫力ありそうですね。80年代前半にこうした企画をしたのは、先見の明がありすぎたのかもしれません…。私も、当時、まだ大学生で、現代美術には関心ありませんでしたし…。図録も、2200円の廉価版の方ですが、買いました。まだ、ちゃんと見れていませんが、データ集、ビジュアル集が分かれていて、後世に残す研究資料にもなるように思います。やや、マニアックな企画でお客さんの入りが少し気になりましたが、ちゃんとお客さんが入っていました。澄川喜一氏の版画、拝見しました。迷いますが、やはり、Aかな。
(20180127/Iさんからのメールより)>
○<本日、埼玉県立近代美術館の「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展へ行ってきました。
私は1972年生まれなので、現代版画センターの活動はまったく知りませんでした。
今回作品を通して感じたことは、当時の作品としての意思・テーマが今の私たちにもはっきり伝わってくると思いました。
本物の作品とは、見た人が何か考えるのではなく、作品自体が観る人の心に語りかけてくるものだと思います。
時代を超越した良いものに今後も出会いたいと思います。
お気に入りの作品は、関根伸夫氏の「ピラミッドの頂」です。しばらく見入ってしまいました。先日エジプト旅行に行ったばかりで、コレクションしたいなあー。
(20180127/Sさんからのメールより)>
○<埼玉新聞に埼玉県立近代美術館の<版画の景色 現代版画センターの軌跡>展が紹介された(1/24):
1998年に群馬県立近代美術館と高崎市美術館の共催で「パトロンと芸術家 井上房一郎の世界」という展覧会があった。井上房一郎は高崎の建設会社の経営者だが、大財閥の創業者のように自前でコレクションを持ち美術館を建ててしまうほどの財力はない。人をまきこみ、波を起こして、磯崎新の群馬県立近代美術館や、アントニン・レーモンドの群馬音楽センターなどを実現していった。
僕はその思想と手法に興味を覚え、事績をたどりはじめた。
井上房一郎が文化への関心を深めたのには、軽井沢の別荘で知り合った画家・版画家の山本鼎の影響がある。山本鼎も、上田の農民美術や、全国展開した児童画運動など、アーティストにとどまらない運動家の性格のつよい人だった。
井上房一郎の事績をたどるのにあたり、井上が出た高崎高校の後輩で目をかけられていた綿貫不二夫さんにいろいろ教えていただいてきた。綿貫さんは「ときの忘れもの」というギャラリーを運営されているが、僕が知り合ったのは現代版画センターが活動を終えたあとのことで、ときたまそんな名や活動の断片をきくことがある程度だった。
埼玉県立近代美術館の企画展で初めて現代版画センターの全体像を見ることになった。版画を多くの人に買い親しんでもらおうとして、展覧会を全国に展開し、しかも版画家にとどまらず、彫刻家や建築家にも制作をはたらきかけている。
この展覧会を企画した埼玉県立近代美術館の学芸員、梅津元さんは、図録の文章でセンターのことを「時代の熱気を帯びた多面的な運動体」という。
先行する山本鼎と井上房一郎の軌跡が「多面的な運動体」そのものだった。現代版画センターの発足・運営には、久保貞次郎をはじめいろいろな関わりや思いがあるだろうけれど、山本鼎-井上房一郎-現代版画センターというつながりを見て見当外れではないだろうと思う。(その1つの現れとして、開設したギャラリーを、山本鼎が創刊した版画誌にならって「方寸」と名づけている。)
群馬県美、高崎市美、埼玉近美の展覧会の続編として、山本-井上-現代版画センターと系譜をたどる展覧会を見てみたい気がする。
現代版画センターの活動もすごいが、まだ歴史的過去になってしまったわけではない1985年に閉じた株式会社の軌跡を扱う展覧会を公立美術館で開催するという英断にも感嘆した。(現代版画センターは株式会社として運営されていた)
美術館での展示は先週見に行ったが、見きれなかった資料があり、展示替えもあるので、少なくともあと2回は行くことになりそう。
(20180125/渡辺恭伸さんのfacebookより)>
○<まだバージンスノーが残っていた埼玉近美。全てのフレームから平等に雫が落ちてくる。企画展は見応えがあった。磯崎さんの版画、まとまって見ると確かにカッコいい。
(20180124/makawakami さんのtwitterより)>
○西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色」が始まりました(1月24日、2月14日、3月14日の全3回の予定です)。草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでーー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。
○光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について」(1月28日ブログ)
○同館の広報誌 ソカロ87号では1983年のウォーホル全国展が紹介されています。
○現代版画センターエディションNo.558 藤江民「ざ行・い」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
藤江民《ざ行・い》
1982年
リトグラフ(作家自刷り)
Image size: 80.0×57.0cm
Sheet size: 91.0×63.0cm
Ed.30 サインあり

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