一昨日ご紹介した建築家阿部勤先生の自邸「中心のある家」には、画商にとっては垂涎もののオブジェがあふれていました。
新人スタッフはそれと気付かずカメラに収めていませんが、某陶芸家の作品などそれだけで個展が開けるほどの質量ともに充実したコレクションでした。

昨年、思いがけずも阿部勤先生設計の建物に移転することになったときの忘れものですが、コンクリート打ち放しの空間には平面より立体が似合うようです。
そのせいか、なぜかオブジェ作品が四方八方から入ってきます。
入って来るのはいいのですが、なかなか展示の機会がなくて倉庫に積まれたままになっています、これではイカンですね。思いつくままに挙げると、
靉嘔秋山祐徳太子、石井誠、磯辺行久上前智祐内間俊子、岡崎和郎、尾川宏、加藤清之桂ユキ倉俣史朗合田佐和子、小島信明、作元朋子、佐藤貢、篠田守男、瀬木慎一、関根伸夫、関根美夫、多田美波谷川晃一舟越直木堀内正和堀尾貞治宮脇愛子若林奮、etc.,

ということで、このブログでもオブジェを紹介することが多くなりそうです。
まずは合田佐和子の不思議なオブジェをご紹介します。
goda_01-a合田佐和子
《作品》
1983年 
金属、粘土 
15.3x21.3x6.4cm
Signed
*『パンドラ 合田佐和子作品集』(1983年 パルコ出版)149ページ所収

goda_02-a合田佐和子
《作品》
木彫、手彩 
17.5x16.0x4.0cm

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生前の合田佐和子さんには縁がなく、たぶんお目にかかったこともありません。
箱の作品を多数つくったことは存じていますが、もうひとつの木彫(?)は言われなければ合田作品とは気付きません。
合田さんは、南国土佐、高知県にルーツをもつ女性作家です。

土佐といえば、坂本龍馬が真っ先に浮かんできます。
板垣退助、植木枝盛、中江兆民、牧野富太郎、幸徳秋水、石元泰博日和﨑尊夫、etc.,
よく「いごっそう」と言われます。
「快男児」「酒豪」「頑固で気骨のある男」などを意味する土佐弁。
ネットで調べると、弱者に対して優しく、行動は大胆不敵にして豪快で、己の主義信念を貫くためには時として、自己より優位の権力を持つものとも係争する反骨精神を有する一方で、気乗りしないことは行動に移さない、らしい。

じゃあ、土佐の女性はというと、
宮尾登美子、西原理恵子くらいしか思い浮かばない・・・

男勝りの女性を指す土佐弁は「はちきん」というようですね。
話し方や行動などがはっきりしており快活、気のいい性格で負けん気が強いが、一本調子でおだてに弱いといわれる。後ろを振り返ることなく前進し続けるといった頑固さや行動力あふれる点で、土佐の男性と共通する、とこれもネットで調べた知識であります。

果たして合田さんはどうだったのでしょうか。

■合田佐和子 Sawako GODA
1940年高知市生まれ。幼少より戦後の焼け跡でガラクタを拾い集める。1963年武蔵野美術大学デザイン科卒業。唐十郎主宰の劇団状況劇場・唐組、寺山修司主宰の天井桟敷の宣伝・舞台美術などに参加する。
1965年瀧口修造の勧めでガラクタのオブジェを発表、デビュー。1971年に油彩を始め、80年以降は、ポラロイド、パステル、鉛筆、写真、エッチングを発表。1982年第1回現代芸術祭「瀧口修造と戦後美術」に出品。1983年作品集『パンドラ』(パルコ出版)刊行。出版記念展を渋谷パルコギャラリーで開催。
1985年、エジプト・アスワンの村に1年間移住。1991年に朝日新聞で連載された中上健次の小説『軽蔑』で毎回、眼だけの挿絵を描き、話題を呼ぶ。2001年高知県立美術館で「森村泰昌と合田佐和子展」を開催。2003年松濤美術館にて個展開催。2016年2月19日心不全のため死去。享年75。

●ときの忘れものは5月3日(木・祝日)~5月7日(月)まで休廊です。
ブログは年中無休なので、どうぞお楽しみください。

連休明けに始まる展覧会を三つご紹介します。

細江英公先生のガウディ連作のビンテージ展が日本橋茅場町のContemporary HEIS artで開催されます。出品作品の多くは1部しかないうえに、稀少なビンテージです。
会期:2018年5月10日~5月26日
5月12日(土)17時より細江先生のギャラリートークが開催されますので、ぜひご参加ください。
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西村多美子さんが写真集『旅人』を刊行するのに合わせて六本木のZen Foto Galleryで個展を開催します。
会期:2018年5月11日~6月16日
西村さんと北井一夫さんのトークは5月12日(土)16時からです。上掲細江先生のトークとほぼ同時刻なので困った・・・
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●盛岡の百瀬寿さんが銀座のギャラリーせいほうで個展を開催します。
会期:2018年5月14日~5月26日
初日14日(月)17時から作家を囲んでのオープニングがあります(出席します)。
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●書籍・カタログのご案内
表紙植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録
2018年3月8日刊行
ときの忘れもの 発行
24ページ
B5判変形
図版18点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:800円(税込)※送料別途250円

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植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録
2017年
ときの忘れもの 発行
36ページ
B5判
図版33点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
価格:800円(税込)※送料別途250円


◆ときの忘れものは没後70年 松本竣介展を開催します。
会期:2018年5月8日[火]―6月2日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

ときの忘れものは生誕100年だった2012年に初めて「松本竣介展」を前期・後期にわけて開催しました。あれから6年、このたびは小規模ですが「没後70年 松本竣介展」を開催します。
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●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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