ギャラリストが主役のアートフェア
~「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2018」レポート


中野和加子(アートフェアアジア福岡実行委員会事務局ディレクター) 

さる9月7日~9日に福岡市博多区のホテルオークラ福岡にて開催いたしました「アートフェアアジア福岡 2018」は、過去最多となる2600名を超えるお客様にご来場いただき、大盛況のうちに閉幕を迎えることができました。
4回目の開催となる今回は、来場者の増加もさることながら、いまだかつてなかったほどの会場の熱気や興奮を肌で感じました。

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これまでに、「えっ、作品に価格がついてるの?」「どこを見たらいいの?」といったご質問を受けることは度々ありましたが、今回は、「もう4点、手に入れちゃいましたよ!」「前回訪れてから、ずっと気になっていた、あのギャラリーで購入したのよ。」といった喜びの声をいただいたり、「僕、自分の部屋に絵を置きたいんです。」と自室の写真を見せながら作品選びのアドバイスを求められたり、まさに、作品との出会いを求めてフェアを訪れていただいたお客様から、“アートを愉しむ心に目覚める”という感動の伝播を感じた3日間となりました。

私は第1回から、フェアの企画・運営に携わっていますが、実行委員長の森田俊一郎をはじめとする実行委員・スタッフ一同が、当初から念頭に置いていたのは、“参加ギャラリーが主役となり、快適に過ごせるホテルフェアを実現する”ということでした。

私自身、芸術作品の持つメッセージをまだ見ぬ誰かに伝えようとするギャラリストは、世の中で最も尊い仕事の一つだと思っていますし、アートフェアを開催するにあたっては、まずその主役たるべきギャラリストが楽しく過ごせなければ意味がないと思っています。

国内外からお越しいただいたギャラリストの皆様に、福岡での滞在を存分に楽しんでいただきたいという思いから、今回は早い時期から関係各所にお声かけをして、官民連携で“ギャラリストおもてなし隊”を結成。

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チェックイン時には福岡市が作成した観光案内パンフレットや市内の観光マップをご準備し、会場近くのカフェ「FIKA COFFEE(フィーカ コーヒー)」からはモーニングコーヒーを、福岡を代表する書店「ブックスキューブリック」が運営する「BKベーカリー」からは焼きたてのパンを、筑後市に本社を構える「株式会社ブランドツール」からは福岡県産果実100%のスムージーとブランドいちじく「とよみつ姫」を使用したソフトドライフルーツを、そして「プリムス株式会社」からはオリゴミネラルウォーターを協賛いただき、毎朝ギャラリストの皆様にお届けしました。

会場には、英語、韓国語、中国語で対応可能なスタッフを配置し、お客様だけでなく海外から参加のギャラリストの方々もサポート。また、お一人で参加されているギャラリーからのご要望があれば、私がブースでのお留守番を承りました。

初日の夜に開催したレセプションパーティーは、会場選びから、趣向を凝らした料理・アルコール・ドリンク類の準備、会の進行や演出まで、実行委員とスタッフが総出で行い、ギャラリストの皆様方からも大変ご好評をいただきました。

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そして、「アートフェアアジア福岡」では、独自の企画も積極的に打ち出しています。

その一つが、“福岡で若い才能と出会いたい”という思いを形にした企画「AFAF AWARDS」。
アートフェア会場のフロアにある一室を使ってのギャラリストと観客が審査員となる新人作家公募展で、ギャラリー賞を贈られた作家は、そのギャラリーからデビューできるチャンスがあるという特典が。アートファンやアートコレクターだけではなく、ギャラリーと作家をつなぐ役割を果たしています。

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また、地元の企業や商店・飲食店からの応援の輪も広がっています。

アートフェア入場券の半券の提示で、飲食料や商品代金の割引が受けられるお店は年々増えており、そのうちの一店、会場からほど近い「茅乃舎 博多リバレイン店」では、店舗の一画をお貸しいただきフェアのサテライト会場として作品を展示させていただきました。同店の従業員さんたちが喜んでくださったのが、なによりも嬉しかったです。

今回から、IT企業との連携事業も始めました。

出展作品をアートフェアの開催前にチェックでき、終了してからも問い合わせや購入依頼に対応可能なWEBサービス「Art Scenes」との連携は、「やっぱりあの作品を購入しとくんだった…。」「気になった作品が、どこのギャラリーのものだったのかを忘れてしまった…。」といったフェア閉会後のお客様の落胆や不満を何とかして解消したいという思いから、どこのフェアよりもいち早く早く取り入れてみたもので、お客様だけでなく出展ギャラリーの皆様からもご好評の声をいただきました。

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最後に、「アートフェアアジア福岡」を支える大きな力。ボランティアスタッフについて紹介させていただきたいと思います。

普段は会社員、介護士、カメラマン、絵描きさん、主婦、高校生(!)などなど職種も年齢も多種多様な総勢約40名。「アートフェアは見たことないけれど、少しでもアートに関わることができたら!」とボランティアスタッフに応募をしてくれた人が半数以上で、その“神聖な好奇心”には、フェア事務局の一員として、ただただ頭が下がります。

そこで大事にしたのが「関わるみんながハッピーになる」フェアをつくること。

“あなたは上手にできるけど、私にはむずかしい”ことを互いに提案し合い、補い合いながら、“自分ならやれる、そしてやりたい”という気持ちを全員でもって取り組んだら、とても素晴らしいチームワークが生まれました。

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フェアを通して広く扉が開かれ、ギャラリーと出会いや作品を介してそれぞれのストーリーが生まれる。
自分で作品を選ぶのが当たり前の世の中。私はこれが好き、あなたはあれが好き、と互いを認め合えるのは素敵なことだと思います。

今回のフェアが、そうした“アートを通じた幸せの連鎖”を福岡、九州、そしてアジアへと広げていく一歩になったのではないか。私はいま、そうした実感を抱いています。

とはいえ、これで満足、ということはありません。よりよいフェアをつくるべく、今日からまた一歩踏み出します。
今後も「アートフェアアジア福岡」は【アートをより身近なものに】というテーマに向かって進化していきます。
どうぞご期待ください。実行委員・スタッフ一同、皆様のお越しを福岡でお待ちしています!

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なかのわかこ

中野和加子
1998年から福岡市中央区にある企画ギャラリー「画廊香月(現:gallery MORYTA /福岡)」に勤務。
ギャラリーの企画展だけでなく、音楽、舞台の制作など幅広い芸術活動に携わる。
2008年より(株)ラミュゼのアート部門に勤務し、ギャラリー経営などを経て2016年からART FAIR ASIA実行委員会事務局ディレクターを勤める。

*画廊亭主敬白
福岡のアートフェアへの出展は4年連続、毎回社長と亭主の二人だけで参加しています。
だから、うちの若いスタッフたちは福岡の熱気を知りません。毎回帰ってくると「良かった、良かった」と言うもののいまいち福岡の魅力が伝わりませんでした。
ならばということで今年は事務局のお嬢さんを口説き落としてレポートを書いていただきました。
ときの忘れものが出展しているアートフェアは内外数々ありますが、福岡の事務局の対応力、フレンドリーな雰囲気は間違いなく世界のトップレベルです。何より外部の声を「聞く耳」を持っている。

20181003104153_00001今年も早朝櫛田神社にお参りして御神籤を引きました。
まさかまさかの大吉三連勝! それも「第一番」とあってお客さんにも驚かれました。
もちろんご利益ありで、とても良い成績でした。
来年も審査が通ればぜひ続けて参加したいと思っています。

●本日のお勧め作品はアンディ・ウォーホルです。
KIKU(小)アンディ・ウォーホル Andy WARHOL
"KIKU(小)"

1983年
シルクスクリーン
イメージ・サイズ:22.0×29.0cm
シートサイズ:23.0×30.cm

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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