小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第20回
最近入荷の多いジャンルに、旅に関する本があります。
もともと紀行文や探検記などは力をいれていたジャンルのひとつです。
当店お隣の東洋文庫はモリソン書庫が有名ですが、
そのジョージ・アーネスト・モリソンは、オーストラリアの外交官でもあり、
そして冒険家でもあった人。東洋文庫の収蔵品にもたくさんの貴重な探検記があります。
そこで今回は、当店に2月にお目見えした、新しい旅行書をご紹介したいと思います。
まずは一冊目。1906年に発行された『PICTORIAL LONDON』から。


書籍名のとおり、1ページにひとつの写真が400ページ以上にわたって掲載されており、巻末には掲載されている場所のちょっとした説明も載っているので、
当時のロンドンを観光しているような気分になることができます。

有名なセント・パンクラス駅など、今の姿と見比べてみるのも楽しいかもしれません。

二冊目は、
次は、国内篇。こちらは絵葉書です。


バラで見るのも楽しいのですが、こういった袋に入ったまとまったものも、
そのパッケージが新鮮で、魅力的ではないでしょうか?
中にはこんな使用済みのエンタイアも入っております。

この方は、名古屋から犬山見物をしたようで、日記形式になっており、
記述は簡潔ですが、「ああ、当時の人たちは旅行の記録をこうして大切な人に伝えていたんだな。」と感慨深いですよね。
「(子供たちに)オ土産ヲタクサン買ツテ行クカラ」と書いてあり、「お土産欲しい!」と思わせます。
「(日記を)読む今日の読者が、何百年も昔に生きたその作者に突然一種の親近感を抱くような、なにか感動的な瞬間がないかと探し求めてきた」と書いたのは、
先日亡くなられたドナルド・キーンさんです。
キーンさんの代表作の一つに平安から近代の日本人が書いた日記を読み解く『百代の過客 日記にみる日本人』があります。(引用は『続 百代の過客』から)

過去の人を、自分たちからは遠く、その書いたものも「古典」として捉えるのではなく、
そこから当時の人々の息遣いを拾い上げる、優しさに満ちたキーンさんらしい作品です。
どの時代の人々も、その時代を常に、全身で、今まさに生きている。
そんな当たり前のことを感じ取れるような、今月の新入荷でした。
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
~~~~~
●ホームページのトップの誌面を刷新し、中央列最下段に「作品紹介」のコーナーを新設しました。
安藤忠雄から六角鬼丈まで「主な取扱作家」38作家(各3~5点)の127作品を一挙掲載したのに続き、靉嘔、山田正亮、アントニン・レーモンド、磯辺行久、ジョエル・シャピロ、槇文彦、マン・レイ、嶋田しづ等を次々と掲載しています。すべて在庫がありますので、ご注文いただけます。
画面をスクロールすると全点をご覧いただけますし、ご興味のある画面をクリックすると当該作品のページ(詳細なデータ入り)にリンクします。
作品紹介の更新は毎週4回(火曜・木曜・金曜・土曜)を予定しています。
森内敬子 Keiko MORIUCHI
《甦みかえった玉京山の桃》
色紙に油彩、金箔
27.3×24.5cm
右下に筆サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

最近入荷の多いジャンルに、旅に関する本があります。
もともと紀行文や探検記などは力をいれていたジャンルのひとつです。
当店お隣の東洋文庫はモリソン書庫が有名ですが、
そのジョージ・アーネスト・モリソンは、オーストラリアの外交官でもあり、
そして冒険家でもあった人。東洋文庫の収蔵品にもたくさんの貴重な探検記があります。
そこで今回は、当店に2月にお目見えした、新しい旅行書をご紹介したいと思います。
まずは一冊目。1906年に発行された『PICTORIAL LONDON』から。


書籍名のとおり、1ページにひとつの写真が400ページ以上にわたって掲載されており、巻末には掲載されている場所のちょっとした説明も載っているので、
当時のロンドンを観光しているような気分になることができます。

有名なセント・パンクラス駅など、今の姿と見比べてみるのも楽しいかもしれません。

二冊目は、
次は、国内篇。こちらは絵葉書です。


バラで見るのも楽しいのですが、こういった袋に入ったまとまったものも、
そのパッケージが新鮮で、魅力的ではないでしょうか?
中にはこんな使用済みのエンタイアも入っております。

この方は、名古屋から犬山見物をしたようで、日記形式になっており、
記述は簡潔ですが、「ああ、当時の人たちは旅行の記録をこうして大切な人に伝えていたんだな。」と感慨深いですよね。
「(子供たちに)オ土産ヲタクサン買ツテ行クカラ」と書いてあり、「お土産欲しい!」と思わせます。
「(日記を)読む今日の読者が、何百年も昔に生きたその作者に突然一種の親近感を抱くような、なにか感動的な瞬間がないかと探し求めてきた」と書いたのは、
先日亡くなられたドナルド・キーンさんです。
キーンさんの代表作の一つに平安から近代の日本人が書いた日記を読み解く『百代の過客 日記にみる日本人』があります。(引用は『続 百代の過客』から)

過去の人を、自分たちからは遠く、その書いたものも「古典」として捉えるのではなく、
そこから当時の人々の息遣いを拾い上げる、優しさに満ちたキーンさんらしい作品です。
どの時代の人々も、その時代を常に、全身で、今まさに生きている。
そんな当たり前のことを感じ取れるような、今月の新入荷でした。
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
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●ホームページのトップの誌面を刷新し、中央列最下段に「作品紹介」のコーナーを新設しました。
安藤忠雄から六角鬼丈まで「主な取扱作家」38作家(各3~5点)の127作品を一挙掲載したのに続き、靉嘔、山田正亮、アントニン・レーモンド、磯辺行久、ジョエル・シャピロ、槇文彦、マン・レイ、嶋田しづ等を次々と掲載しています。すべて在庫がありますので、ご注文いただけます。
画面をスクロールすると全点をご覧いただけますし、ご興味のある画面をクリックすると当該作品のページ(詳細なデータ入り)にリンクします。
作品紹介の更新は毎週4回(火曜・木曜・金曜・土曜)を予定しています。
森内敬子 Keiko MORIUCHI《甦みかえった玉京山の桃》
色紙に油彩、金箔
27.3×24.5cm
右下に筆サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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