磯崎新先生、プリツカー賞の受賞おめでとうございます。

「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞の今年度受賞者に磯崎新先生が選ばれました。日本人としては丹下健三、槇文彦安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛、伊東豊雄、坂茂に続く8人目となります。

埼玉県立近代美術館で開催中の「インポッシブル・アーキテクチャー」展には安藤忠雄先生の中之島プロジェクト(アーバンエッグ)と並び磯崎新先生のシルクスクリーン(刷り:石田了一)による「東京都新都庁舎計画」が展示されています。このとき磯崎先生はコンペ要綱に敢えて違反する「低層案」で師匠の丹下健三に挑み、敗れます。まさにインポッシブル・アーキテクチャーです。
同展にはときの忘れものも出品協力していますが、大好評のようです。
詳しい内容、見所については担当学芸員・富安玲子さんのエッセイをお読みいただきたいのですが、重量級の展示なので二階の企画展会場を出るとへとへとになるかも知れません。
いつもなら、常設はいいや、と会場を後にすることも多いでしょうが、今回ばかりは一階のコレクション展示コーナーを見逃しては困ります。
一階奥のカフェで一休みしてから行くか、それとも最初に見るかはお任せするとして、いつもの静かなコレクション展示と異なり、熱気あふれる瑛九の特別展示が凄いことになっています。

まずは、「瑛九の部屋」の動画を3本ご覧ください。
埼玉県立近代美術館「特別展示:瑛九の部屋」
会期:2019年1月12日~4月14日
会場:埼玉県立近代美術館

●カノン「田園」の光と影~「瑛九の部屋」へ行こう #1.1


●Shotgun Q-Ei Method


●Rorschach Q-Ei


埼玉県立近代美術館、瑛九展も良かった。小部屋で見た明るさMAXの「田園」は神がかっていて、ギラギラの太陽が眩しく照りつけるイメージ。3D的に見ると、どんどん作品に吸い込まれます。昔は展示にBGMをかけたらしく、自分も某曲をイメージしました。点描が氏の生命の粒子に見えました…
(20190304/sjwnさんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館、MOMASコレクションの瑛九の部屋《田園》素晴らしかった。照明の強弱を鑑賞者が自由にコントロールできる。どんな明るさでもその明るさで観られる美しさがあって、なかなか部屋を出てこれなかった。光量が変化していく瞬間のグラデーションの良さも体験できるのはかなり貴重かも
(20190303/ayakoさんのtwitterより)>

インポッシブルアーキテクチャーはクロストークの日に行った(立ち見の盛況💦)面白かった←感想一杯有りすぎて書けない😅瑛九の部屋では涙。コレクション展覧も大満足
(20190301/うさこふ∩∩こんな人たち さんのtwitterより)>

展示室の明るさを自由に変えるとか、普通は絶対にできないので、瑛九の田園の展示は、めっちゃ良かったです。
(20190303/だい さんのtwitterより)>

MOMASコレクション第4期:「 瑛九と光春―イメージの版/層 」。決して広くない展示スペースにかなりの情報が凝縮されている。写真など、戦前のモノも出てきて、2016年MOMASギャラリー4:「瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす」を見た記憶が少し重なって面白く拝見。
(20190226/りゅみゑーる。さんのtwitterより)>

今日は友人と北浦和まで足を伸ばし、瑛九の作品を見てきた。以前も展示に来たことあるが、今回は傑作『田園』が見れた。しかも自分で光を調光しながら見れるという環境。当たり前だけど物質を見る時に光は重要な要素だ。光量で見え方を変える、という実験が楽しかった。そして『田園』は素晴らしすぎた
(20190302/石倉康司さんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館、[特別展示 瑛九の部屋「田園」]は、作品の照明を観覧者自らが調節できるという画期的な展示。絵が光の明暗で変化する体験は貴重。
(20190301/r_grisさんのtwitterより)>

そして、コレクション展の瑛九《田園》の特別展示では、なんと自ら作品に当てる光を調節できる!
これが本当にすばらしい。絵が光の強度によって印象をガラッと変えることを実感する機会など、そうそうないのでは。
山田光春のガラス絵も必見。

(20190227/A•Kiharaさんのtwitterより)>

瑛九《雲》 サバンナを上から(鳥瞰)見下ろしてるみたいだった
《田園》 コレクションしてる加藤南枝さんの提案で鑑賞者が光を調節しながら作品を鑑賞するこの方法がめっちゃよかった(ライトデッサン)

暗めでみると、点描で描かれているこの絵がより点として見える
黄色が沈み青が暗さと相まって、見えやすくなる
描写面を楽しめる状態となる

今度は、明るめで見るとそれはそれで、タイトルにある通り風景として絵となる。日がさんさんと降り注いでる様な開放感溢れる田園になった

コントローラが手元にあるので、自分で色んな絵の状態を楽しめる

ちなみに、自分は暗めから少し明るくした時がよかった
朝が少し明けたときに見えるような風景と絵具の合間な感じがするから

(20190227/タイトルがpaintingって愚直過ぎます?さんのtwitterより)>

埼玉近美の常設展の瑛九特集は《田園》の光量が変えられるのが話題ですが、ふつうに特集展示としてかなり点数が出ているうえに解説も充実の内容なので、時間には余裕をみたほうがよいです。企画展と合わせれば半日コース
(20190226/鈴木俊晴さんのtwitterより)>

今回は以前他所で見て気になった瑛九の作品を見に。感想は「説明できないけれど目が離せない」他所で見た時の不思議な気分を再体験したような。
「瑛九の部屋」で光を当ててみると何層もの世界が重なっているように見えて、さらに不思議な気分は増す。

(20190224/magentaさんのtwitterより)>

埼玉県美の「瑛九の部屋」、瑛九の《田園》のただ一点が暗い小部屋に展示されており、観者自ら手元のダイヤルで部屋の明るさをかえながら鑑賞できるのは面白かった。
(20190223/浦野玄馬さんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館のコレクション展で見られる「瑛九の部屋」。ここでは瑛九《田園》の照度を鑑賞者が自由にコントロールできるという画期的な取り組みがなされています。実際にやると、作品の見え方がどんどん変わって面白かった。
(20190211/橋爪勇介さんのtwitterより)>

下に掲載したのは同館広報紙『ソカロ』2018年12月-2019年1月号「特別展示:瑛九の部屋」紹介記事です。
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埼玉県立近代美術館・広報紙ソカロ
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絵を見る、絵を体験するということはどういうことなのでしょうか。
わざわざ特別室を設えた「田園」は瑛九の最晩年の傑作というより、所蔵者・加藤南枝さんが言うとおり生涯の代表作です。
ずいぶん前になりますが亭主は清水の舞台から飛び降りる覚悟で加藤さんに「田園を一億円で買いたい」と交渉したことがあります。
加藤さん、鼻で笑って「ワタヌキさん、カンディンスキーがん十億円するのに、なぜ瑛九の田園を一億なんてはした金で売らなきゃいけないんだ」とあっさり振られました。

今から44年ほど前、加藤さんは新宿の紀伊國屋画廊を借りて「田園展」(1975年8月21日~8月26日、瑛九のライトデッサン展)を開催しました。画廊内を真っ暗にして「田園」にブラックライトをあてるという危険で冒険的な試みでした。それを見た人の多くは(亭主も含め)加藤さんの意図がよくわからなかった。
今回、埼玉県立近代美術館の担当学芸員たちは、所蔵者の意図と、作品の安全という二つの課題を慎重に勘案しながら見事な展示を実現しました。
美術館が作品をどう見せるか、今回の試みは歴史的な快挙ですが、主催者の意図は数多くのtwitterの投稿を読めば十分に報われたといえるでしょう。
百聞は一見に如かず、ときの忘れもののスタッフたちも社長命令で全員、体験してきました。

今回の特別展示が凄いのは、「田園」ばかりでなく、同館が所蔵する瑛九と、盟友山田光春(瑛九伝の著者)の貴重なスケッチブックとガラス絵を含む40点以上の作品を展示し、観衆の理解を深めようとしていることでしょう。コレクション展の枠を超えたちょっとした小企画展になっています。必見の展示です。
因みに今月3月10日は瑛九の命日です(1960年3月10日没 享年48)。

●ホームページのトップの誌面を刷新し、中央列最下段に「作品紹介」のコーナーを新設しました。
安藤忠雄から六角鬼丈まで「主な取扱作家」38作家(各3~5点)の127作品を一挙掲載したのに続き、靉嘔、山田正亮、アントニン・レーモンド、磯辺行久、ジョエル・シャピロ、槇文彦、マン・レイ、嶋田しづ等を次々と掲載しています。すべて在庫がありますので、ご注文いただけます。
画面をスクロールすると全点をご覧いただけますし、ご興味のある画面をクリックすると当該作品のページ(詳細なデータ入り)にリンクします。
作品紹介の更新は毎週4回(火曜・木曜・金曜・土曜)を予定しています。

●本日のお勧め作品は瑛九です。
qei_photodessin-hukituke瑛九 Q Ei
作品
Photo-dessin (photogram) and spray
23.0×38.3cm
Signed by Mrs. Q Ei on the back.
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


◆ときの忘れものは3月下旬の<アートバーゼル香港2019>に初出展し、「瑛九展」を開催します。
basel19会期:2019年3月27日(水)-31日(日)
会場:Convention & Exhibition Centre, HK
ときの忘れものブースナンバー:3D27
公式サイト:https://www.artbasel.com/hong-kong/
海外で瑛九の個展が開催されるのは今回が初めてです。

●瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 -宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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