昨日から始まった「眼差しの肖像画コレクション」、7人の作家による肖像画コレクションですが、まずは生前は注目する人もなく、長く忘れられていたベロック E. J. Bellocq [1873-1949]からご紹介しましょう。

べロックの生涯は謎に満ちています。
ニューオーリンズのカメラマンとして過ごしましたが、不器用で、偏屈、人付き合いも悪かったようです
脚光を浴びたのは死後、100枚ほどのガラス乾板が机の引き出しから発見されます。
そこに写っていたのは、1912年から撮影されていた、ニューオーリンズの娼婦たちのポートレート。この娼婦たちの写真だけが、ベロックの作品として現存しています。
それは彼の死から15年後、リー・フリードランダーが発見し、衝撃を受けた彼が遺された乾板を買取り、フリードランダーがプリントし、現代に甦らせたのでした。

E.J.ベロック(1873-1949)
べロックE.J.ベロック Ernest James BELLOCQ
ストーリービル・ポートレート
1911年頃
ゼラチン・シルバー・プリント
(リー・フリードランダーによるプリント、金調色P.O.P.プリント)
20.2×25.2cm
リー・フリードランダーのサインあり
体を切り裂くかのような線はガラス乾板が割れてしまったためです。

べロック_UntitledE.J.ベロック Ernest James BELLOCQ
"Untitled"
ゼラチンシルバープリント
25.2×20.2cm
裏面にリー・フリードランダーのサインあり

写っているのはすべてニューオリンズの紅燈街「ストーリーヴィル」の娼館で働いていた女性たちです。臆することなくカメラを見つめる娼婦たちの眼差し。撮影者との信頼なくしては生まれなかった写真です。
しかし、それは撮影されてから長く埋もれていました。
ベロックの存在が写真史に登場したきっかけは、1958年ニューヨークからやってきた写真家リー・フリードランダーがあるギャラリーを訪れ、ベロック撮影の乾板を見出しことにあります。1966年フリードランダーは、ベロックの乾板89点を買い取り、印画紙に焼付けます。
1970年にニューヨーク近代美術館で公開され大きな反響を呼んだのがこれらの写真です。

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◆ときの忘れものは眼差しの肖像画コレクションを開催しています。
会期:2019年8月23日[金]―9月7日[土] *日・月・祝日休廊
11_Gazing Portrait_0729両面卓抜な表現力と、深い人間観察に基づいて描かれた7人の作家による異色の肖像画コレクションをご覧いただきます。
出品作家:細江英公五味彬E.J.ベロックジョセフ・コーネル小野隆生森村泰昌三上誠

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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