野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第68回

「ART NAGOYAとその後」

2月、息子が予定日よりも早く産まれてくれたので、当初現地には行けないと思っていたART NAGOYAに、
初日のプレビューの日だけですが、日帰りで行く事ができました。
現地で綿貫さんご夫妻にもお会いでき、早々に出産祝いを頂きまして感謝しております。

202003野口琢郎_1686

今思うとART NAGOYAはギリギリ開催されましたが、それ以後にどんどんコロナウィルス拡大の影響が出て、
多くのイベントが中止、延期になっていきました。
デマで薬局からトイレットペーパーが消えたり、パニックは簡単に起きるものだと、改めて感じました。
ART NAGOYAは大阪のNii Fine Artsさんの部屋で出展させて頂き、
初日しか居なかったので一般公開は見ていませんが、やはり来場者数は少なかったようで、僕の作品も良い結果は出せませんでした。
今、コロナウィルスの影響で多くの業界が大打撃を受けていますが、いつになったら収束するのか不安です。
またウィルスの拡散が収束したとしても、経済や人の流れがすぐ元通りになるわけでは無く、時間は必要なのだろうと思うので、
一作家にとっても、これから作家として生きていけるのか、この仕事で家族を守っていけるのか、改めて考えさせられています。
とはいえ、今はとにかく、あまり何処にも行かずに家にいて作品を作る、それしかできないかとも思います。
そんな色々と暗いニュースが多い中で、唯一の癒やしは息子の琳太郎の可愛さかもしれません。
この子の為に、何とか生きていけるようにがんばらねばと思います。

202003野口琢郎_1691
202003野口琢郎_1695
202003野口琢郎_1703
202003野口琢郎_1705のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
ホームページhttp://noguchi-takuro.com/

◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。

*画廊亭主敬白
ウィルスの拡散が収束したとしても、(中略)これから作家として生きていけるのか、この仕事で家族を守っていけるのか、改めて考えさせられています。
作家はどこにも所属していません。一個人として美術市場の中で戦い、作品を売って家族を養わなければなりません。今月の野口さんのエッセイは、作家とともに歩む画商にとっても重く響きました。こういうときだからこそ、己の原点に戻り、美術品を扱うとはどういうことか、しっかりと考えたいと思います。

今日の夕方は久しぶりのときの忘れものに。現在開催中なのは銀塩写真のグループ展。こちらのギャラリーでシリーズで開催している企画で、今回も奈良原一高、瑛九、ジャン=ウジェーヌ・アジェ、マン・レイといった錚々たる巨匠たちの作品が並ぶ。
いずれの作品も銀塩写真のぬめるような質感に引き込まれるものばかり。どれも良かったんだけど、奈良原一高のアメリカ西部を舞台にした作品が乾いた風景と銀塩写真のコントラストが絶妙だった。実用的な価値は完全にデジタルカメラに奪われた技術なのは確かだけれど、表現の一つとして今後も残ってほしいと願わずにはいられない。
(20200311/林光一郎さんのブログより)>
雪のなか、「銀塩写真の魅力 Ⅵ」最終日@ときの忘れもの、に駆け込む。世田谷美術館の個展を見逃した奈良原一高の修道士のシリーズ「王国」からの静謐な作品、瑛九のフォトデッサンのモダニズムを心に刻む。その後、焼き上がったパイ、オージービーフのステーキ肉を持って母親宅へ、ワインを少し飲む。(20200314/lentil_beansさんのtwitterより)>
銀塩写真の魅力 Ⅵ」展は昨日、冷たい雨(ときに雪)の降る中、盛況裡に終わりました。
いつもの通り静かな展覧会と思いきや、新型コロナウイルスの影響でしょうか(ほかが開いていない)、朝の開廊とともにたくさんのお客様が来場されました。
最初に奈良原一高先生の歴史的名作が売れ、最終日にはマン・レイ(石原悦郎さん旧蔵)を若い女性が買われるという、社長ニコニコの結果でした。皆さん、ありがとうございました。

●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
noguchi-53_ls47野口琢郎 Takuro NOGUCHI
"Landscape#47"
2019年
箔画/木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具
53×41cm
Signed

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

-------------------------------------------------
◎昨日読まれたブログ(archive)/2008年04月20日|三辺律子『Who ever loved that loved not at first sight?』(まことの恋をする人はみな一目で恋におちる)
-------------------------------------------------

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。