＊画廊亭主敬白
臨時休廊10日目。
＜こういうときこそ、美術や芸能や祝祭式が必要なのだと思います＞という亭主の盟友Hさんからのメールに応えて急遽始めた「一日限定！ 破格の掘り出し物」はいかがでしたでしょうか。
倉庫の奥に眠っていた珍しい作品を一日限定でおわけする試みですが、その最後を飾るのは駒井哲郎の超に超が三つくらい重なるレアな珍品、もちろんレゾネ未収録です。
駒井 (1)
駒井哲郎「誕生祝い」
1960年　銅版（エッチング）
9.5×7.1cm 　 Ed.30 　　Signed

戦後版画界のプリンスといわれた駒井先生には幾人ものパトロン（支援者）がいらっしゃいました。そのあたりのことは亭主の「駒井哲郎を追いかけて」で少し書いていますが、まだ書いていないのがこの作品の旧蔵者M氏です。M氏の愛息の二歳の誕生日お祝い作品です。現在この作品を所蔵しているのは世田谷美術館の福原コレクションのみ。福原義春さんにこの作品を献呈されたM氏の愛息も先年亡くなられ、ご遺族から私どもに託されたものです。
あの駒井先生に息子さんの肖像画（犬じゃあなくて猫が可愛いですね）を描かせたM氏のことはいずれきちんと書き残すつもりです。