*画廊亭主敬白
臨時休廊29日目。
世田谷美術館の「驚異の三人 !! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で」展の開催中止を受けて李禹煥、高松次郎の作品をご紹介しました。三人目の若林奮はないのかとリクエストがあり、本日の「一日限定! 破格の掘り出し物」は超レアなドローイングをご紹介します。
●若林奮《バー・ラジオのドローイング》
1982年  鉛筆、紙  33.5×51.4cm  サインあり
若林奮バーラジオ
1st_radioバーラジオ昔、神宮前に「全国の学芸員がその名を知っているのに、誰も行ったことがない」と言われた伝説のバーがありました。1972年に開店、わずか9席のカウンター席だけという内装は杉本貴志の「スーパーポテト」初期の傑作でしたが、今はもうありません。
バー・ラジオのことは、以前このブログでもご紹介しましたが、重厚な彫刻そのものといった感じのカウンターをつくったのが若林奮先生でした。本日の破格の掘り出し物はバー・ラジオのカウンターのためのドローイングです。
初めて行ったのは1983年11月4日の深夜でした。連れていってくれたのは二川幸夫さん。その日は千駄ヶ谷のGAギャラリー開館記念「磯崎新展」のオープニングでした。
二川さんの長年の夢だった建築ギャラリーのオープンには何百人もの人が駆け付けました。展示したのは磯崎先生の版画、すべて現代版画センターのエディションでした。お手伝いした私たちを労って、その夜の最後の打ち上げを二川さんはバー・ラジオで開いてくれたのでした。
オーナー尾崎さんは青山時代のときの忘れものから直ぐの場所に移転して、ヨーロッパの民家風一軒家の「サード・ラジオ」をやっています。