小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第34回
4月16日からお店の営業をストップし、そろそろ2週間が経ちます。
すでに「コロナ後」という言葉が生まれるほどの大転換となったしまった今回の危機、まだまだ先が見えず、当店も営業再開はいつになるのだろうか・・・という感じです。この間、ネットショップを充実させたり、ツイッターでの情報発信をさらに進めてみたりと、お店以外で売上を保つ施策を取っては見たものの、やはり私はお店がないと精神衛生的にも無理なようです。閉店している間に、お店を片付けようと思ってはいるものの、それもなかなか進まず。ツイッターで、ほかの本屋さんたちが、どんどん店を片付け、どんどん先の時代に進んでいるのを見て、焦る毎日です。
では、お前は何をしているのか?
この2週間、いちばん費やした時間が多いのは、2歳児の相手です。
2歳児にとって「コロナ」は、恐怖ではない様子。保育園が休園となり、一日中家にわたしか妻かのどちらかがいる状況も、「保育園も楽しいが、これはこれで悪くはない」という感じです。
というわけで、今月は「いつか買おうかなー」と考えていた、こちらの絵本セットを購入し、家で読み聞かせ三昧でした。

少しずつストーリーのある本が好きになってきて、私が読んであげたあとは、自分でページをめくりながら「おじいさんとおばあさんが、ゴニョゴニョ」と言っており、これはこれで悪くない、と思わせてくれます。
一方でこんな本も読み直していました。

この大きく変わる時代の節目である今、同じように「戦後」という時代の節目を「流通革命」を武器に駆け抜けた中内功とダイエーの戦後史。いや、「駆け抜けた」なんて、そんなに颯爽とした感じではなく、あらゆるものをなぎ倒しながら進んだ感じに近いかもしれません。戦争でかろうじて玉砕を免れ、本当に恐ろしいのは、死んだらそれを食べようとしている味方の兵士、と語る壮絶な体験から一転、戦後は一大流通帝国を作り上げました。
メーカーの論理で作り上げられていた価格を壊す消費者の味方のような存在だった中内の、肥大化していく自らの「帝国」から、最後は消費者たちから見放されるようにして消えていく、その生涯をなぜ読み直しているのかは、よくわかりません。
ただ著者の佐野眞一が言うような「矛盾だらけだった」中内の言葉と行動に、矛盾を許さない今の世界が学ぶべきものがある気がしてなりません。
やがて来る「コロナ後」の世界にも、ただの賢い「消費」ではなく、中内が作ろうした「買い物」の楽しみがあるように、と今からお店を再準備したいと思います。
(おくに たかし)
●小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧め作品は野口琢郎です。
野口琢郎 Takuro NOGUCHI
"azure"
2017年
箔画/木パネル、漆、金・銀、石炭、樹脂、アクリル絵具
162.1×130.3cm
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
*画廊亭主敬白
臨時休廊(在宅勤務)39日目
<私は「STAY HOME」の期間中に、”ときの忘れもの様”のブログを日々拝見することが日課となっています。
というのも「一日限定! 破格の掘り出し物」のイベントを知ったことがキッカケでした。
辰野金吾先生の設計した奈良ホテルの屋根瓦(桐箱入り)など、趣味の広さにただただ驚くばかりで、バーラジオへ行かれたこと、ドローイングもそうですが、羨ましい話も知れて楽しいです。
(Oさんからのメールより)>
このところアクセスが増えており、ありがたいことです。
「一日限定! 破格の掘り出し物」も思いがけずも好評で、第三弾の発信をすべく準備を進めておりますが、明日番外編として珍しい写真作品を「一日限定!」で出品します。お見逃しなく。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2008年03月24日|ザイフェルト・ストックマン@フォーマルハウト展 seifelt.stoeckmann@formalhaut
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◆ときの忘れものは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面の間、臨時休廊とし、スッタフは在宅勤務しています。メールでのお問合せ、ご注文には通常通り対応しています。
◆ときの忘れもののブログは作家、研究者、コレクターの皆さんによるエッセイを掲載し毎日更新を続けています(年中無休)。
皆さんのプロフィールは奇数日の執筆者は4月21日に、偶数日の執筆者は4月24日にご紹介しています。
◆ときの忘れものは版画・写真のエディション作品などをアマゾンに出品しています。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
4月16日からお店の営業をストップし、そろそろ2週間が経ちます。
すでに「コロナ後」という言葉が生まれるほどの大転換となったしまった今回の危機、まだまだ先が見えず、当店も営業再開はいつになるのだろうか・・・という感じです。この間、ネットショップを充実させたり、ツイッターでの情報発信をさらに進めてみたりと、お店以外で売上を保つ施策を取っては見たものの、やはり私はお店がないと精神衛生的にも無理なようです。閉店している間に、お店を片付けようと思ってはいるものの、それもなかなか進まず。ツイッターで、ほかの本屋さんたちが、どんどん店を片付け、どんどん先の時代に進んでいるのを見て、焦る毎日です。
では、お前は何をしているのか?
この2週間、いちばん費やした時間が多いのは、2歳児の相手です。
2歳児にとって「コロナ」は、恐怖ではない様子。保育園が休園となり、一日中家にわたしか妻かのどちらかがいる状況も、「保育園も楽しいが、これはこれで悪くはない」という感じです。
というわけで、今月は「いつか買おうかなー」と考えていた、こちらの絵本セットを購入し、家で読み聞かせ三昧でした。

少しずつストーリーのある本が好きになってきて、私が読んであげたあとは、自分でページをめくりながら「おじいさんとおばあさんが、ゴニョゴニョ」と言っており、これはこれで悪くない、と思わせてくれます。
一方でこんな本も読み直していました。

この大きく変わる時代の節目である今、同じように「戦後」という時代の節目を「流通革命」を武器に駆け抜けた中内功とダイエーの戦後史。いや、「駆け抜けた」なんて、そんなに颯爽とした感じではなく、あらゆるものをなぎ倒しながら進んだ感じに近いかもしれません。戦争でかろうじて玉砕を免れ、本当に恐ろしいのは、死んだらそれを食べようとしている味方の兵士、と語る壮絶な体験から一転、戦後は一大流通帝国を作り上げました。
メーカーの論理で作り上げられていた価格を壊す消費者の味方のような存在だった中内の、肥大化していく自らの「帝国」から、最後は消費者たちから見放されるようにして消えていく、その生涯をなぜ読み直しているのかは、よくわかりません。
ただ著者の佐野眞一が言うような「矛盾だらけだった」中内の言葉と行動に、矛盾を許さない今の世界が学ぶべきものがある気がしてなりません。
やがて来る「コロナ後」の世界にも、ただの賢い「消費」ではなく、中内が作ろうした「買い物」の楽しみがあるように、と今からお店を再準備したいと思います。
(おくに たかし)
●小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧め作品は野口琢郎です。
野口琢郎 Takuro NOGUCHI"azure"
2017年
箔画/木パネル、漆、金・銀、石炭、樹脂、アクリル絵具
162.1×130.3cm
Signed
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*画廊亭主敬白
臨時休廊(在宅勤務)39日目
<私は「STAY HOME」の期間中に、”ときの忘れもの様”のブログを日々拝見することが日課となっています。
というのも「一日限定! 破格の掘り出し物」のイベントを知ったことがキッカケでした。
辰野金吾先生の設計した奈良ホテルの屋根瓦(桐箱入り)など、趣味の広さにただただ驚くばかりで、バーラジオへ行かれたこと、ドローイングもそうですが、羨ましい話も知れて楽しいです。
(Oさんからのメールより)>
このところアクセスが増えており、ありがたいことです。
「一日限定! 破格の掘り出し物」も思いがけずも好評で、第三弾の発信をすべく準備を進めておりますが、明日番外編として珍しい写真作品を「一日限定!」で出品します。お見逃しなく。
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◆ときの忘れもののブログは作家、研究者、コレクターの皆さんによるエッセイを掲載し毎日更新を続けています(年中無休)。
皆さんのプロフィールは奇数日の執筆者は4月21日に、偶数日の執筆者は4月24日にご紹介しています。
◆ときの忘れものは版画・写真のエディション作品などをアマゾンに出品しています。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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