●お詫び(画廊亭主より)
昨日のブログで「NHK日曜美術館 奈良原一高特集」が5月29日に再放送されるとお伝えしましたが、間違いでした。いただいた情報に誤記があり(正しくは3月29日)、それをそのまま転載してしまいました。
深く、お詫びします。ブログは削除いたしました。
~~~~~~~
皆様こんにちわ。
ときの忘れもの国内担当のスタッフMです。
開催中の「没後60年 第29回瑛九展」(Web展/アポイントメント制)の会期も残り3日となりました。(5月30日(土)まで)
ときの忘れものでは初めて動画を制作し、第一部と第二部の2本をYouTubeで公開しています。来廊をご希望の方は前日までにメールでご連絡ください。
さて、今回は瑛九のリトグラフ(石版画)作品をご紹介いたします。
瑛九は1956年~1957年の2年間に約150点のリトグラフを制作しました。
油絵・水彩・銅版画を平行させながらですので、その熱量に圧倒されますね。
制作にあたり、瑛九は浦和の石版師 金森茂さんに依頼してプレス機を自宅に用意させ、自宅でリトグラフを刷っていたそうです。
中央)瑛九《蟻のあしあと》 右)瑛九《飛ぶ》
「リトにとりつかれてなかなか脱出できません。全くリト病です。すべてのものを放棄して金は全部リトの材料です。僕はリトのために、酔どれが酒のために金がほしいように金がほしいのです」
1956年12月16日 木水育男さん宛の書簡
(山田光春「瑛九 評伝と作品」(1976年、株式会社青龍洞) p.404より引用)
1957年にはタケミヤ画廊で「瑛九石版画展」を開き、同年「第一回東京国際版画ビエンナーレ展」にリトグラフの代表作である「旅人」「日曜日」を展示しています。後に約150点のリトグラフは福井のコレクター・木水育男さん、本間美術館、久保貞次郎先生の計三カ所にそれぞれ所蔵されることになったそうです。久保貞次郎先生は、1974年に瑛九の会によって発行された「瑛九石版画総目録」に「瑛九の石版画」と題した文章を寄せています。文章の冒頭部分がこちらです。
「 山形県酒田市の本間美術館につとめる佐藤七郎が瑛九の石版を一揃え、1958年になって美術館のために作家から購入したことは、のちになって瑛九の石版研究蒐集に有益な影響を与えた。写真撮影に熱心な七郎は瑛九が1960年の春死んだのち、かれの石版画149点全部を写真にとり、プリントをアルバムにはり、ペンで題や限定部数をいちいち書き入れて、廉価で仲間に頒布してくれた。この目録はそれから10年以上、ぼくたちがいつも傍にひきよせて、機会あるごとに、照合し、比較し、作品の確認に役立てたものである。この功績はたたえられねばならない。
佐藤七郎がそのアルバムを製作するときよりどころにした石版画のリストは、瑛九自身が1958年に作ったものである。その年の5月8日~10日、福井県武生市の公会堂で瑛九石版画展が、創美福井支部の主催で開かれ、瑛九はそのために自分の石版画の一覧表を作り提供したのであるが、かれは1958年になるとほとんど石版画制作には興味を示さなくなっていた。」
久保貞次郎「瑛九の石版画」『瑛九石版画総目録』(1974年、瑛九の会)P.61より引用
本間美術館の佐藤七郎さんが作成した目録(写真アルバム)の実物がこちらになります。
表紙



「没後60年 第29回瑛九展」に出品している「スケート」ももちろん掲載されています。


本間美術館の目録(写真アルバム)を元にして発行されたのが「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)です。酒田の本間美術館が瑛九顕彰に先駆的な役割を果たしたことを忘れてはならないでしょう。
*田中章夫「本間美術館と瑛九」を参照
「瑛九石版画総目録」の表紙に使われているのが開催中の「没後60年 第29回瑛九展」にも出品している「スケート」です。
左)裏表紙 右)表紙



瑛九《スケート》
1956年 リトグラフ
35.5×25.5cm
Ed.10
裏面に谷口都(瑛九夫人)の署名あり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.47

瑛九《森のドラマ》
1956年 リトグラフ
イメージサイズ:24.5x41.0cm
シートサイズ:38.6x54.5cm
Ed.20 サインあり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.87

瑛九《飛ぶ》
1957年 リトグラフ
イメージサイズ:40.0×27.0cm
シートサイズ :54.2×28.4cm
Ed.50 サインあり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.100
リトグラフは短期間に集中して制作されているため、即興的な描写が多いように思いますが、動きのある魅力的な作品ばかりです。
ご興味のある方は画廊へお越し下さい。アポイントメント制ですので前もってご連絡ください。
それでは皆様どうかお元気でお過ごしください。
(スタッフM)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2017年03月08日|もの派の関根伸夫がフルクサスの靉嘔86歳を寿ぐ
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◆没後60年 第29回瑛九展(Web展/アポイントメント制)開催中
会期=2020年5月8日[金]―5月30日[土]
皆様がご自宅で楽しんでいただけるよう初めて動画を制作し、第一部と第二部をYouTubeで公開しています。
特別寄稿・大谷省吾さんの「ウェブ上で見る瑛九晩年の点描作品」もぜひお読みください。
※アポイント制にてご来廊いただける日時は、火曜~土曜の平日12:00~18:00となります。前日までにメールでご予約ください。日・月・祝日休廊。

1958~59年の点描を中心に、油彩、フォトデッサン、版画など15点を展示しています。
今まで研究者やコレクターの皆さんが執筆して下さったエッセイや、亭主が発信した瑛九情報は2020年5月18日のブログ「81日間<瑛九情報!>総目次(増補再録)」にまとめて紹介しています。
◆ブログは作家、研究者、コレクターの皆さんによるエッセイを掲載し毎日更新を続けています(年中無休)。皆さんのプロフィールは奇数日の執筆者は4月21日に、偶数日の執筆者は4月24日にご紹介しています。
◆ときの忘れものは版画・写真のエディション作品などをアマゾンに出品しています。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
昨日のブログで「NHK日曜美術館 奈良原一高特集」が5月29日に再放送されるとお伝えしましたが、間違いでした。いただいた情報に誤記があり(正しくは3月29日)、それをそのまま転載してしまいました。
深く、お詫びします。ブログは削除いたしました。
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皆様こんにちわ。
ときの忘れもの国内担当のスタッフMです。
開催中の「没後60年 第29回瑛九展」(Web展/アポイントメント制)の会期も残り3日となりました。(5月30日(土)まで)
ときの忘れものでは初めて動画を制作し、第一部と第二部の2本をYouTubeで公開しています。来廊をご希望の方は前日までにメールでご連絡ください。
さて、今回は瑛九のリトグラフ(石版画)作品をご紹介いたします。
瑛九は1956年~1957年の2年間に約150点のリトグラフを制作しました。
油絵・水彩・銅版画を平行させながらですので、その熱量に圧倒されますね。
制作にあたり、瑛九は浦和の石版師 金森茂さんに依頼してプレス機を自宅に用意させ、自宅でリトグラフを刷っていたそうです。
中央)瑛九《蟻のあしあと》 右)瑛九《飛ぶ》「リトにとりつかれてなかなか脱出できません。全くリト病です。すべてのものを放棄して金は全部リトの材料です。僕はリトのために、酔どれが酒のために金がほしいように金がほしいのです」
1956年12月16日 木水育男さん宛の書簡
(山田光春「瑛九 評伝と作品」(1976年、株式会社青龍洞) p.404より引用)
1957年にはタケミヤ画廊で「瑛九石版画展」を開き、同年「第一回東京国際版画ビエンナーレ展」にリトグラフの代表作である「旅人」「日曜日」を展示しています。後に約150点のリトグラフは福井のコレクター・木水育男さん、本間美術館、久保貞次郎先生の計三カ所にそれぞれ所蔵されることになったそうです。久保貞次郎先生は、1974年に瑛九の会によって発行された「瑛九石版画総目録」に「瑛九の石版画」と題した文章を寄せています。文章の冒頭部分がこちらです。
「 山形県酒田市の本間美術館につとめる佐藤七郎が瑛九の石版を一揃え、1958年になって美術館のために作家から購入したことは、のちになって瑛九の石版研究蒐集に有益な影響を与えた。写真撮影に熱心な七郎は瑛九が1960年の春死んだのち、かれの石版画149点全部を写真にとり、プリントをアルバムにはり、ペンで題や限定部数をいちいち書き入れて、廉価で仲間に頒布してくれた。この目録はそれから10年以上、ぼくたちがいつも傍にひきよせて、機会あるごとに、照合し、比較し、作品の確認に役立てたものである。この功績はたたえられねばならない。
佐藤七郎がそのアルバムを製作するときよりどころにした石版画のリストは、瑛九自身が1958年に作ったものである。その年の5月8日~10日、福井県武生市の公会堂で瑛九石版画展が、創美福井支部の主催で開かれ、瑛九はそのために自分の石版画の一覧表を作り提供したのであるが、かれは1958年になるとほとんど石版画制作には興味を示さなくなっていた。」
久保貞次郎「瑛九の石版画」『瑛九石版画総目録』(1974年、瑛九の会)P.61より引用
本間美術館の佐藤七郎さんが作成した目録(写真アルバム)の実物がこちらになります。
表紙


「没後60年 第29回瑛九展」に出品している「スケート」ももちろん掲載されています。

本間美術館の目録(写真アルバム)を元にして発行されたのが「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)です。酒田の本間美術館が瑛九顕彰に先駆的な役割を果たしたことを忘れてはならないでしょう。
*田中章夫「本間美術館と瑛九」を参照
「瑛九石版画総目録」の表紙に使われているのが開催中の「没後60年 第29回瑛九展」にも出品している「スケート」です。
左)裏表紙 右)表紙



瑛九《スケート》
1956年 リトグラフ
35.5×25.5cm
Ed.10
裏面に谷口都(瑛九夫人)の署名あり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.47

瑛九《森のドラマ》
1956年 リトグラフ
イメージサイズ:24.5x41.0cm
シートサイズ:38.6x54.5cm
Ed.20 サインあり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.87

瑛九《飛ぶ》
1957年 リトグラフ
イメージサイズ:40.0×27.0cm
シートサイズ :54.2×28.4cm
Ed.50 サインあり
※「瑛九石版画総目録」(1974年、瑛九の会)No.100
リトグラフは短期間に集中して制作されているため、即興的な描写が多いように思いますが、動きのある魅力的な作品ばかりです。
ご興味のある方は画廊へお越し下さい。アポイントメント制ですので前もってご連絡ください。
それでは皆様どうかお元気でお過ごしください。
(スタッフM)
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会期=2020年5月8日[金]―5月30日[土]
皆様がご自宅で楽しんでいただけるよう初めて動画を制作し、第一部と第二部をYouTubeで公開しています。
特別寄稿・大谷省吾さんの「ウェブ上で見る瑛九晩年の点描作品」もぜひお読みください。
※アポイント制にてご来廊いただける日時は、火曜~土曜の平日12:00~18:00となります。前日までにメールでご予約ください。日・月・祝日休廊。

1958~59年の点描を中心に、油彩、フォトデッサン、版画など15点を展示しています。
今まで研究者やコレクターの皆さんが執筆して下さったエッセイや、亭主が発信した瑛九情報は2020年5月18日のブログ「81日間<瑛九情報!>総目次(増補再録)」にまとめて紹介しています。
◆ブログは作家、研究者、コレクターの皆さんによるエッセイを掲載し毎日更新を続けています(年中無休)。皆さんのプロフィールは奇数日の執筆者は4月21日に、偶数日の執筆者は4月24日にご紹介しています。
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●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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