<御社の皆様はご無事でお過ごしでしょうか。
態々、遠くまで「建築家たち」展示開催のご連絡をいただき有難うございます。
昨日7/30日に無事に葉書が配達されました。
現在は日本米国間の郵便事情は、皆目見当がつかない状態です。
それでも、懐かしい日本からの便り、大変嬉しく感謝して居ます。
今回コービット19の世界的感染拡大の為、今春日本一時帰国を諦めました。
「駒井哲郎」回顧展のメールを拝読させて頂きました。
帰国中でしたら、貴画廊を訪ねてみたかったです。
来春は帰国可能だと良いのですが。
どうぞ呉々もご自愛くださいませ。
取り敢えずはお礼のメールを送信させて頂きます。
(2020年7月31日在米のNさんからのメール)>
コロナウイルス禍で(アポイントメント制をとっており)来廊者は激減していますが、案内状やメルマガ、WEB展を楽しみに見て下さる方も少なくなく、このブログもおかげさまで多くの方にお読みいただいています。
第1回ときの忘れものエディション展~建築家たち
会期:2020年7月21日(火)~8月8日(土)
出品:安藤忠雄、石山修武、磯崎新、光嶋裕介、六角鬼丈
出品作品の展示風景と画像はホームページに掲載しました。価格等については遠慮なくお問合せください。
戸田 穣先生(昭和女子大学・環境デザイン学部環境デザイン学科 専任講師)に「建築家のドローイング」についてお話しいただきました。YouTubeときの忘れものチャンネルにて公開中です。
ときの忘れものがエディションした5人の建築家の版画作品は200点を超え、その中から今回は23点を選び、展示しています。
5人のエディション作品をスタッフたちの拙い文章でご紹介していますが、安藤忠雄先生、磯崎新先生、六角鬼丈先生に次いで本日は石山修武先生の作品をスタッフSがご案内いたします。
石山先生が私たちの求めに応じて銅版画の制作にかかったのは2004年からでした。
「若い頃はしょっちゅうあった。明日何かの試験で一夜漬けで暗記しなければならぬ。そういう時に限って、全く別の世界の本を読みたくなる。イケないイケないと知りながらその欲求を押し止められない。しかも、そんな時の寄り道の読書くらい印象的なものは他に無い。記憶に残り、何がしかの生きる糧になってしまう。
決して若くは無い今、銅版画を始めてしまった。明日までにまとめなければならぬ難問山積みの設計図を尻目にしてである。仕事から逃げているわけではない。でも銅板に向う自分を止められない。もう、あと一彫りしてから仕事に戻ろうと思いながら、その一彫りが何十、何百彫りになっている。自分で自分をピンチに追い込んでいるのを知りながら、まだ彫っている。どうしてなのか理解できない。建築設計は天職だろうと自覚していた自分が怪しくなってくる位だ。そんな危険な状態で彫った線はやっぱり、我ながら不安に満ちている。建築の不安が彫られている。深い不安の先にしか希望はない、と居直るしかない。」
(銅版画制作に寄せた、石山先生のコメント)

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 3窟 正面》
2007年 銅版(刷り:白井四子男)
26.0×19.0cm Ed.15 サインあり

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 3窟 南奥》
2007年 銅版(刷り:白井四子男)
26.0×18.5cm Ed.15 サインあり

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 1窟 西》
2008年 銅版(刷り:白井四子男)
22.0×28.0cm Ed.15 サインあり

〈石山修武 銅版画集 荒れ地に満ちるものたち〉より
《鳥》
2004年 銅版(刷り:白井四子男)
15.0×20.0cm Ed.15 サインあり

《塔や伽藍も又 良く夢を育てた》
2016年 銅版(刷り:白井四子男)
12.3×12.3cm Ed.5 サインあり

《塔が作られた》
2016年 銅版(刷り:白井四子男)
56.5×22.3cm Ed.3 サインあり
「銅版を彫る感じは明らかにドローイングとは異なる。ドローイングは少なからず描くというよりも、立ち上げる、構える、という趣なのに対して、銅版は非構造的に彫るという風がある。ドローイングが伽藍を目指すのに比して、銅版は窟院を彫り続けるに例えられるだろう。
何を彫るのだろうか?
無意識の中にある記憶を彫っているのだろうと思われる。記憶は消えやすい。だからこそ蓄蔵したいと願うのだろう。銅版に対する時の他には無い手応え、質感はやはり願いとしか呼びようが無い。
32点の新作銅版群に、電脳化石神殿窟院巡りの風を与えたのは、彫る作業を終え、白井版画工房による刷りも、全て終えてからの事だ。つまり、彫っている時は自分でも何を彫っているのか良くは解らなかったのだ。これだけはただただ好きでしょうが無くて彫っているとしか言い様が無かった。
作品らしきに名をつけよ、と言われてハタと困った。どうにも名前がつけようが無い。困り果てた深夜、ポッと脳内に灯りがともった。これは窟院巡りのようなものではないかと。脳内風景の旅だろうと。それで一気に電脳化石神殿巡りの旅が生まれたのだ。」
(世田谷美術館「建築がみる夢 石山修武と12の物語」展カタログより)
南青山の旧・ときの忘れものにて、銅版作品に手彩色をしている石山先生

2017年3月に開催した「堀尾貞治・石山修武二人展 ―あたりまえのこと、そうでもないこと―」のオープニングにて、石山先生と堀尾貞治先生(右)のお二人による即席のギャラリートーク。
(撮影:土渕信彦様)
鬼才と呼ばれる建築家であり、世界各地で経たインスピレーションを独自の感性で表現する銅版画家でもある石山先生ですが、物書きとしても驚嘆すべき量を毎日執筆されています。石山先生の日記はスタジオGAYAに掲載されていますが、質も量も圧倒的です。文章によっては石山先生が書かれた原稿用紙がそのまま掲載されており、かなりの頻度でそこに絵が掲載されているため、次は何が見られるのかとついつい読み進めてしまいます。
(スタッフS)
■石山修武
建築家、早稲田大学教授。1944年生まれ。66年早稲田大学卒業。同大学院建設工学科修士課程終了。75年[幻庵]で衝撃的なデビュー。[伊豆の長八美術館]で85年吉田五十八賞、[リアス・アーク美術館]で95年日本建築学会賞、96年ヴェネチア・ビエンナーレでは瓦礫が散乱する廃墟を出現させ金獅子賞を受賞。著書『建築家、突如雑貨商となり至極満足に生きる』『現代の職人』『笑う住宅』『石山修武画文集 世田谷村日記』他。
◆「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」
会期=2020年7月21日[火]―8月8日[土]*日・月・祝日休廊、予約制/WEB展

ときの忘れものはおかげさまで開廊25周年を迎えることができました。展覧会の企画と版画の版元として活動してこれたことへの感謝をこめて、今までエディションした建築家(安藤忠雄、石山修武、磯崎新、光嶋裕介、六角鬼丈)の版画を展示し、動画を撮影、YouTubeに公開しました。
「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」の開催に際し、戸田 穣先生(昭和女子大学・環境デザイン学部環境デザイン学科 専任講師)に「建築家のドローイング」についてお話しいただきました。YouTubeときの忘れものチャンネルにて公開中です。
*古今東西の建築家のドローイングについてはジョヴァンニ・バティスタ・ピラネージからル・コルビュジエまで15人を論じたブログの八束はじめ・彦坂裕のリレー連載「建築家のドローイング」も併せてお読みください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
態々、遠くまで「建築家たち」展示開催のご連絡をいただき有難うございます。
昨日7/30日に無事に葉書が配達されました。
現在は日本米国間の郵便事情は、皆目見当がつかない状態です。
それでも、懐かしい日本からの便り、大変嬉しく感謝して居ます。
今回コービット19の世界的感染拡大の為、今春日本一時帰国を諦めました。
「駒井哲郎」回顧展のメールを拝読させて頂きました。
帰国中でしたら、貴画廊を訪ねてみたかったです。
来春は帰国可能だと良いのですが。
どうぞ呉々もご自愛くださいませ。
取り敢えずはお礼のメールを送信させて頂きます。
(2020年7月31日在米のNさんからのメール)>
コロナウイルス禍で(アポイントメント制をとっており)来廊者は激減していますが、案内状やメルマガ、WEB展を楽しみに見て下さる方も少なくなく、このブログもおかげさまで多くの方にお読みいただいています。
第1回ときの忘れものエディション展~建築家たち
会期:2020年7月21日(火)~8月8日(土)
出品:安藤忠雄、石山修武、磯崎新、光嶋裕介、六角鬼丈
出品作品の展示風景と画像はホームページに掲載しました。価格等については遠慮なくお問合せください。
戸田 穣先生(昭和女子大学・環境デザイン学部環境デザイン学科 専任講師)に「建築家のドローイング」についてお話しいただきました。YouTubeときの忘れものチャンネルにて公開中です。
ときの忘れものがエディションした5人の建築家の版画作品は200点を超え、その中から今回は23点を選び、展示しています。
5人のエディション作品をスタッフたちの拙い文章でご紹介していますが、安藤忠雄先生、磯崎新先生、六角鬼丈先生に次いで本日は石山修武先生の作品をスタッフSがご案内いたします。
石山先生が私たちの求めに応じて銅版画の制作にかかったのは2004年からでした。
「若い頃はしょっちゅうあった。明日何かの試験で一夜漬けで暗記しなければならぬ。そういう時に限って、全く別の世界の本を読みたくなる。イケないイケないと知りながらその欲求を押し止められない。しかも、そんな時の寄り道の読書くらい印象的なものは他に無い。記憶に残り、何がしかの生きる糧になってしまう。
決して若くは無い今、銅版画を始めてしまった。明日までにまとめなければならぬ難問山積みの設計図を尻目にしてである。仕事から逃げているわけではない。でも銅板に向う自分を止められない。もう、あと一彫りしてから仕事に戻ろうと思いながら、その一彫りが何十、何百彫りになっている。自分で自分をピンチに追い込んでいるのを知りながら、まだ彫っている。どうしてなのか理解できない。建築設計は天職だろうと自覚していた自分が怪しくなってくる位だ。そんな危険な状態で彫った線はやっぱり、我ながら不安に満ちている。建築の不安が彫られている。深い不安の先にしか希望はない、と居直るしかない。」
(銅版画制作に寄せた、石山先生のコメント)

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 3窟 正面》
2007年 銅版(刷り:白井四子男)
26.0×19.0cm Ed.15 サインあり

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 3窟 南奥》
2007年 銅版(刷り:白井四子男)
26.0×18.5cm Ed.15 サインあり

〈石山修武 銅版画集 電脳化石神殿〉より
《電脳化石神殿 1窟 西》
2008年 銅版(刷り:白井四子男)
22.0×28.0cm Ed.15 サインあり
〈石山修武 銅版画集 荒れ地に満ちるものたち〉より
《鳥》
2004年 銅版(刷り:白井四子男)
15.0×20.0cm Ed.15 サインあり
《塔や伽藍も又 良く夢を育てた》
2016年 銅版(刷り:白井四子男)
12.3×12.3cm Ed.5 サインあり
《塔が作られた》
2016年 銅版(刷り:白井四子男)
56.5×22.3cm Ed.3 サインあり
「銅版を彫る感じは明らかにドローイングとは異なる。ドローイングは少なからず描くというよりも、立ち上げる、構える、という趣なのに対して、銅版は非構造的に彫るという風がある。ドローイングが伽藍を目指すのに比して、銅版は窟院を彫り続けるに例えられるだろう。
何を彫るのだろうか?
無意識の中にある記憶を彫っているのだろうと思われる。記憶は消えやすい。だからこそ蓄蔵したいと願うのだろう。銅版に対する時の他には無い手応え、質感はやはり願いとしか呼びようが無い。
32点の新作銅版群に、電脳化石神殿窟院巡りの風を与えたのは、彫る作業を終え、白井版画工房による刷りも、全て終えてからの事だ。つまり、彫っている時は自分でも何を彫っているのか良くは解らなかったのだ。これだけはただただ好きでしょうが無くて彫っているとしか言い様が無かった。
作品らしきに名をつけよ、と言われてハタと困った。どうにも名前がつけようが無い。困り果てた深夜、ポッと脳内に灯りがともった。これは窟院巡りのようなものではないかと。脳内風景の旅だろうと。それで一気に電脳化石神殿巡りの旅が生まれたのだ。」
(世田谷美術館「建築がみる夢 石山修武と12の物語」展カタログより)
南青山の旧・ときの忘れものにて、銅版作品に手彩色をしている石山先生
2017年3月に開催した「堀尾貞治・石山修武二人展 ―あたりまえのこと、そうでもないこと―」のオープニングにて、石山先生と堀尾貞治先生(右)のお二人による即席のギャラリートーク。(撮影:土渕信彦様)
鬼才と呼ばれる建築家であり、世界各地で経たインスピレーションを独自の感性で表現する銅版画家でもある石山先生ですが、物書きとしても驚嘆すべき量を毎日執筆されています。石山先生の日記はスタジオGAYAに掲載されていますが、質も量も圧倒的です。文章によっては石山先生が書かれた原稿用紙がそのまま掲載されており、かなりの頻度でそこに絵が掲載されているため、次は何が見られるのかとついつい読み進めてしまいます。
(スタッフS)
■石山修武
建築家、早稲田大学教授。1944年生まれ。66年早稲田大学卒業。同大学院建設工学科修士課程終了。75年[幻庵]で衝撃的なデビュー。[伊豆の長八美術館]で85年吉田五十八賞、[リアス・アーク美術館]で95年日本建築学会賞、96年ヴェネチア・ビエンナーレでは瓦礫が散乱する廃墟を出現させ金獅子賞を受賞。著書『建築家、突如雑貨商となり至極満足に生きる』『現代の職人』『笑う住宅』『石山修武画文集 世田谷村日記』他。
◆「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」
会期=2020年7月21日[火]―8月8日[土]*日・月・祝日休廊、予約制/WEB展

ときの忘れものはおかげさまで開廊25周年を迎えることができました。展覧会の企画と版画の版元として活動してこれたことへの感謝をこめて、今までエディションした建築家(安藤忠雄、石山修武、磯崎新、光嶋裕介、六角鬼丈)の版画を展示し、動画を撮影、YouTubeに公開しました。
「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」の開催に際し、戸田 穣先生(昭和女子大学・環境デザイン学部環境デザイン学科 専任講師)に「建築家のドローイング」についてお話しいただきました。YouTubeときの忘れものチャンネルにて公開中です。
*古今東西の建築家のドローイングについてはジョヴァンニ・バティスタ・ピラネージからル・コルビュジエまで15人を論じたブログの八束はじめ・彦坂裕のリレー連載「建築家のドローイング」も併せてお読みください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
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