世界中の仲間や友達に呼びかける
そうしないと美術館は建たない
ジョナス・メカス インタビュー(1983年12月)
ーまず日本の印象は。
メカス 東京からずっと西の方まで行きましたけど、景色を見ても新しいものが生まれつつあるんだろうと思いました。
そして何よりも感じるのは、出会った人々の表情の中に、生きている歓びというのが見えて、ニューヨークの若い人に感じる緊張感がちっとも見えなかったということです。それから日本各地に美術館が建ちつつあるという話を聞きました。それは日本の人たちが、それを必要としているということでしょうし、新しい芸術に対する好奇心が活発に働いているということです。日本の良い一面でしょう。
ーアメリカでの映画美術館の状況は。
メカス まず美術館の役割りは保存すること、研究すること、そして見せるということです。保存ということについては’70年までは殆んど問題はありませんでしたが、それから褪化の問題が始まったわけです。研究ということでは、今では1400もの映画の研究講座が各地の大学にあります。美術館の必要性が増してきているわけてす。私のもとに次々とフィルムが寄贈されていますが、いまはそのままになっている状況です。
ーウォーホルは今度のポートフォリオによる基金計画を“時間の浪費”、SONYに買ってもらえと言ってますね。
メカス 確かに、企業が買ってくれたらいいんですが、実験映画や個人映画はお金にならないし、コマーシャルなものにはならないんですね。ですから自分はこうやって世界中の仲間や友達に呼びかけて寄附を仰いているわけです。でもウォーホルもそういうことを理解し、フィルムアーカイブが本当に必要だと承知した上でわざと言ってるんです。
一絵画作家との交流は?
メカス ‘60年代は絵かきの作品だけが平らなところに置かれるというのではなく、ハプニングやマス・メディアを使った創作活動が盛んでした。ラウシェンバーグ、ウォーホル、オルデンバーグ、みんな私の場所を使って創作活動をしていたんてす。だから今度もみんな協力してくれた。
ー今度、版画をつくられましたが。
メカス ええ、でもひとつ言っておかねばならないことは、あれは映画のひとコマをそのまま起こしたものです。それをまず分って欲しい。でも非常に面白いものが出来たと思ってますし、多分これで映画作家が自分の映画の中からとまった形のものを残すことが起きるんじゃないかと思います。それなりの価値があると思いますし。
ー最後に、メカスさんの職業は何言ったらいいてしょう。映像作家? 詩人?
メカス まあ、前衛の首相(ミニスター)というのか(笑)…何でもいいですよ。普通はフィルム・キューレターですね。(了)
『Ed 101号』ジョナス・メカス「映画美術館建設賛助計画」インタビュー
『Ed 101号』41ページ、1984年4月1日・現代版画センター発行

ジョナス・メカス映画美術館建設計画のブランドをもって来日していたジョナス・メカス氏。
約2週間にわたる日本各地での様々なスケジュールを精力的にこなして昨年末帰国した。東京・原美術館での「アメリカ現代版画と写真展」及びシンポジウムを始め、イメージ・フォーラムでの講演や自作作画「ロスト・ロスト・ロスト」の公開、あるいは九州や関西での若い映画人との交流など、氏の残した波紋、決して小さいものではなかったようだ。氏の話によると、映画美術館建設計画、本国アメリカでもなかなか容易な事業ではないという。そこで今号では、インタビュー及び山口勝弘氏の文章、それに日本で特別に制作したメカス版画作品を紹介する。(現代版画センター機関誌『Ed 101号』より)
●ジョナス・メカス映画美術館建設賛助エディション
現代版画センターとジョナス・メカス展実行委員会との共同エディションとして、シルクスクリーン7点を制作(刷り:岡部徳三)、メカスさんの初めて手掛けた版画作品である。

出品No.21「セルフ・ポートレイト~」
ジョナス・メカス
「セルフ・ポートレイト ラコステ(サド侯爵の城)の日蔭にて」
1983年
シルクスクリーン
37.0×51.0cm
Ed.75 signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「ジョナス・メカス展」を開催中です(アポイント制/WEB展)。
会期=2020年8月28日[金]―9月12日[土]*日・月・祝日休廊

昨2019年1月23日に96歳で亡くなったジョナス・メカスさんが1980年代から精力的に取り組んだ<フローズン・フィルム・フレームズ=静止した映画>シリーズに焦点をあて写真、版画など25点を展観します。
※アポイント制にてご来廊いただける日時は、火曜~土曜の平日12:00~18:00となります。
※観覧をご希望の方は前日までにメール、電話にてご予約ください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
そうしないと美術館は建たない
ジョナス・メカス インタビュー(1983年12月)
ーまず日本の印象は。
メカス 東京からずっと西の方まで行きましたけど、景色を見ても新しいものが生まれつつあるんだろうと思いました。
そして何よりも感じるのは、出会った人々の表情の中に、生きている歓びというのが見えて、ニューヨークの若い人に感じる緊張感がちっとも見えなかったということです。それから日本各地に美術館が建ちつつあるという話を聞きました。それは日本の人たちが、それを必要としているということでしょうし、新しい芸術に対する好奇心が活発に働いているということです。日本の良い一面でしょう。
ーアメリカでの映画美術館の状況は。
メカス まず美術館の役割りは保存すること、研究すること、そして見せるということです。保存ということについては’70年までは殆んど問題はありませんでしたが、それから褪化の問題が始まったわけです。研究ということでは、今では1400もの映画の研究講座が各地の大学にあります。美術館の必要性が増してきているわけてす。私のもとに次々とフィルムが寄贈されていますが、いまはそのままになっている状況です。
ーウォーホルは今度のポートフォリオによる基金計画を“時間の浪費”、SONYに買ってもらえと言ってますね。
メカス 確かに、企業が買ってくれたらいいんですが、実験映画や個人映画はお金にならないし、コマーシャルなものにはならないんですね。ですから自分はこうやって世界中の仲間や友達に呼びかけて寄附を仰いているわけです。でもウォーホルもそういうことを理解し、フィルムアーカイブが本当に必要だと承知した上でわざと言ってるんです。
一絵画作家との交流は?
メカス ‘60年代は絵かきの作品だけが平らなところに置かれるというのではなく、ハプニングやマス・メディアを使った創作活動が盛んでした。ラウシェンバーグ、ウォーホル、オルデンバーグ、みんな私の場所を使って創作活動をしていたんてす。だから今度もみんな協力してくれた。
ー今度、版画をつくられましたが。
メカス ええ、でもひとつ言っておかねばならないことは、あれは映画のひとコマをそのまま起こしたものです。それをまず分って欲しい。でも非常に面白いものが出来たと思ってますし、多分これで映画作家が自分の映画の中からとまった形のものを残すことが起きるんじゃないかと思います。それなりの価値があると思いますし。
ー最後に、メカスさんの職業は何言ったらいいてしょう。映像作家? 詩人?
メカス まあ、前衛の首相(ミニスター)というのか(笑)…何でもいいですよ。普通はフィルム・キューレターですね。(了)
『Ed 101号』ジョナス・メカス「映画美術館建設賛助計画」インタビュー
『Ed 101号』41ページ、1984年4月1日・現代版画センター発行

ジョナス・メカス映画美術館建設計画のブランドをもって来日していたジョナス・メカス氏。
約2週間にわたる日本各地での様々なスケジュールを精力的にこなして昨年末帰国した。東京・原美術館での「アメリカ現代版画と写真展」及びシンポジウムを始め、イメージ・フォーラムでの講演や自作作画「ロスト・ロスト・ロスト」の公開、あるいは九州や関西での若い映画人との交流など、氏の残した波紋、決して小さいものではなかったようだ。氏の話によると、映画美術館建設計画、本国アメリカでもなかなか容易な事業ではないという。そこで今号では、インタビュー及び山口勝弘氏の文章、それに日本で特別に制作したメカス版画作品を紹介する。(現代版画センター機関誌『Ed 101号』より)
●ジョナス・メカス映画美術館建設賛助エディション
現代版画センターとジョナス・メカス展実行委員会との共同エディションとして、シルクスクリーン7点を制作(刷り:岡部徳三)、メカスさんの初めて手掛けた版画作品である。

出品No.21「セルフ・ポートレイト~」
ジョナス・メカス「セルフ・ポートレイト ラコステ(サド侯爵の城)の日蔭にて」
1983年
シルクスクリーン
37.0×51.0cm
Ed.75 signed
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「ジョナス・メカス展」を開催中です(アポイント制/WEB展)。
会期=2020年8月28日[金]―9月12日[土]*日・月・祝日休廊

昨2019年1月23日に96歳で亡くなったジョナス・メカスさんが1980年代から精力的に取り組んだ<フローズン・フィルム・フレームズ=静止した映画>シリーズに焦点をあて写真、版画など25点を展観します。
※アポイント制にてご来廊いただける日時は、火曜~土曜の平日12:00~18:00となります。
※観覧をご希望の方は前日までにメール、電話にてご予約ください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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