先日、紹介した「Uコレクション」オークション。
意中の品を首尾よく落札出来たので、駒込の「ときの忘れもの」さんまで受け取りに行く。
久しぶりにオーナー綿貫ご夫妻と歓談。
以前、別のところで入手した古いデッサンに「久保貞次郎コレクション」との裏書きがあったので、その絵も持参して見ていただく。
普段、買っているのはポスター、セル画、紙芝居等なので、ギャラリーで絵を手に入れるチャンスはなかなかないけど、こういう交流がうまれるのがたのしいところ。
アマゾン、楽天でモノを買うのとはちがう。
その昔に洲之内徹の「気まぐれ美術館」を読んで以来、画家と画商とコレクターが織りなす世界というか、サロンようなものに憧れていたので、話をうかがっていると、その末席に連なれたよーな気がしてうれしい。

(20211223/渡邊隆史さんのfacebookより)>

今年の活動を昨日(前半)と、今日(後半)で振り返ってみました。

●2021年6月29日―7月10日 「夏のコレクション展~瑛九、瀧口修造、オノサト・トシノブ
戦前、戦後を通じ日本の現代美術を主導した、瑛九瀧口修造オノサト・トシノブ三人の作品を展示しました。
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◆2021年7月18日―7月20日 「ART OSAKA 2021-光嶋裕介個展
開廊以来、建築家の作品をメインとしてきたときの忘れものは中之島の中央公会堂(大正7年竣工、国の重要文化財)での展示に、神戸で活躍する新進建築家・光嶋裕介の個展で出展参加しました。
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オンラインビューイングサイト「360 art room」にART OSAKA 2021の展示の様子が掲載されています。
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●2021年7月30日―8月14日 「夏休み こども図書室 熊谷守一・五味太郎の絵本と版画展
ときの忘れものでは初登場の熊谷守一と、五味太郎の版画作品と30冊ほどの絵本を用意した夏休みの特別企画を開催しました。
ご近所のご家族連れで賑わいました。
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◆2021年8月12日―8月22日 「Bunkamura Gallery 没後30年 倉俣史朗展
倉俣史朗が遺した貴重なスケッチをもとに版画にしたシルクスクリーン作品集「倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier」や家具、香水瓶などの幅広い作品を展示した没後30年の記念企画を渋谷のBunkamura Galleryで開催していただきました。
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●2021年8月13日―8月14日 葉栗剛 2日間だけの新作お披露目展-《紋紋力士像・阿》
アメリカのコレクターからの注文で制作された2mにもなる葉栗剛先生の《紋紋力士像・阿》が船積みされる直前に二日間だけ展示しました。
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●2021年9月3日―9月25日 「生誕110年 第30回瑛九展 フォト・デッサンと型紙
今年は瑛九の生誕110年、ときの忘れものの瑛九展も30回目を迎えました。フォト・デッサンと型紙を26点展示しました。
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『生誕110年 第30回瑛九展 フォト・デッサンと型紙』カタログ
発行:ときの忘れもの
発行日:2021年9月3日
サイズ他:25.7×17.2㎝、28頁、作品キャプションと年表のみ日英2か国語
執筆:ワーグナー浅野智子(美術博士)、飯沢耕太郎(写真評論家)
図版:34点
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
税込価格 880円、送料250円


●2021年10月8日―10月30日 「クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード展」
クリストとジャンヌ=クロードの《包まれた凱旋門、パリ、1961-2021》は、9月18日に完成、10月3日(日)まで展示され撤去されました。本展では、初期1960年代から晩年まで、コラージュをはじめオブジェ、版画など35点を出品しました。
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●2021年11月5日―11月20日 「秋のコレクション展/オブジェ
それ自体はどこにでもあるものを、作家がそこに新たな命を吹き込み不思議なオーラを放っているオブジェ! 一般の彫刻概念から逸脱するような立体の数々を展示しました。
202111/オブジェ展建畠覚造
202111/オブジェ展片岡昌


●2021年11月26日―12月11日 「Uコレクション展(入札)
建築界で長年活躍されているU氏のコレクションから21作家の24点を展示するとともに、全点を入札方式で頒布しました。
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室伏次郎先生右から室伏次郎先生、植田実先生、尾立麗子

カタログ表紙展覧会カタログ『Uコレクション関連ファイル
2021年11月26日発行
ときの忘れもの刊
B5変形サイズ、52頁
執筆:植田実、
対談:草間彌生×植田実
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
税込価格 880円、送料250円


●2021年12月21日(火)―25日(土) 「冬のコレクション2021~2022展
先日12月26日はヘンリー・ミラー(Henry Valentine Miller, 1891年12月26日 - 1980年6月7日)の生誕130年でした。年末年始の画廊ではヘンリー・ミラーをはじめ熊谷守一五味太郎元永定正など、冬でも暖かく楽しく過ごせるような明るい作品を展示しています。
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*画廊亭主敬白
コロナ禍でスタッフ全員が揃う日は月に一度あるかないかの一年でした。今も在宅勤務体制が継続しています。
当初は在宅で仕事が進むのかしらと危ぶんだのですが、若い人たちは凄いですね。朝の電話によるミーテイング、メールでの情報共有で大きな事故もなく何とか過ごすことができましたが、画廊の仕事はお客様あってのことで、対面でのやり取りが激減したのはとても辛いことでした。
また延期や変更で、個展を予定していた作家の皆さんにはたいへんご迷惑をかけてしまいました。申し訳ありません。

最後に亭主の個人的な感懐をいくつか。

蔵原惟繕監督の映画「執炎」がDVDに
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10月4日の東京新聞を見て驚きました。ひと昔前の2008年11月27日と、同年12月1日のブログで「執炎」について書いたことがあるのですが、もう見る機会はないだろうと諦めていました。それがDVDになった。早速買いたいのですが、うちにはテレビもモニターもないのでさてどうしたものか。

●活字中毒症の亭主は枕元に常時数冊の本をおいて寝しなにとっかえひっかえ読むのが日課です。
岸政彦 編『東京の生活史(筑摩書房)は、150人による150人への聞き書き集ですが、めちゃ重くて、厚い(1200頁)。細かい字でびっしりで目は疲れるし、手もしびれます。
一日に数人づつ読んでいますが、まだ100人ちょっと。この本の成り立ちはTwitterで始まったというプロジェクトですが、こういう手もあったかと感嘆しています。
筑摩書房の編集者に絶賛のメールを送ったら、
<岸さんの『東京の生活史』についても担当者へ伝えました。
あの本を三分の二も読んだなんてすごい!!と言っていましたよ。
みんな途中で挫折するのでは……と。担当者はゲラを読むのが無茶苦茶大変そうでした)>との返信あり、亭主今年一番のお勧めです。

ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー(白水社、矢倉尚子訳)はお近くの古本屋「BOOKS青いカバ」さんに勧められて読みました。
本屋の主人の日録ですが、毎日のように嫌な客の悪口を書き連ねているのですね。それがまた面白い。延々と続く悪口なのに読後感が爽やか(!)、さすが英国紳士、ウィットに富んでいます。
もちろん亭主も我が身にひきつけて読んでいるのですが(笑)、こんな風に嫌な客の悪口を言えたらなあ(などとは決して思っておりません)。

コロナ禍のせいで本の売り上げが少し増えたというニュースもありましたが、日本の町から書店がどんどんなくなっています。とても残念なニュースですが、私たちもお世話になった那須ブックセンターがついに閉店に。
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内田さん、長い間ご苦労さまでした。

群馬音楽センター開館60周年記念 講演会&演奏会
私はピカソやセザンヌを超えるような画家にはなれそうにない。しかし、世界標準の文化を、一枚一枚の絵を描くように、郷里を中心にこの地域に根付かせることはできるだろう。(井上房一郎)」(当日の実行委員の亀田慎也さんのfacebookから引用)
10月23日に高崎に群馬交響楽団のコンサートを聴きにいきました。亭主の恩人である井上房一郎さんの生涯の夢は、高崎を音楽、美術、哲学の町にすることでした。
群馬音楽センターは井上さんが設立に関わった群響の根拠地としてアントニン・レーモンドが設計、井上工業が施工しました。
亀田慎也005中央、緑の服が社長、その左が亭主。(撮影:亀田慎也さん)

竣工・開館した1961年に亭主は標高1000mの山奥の嬬恋村から高崎高校に進学、TMO(高崎高校マンドリン・オーケストラ)の部活動に没頭しました。現役高校生とOBたちが一体となって演奏する毎年夏の定期演奏会の多くは群馬音楽センターが会場でした。一時は廃部寸前だったのですが(そのときのことは「マンドリンと私」をお読みください)、何とか持ち直し現在は多くの部員によって活発な活動がされています。亭主も少し前までは高校生たちと一緒に舞台に上がっていたのですが、いまは裏方を務めています。

お耳汚しでしょうが、群馬音楽センターでの演奏をお聴きください(亭主も出演しています)。
オペラ座の怪人/2010年7月19日第43回定期演奏会 於:群馬音楽センター



光の舞曲/2007年7月16日第40回定期演奏会 於:群馬音楽センター


多事多難だった2021年が暮れて行きます。
どうぞ皆さん良いお年を!

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。