大竹昭子さんより「3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み」

二月に旧正月のごあいさつをお送りしてから早一ヶ月。
世の中の動きに気が滅入らされることが多いですが、
今日のように春らしい一日には心がなごみますね。

そう言えば十一年前のこの日も天気のいい穏やかな日だったな、
と思い出しながらこのメールを書いています。

本来ならば第17回「ことばのポトラック」の時期ですが、
今年も感染症の影響で延期せざるを得ません。
でも、ゲストの福島大玉村・歓藍社の方々とは連絡をとりあっていますので、
いつか実現する日が来ると思います。

彼らの活動はなかなか興味深いです。
大玉村の農家・野内彦太郎と出会い、刺激を受けて、生活の拠点をそこに移し、
さまざまな実験をしていますが、そのひとつが休耕田での藍の栽培です。
むかしは藍の染料で野良着などを染めるのは当たり前のことでしたが、
彦太郎さん曰く「キュウリやナスに負けて」てその伝統は途絶えました。
そっちのほうが儲かるからです。

歓藍社では、彦太郎さんから技術を学んで藍を栽培し、
藍の葉を発酵させて固めた「藍玉」を商品化することを考えています。
染めたものを売るのではなく、染料を流通させる。
そうすれば藍染めの文化を各地で再興できるのです。
実は足尾鉱毒事件のリーダー田中正造が、この方法で活動資金を貯めたそうなんです!

昨年、東京FM「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」では、
大玉村とつないで、歓藍社の中心メンバー、野内彦太郎さん、林剛平さん、佐藤研吾さんから直接話を聞きました。
その音源に大玉村の映像もいれてYouTubeで公開しました。
ぜひご覧になってみてください。

TOKYO FM 『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』
3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み


前篇


後篇


また以下の「ことばのポトラック」のブログでは、
16回のイベントの内容とダイジェスト映像がご覧になれます。


もうひとつお知らせをさせてください。
カタリココ文庫の新刊がでました。
大震災にあわせて写真家・畠山直哉さんの特集号です。

畠山さんは大震災で陸前高田にある実家とお母様を失って以来、
ずっと故郷を撮り続けてきました。
それをとおして考えたことを、ゆっくりした筆致で綴った随想「心の陸前高田」と、
昨年10月にこの本のために彼とおこなった対談を収録しています。
私は畠山さんとの対話をとおして、この未曾有の災害について
人間と自然の関係について、息長く考えていくことが出来ています。
とてもありがたく思います。

ライブイベントの「カタリココ」もずっと開けておりませんが、
カタリココ文庫を出していることにより、私の気持ちは途切れずに持続しています。
「マガジン航」にそのことについて寄稿いたしましたので、
そちらもあわせてお読みいただけるとうれしいです。

「カタリココ文庫をはじめたわけ」
https://magazine-k.jp/2022/03/10/katarikoko-bunko/
 
カタリココ文庫をお求めいただくには、通販サイトをご利用いただくか、
取扱店をお訪ねください。
https://katarikoko.stores.jp


最後まで長いメールをお読みいただき、ありがとうございました。
次回のご報告は次のカタリココ文庫が出る7月でしょうか。
その頃には出版社から新刊もでます。
カタリココ文庫もいちおう「出版社」ですけど!
大竹昭子

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●本日のお勧め作品は佐藤研吾です。作品価格は3月21日ブログをご参照ください。

No.4_囲い込むための空洞4No.4
《囲い込むための空洞4》
2022
クリ、鉄媒染、鉄
40 × 40 × 60cm
Signed


No.14_空洞で描くNo.14
《空洞で描く》
2022
画用紙に鉛筆、顔彩
36.0×52.0cm/38.5×52.5cm
Signed


No.15_空洞の展開No.15
《空洞の展開》
2022
画用紙に鉛筆、顔彩
23.0×23.0cm/46.5×34.5cm
Signed


No.29_空洞のための囲い3No.29
《空洞のための囲い3》
2022
銀塩写真
8.2×8.2cm/12.8×12.7cm
Signed

作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


*画廊亭主敬白
ときの忘れものは本日28日(月曜)も開廊しています。
ちょっとした事情でここしばらくブログの更新などはスタッフに任せきりでした。久しぶりに復帰して大竹さんが紹介してくれた歓藍社についてリンクを張ろうとしたら、さて弱った。
Googleで検索するとまずホームページがあり、次にInstagram、三番目がFacebookです。佐藤研吾さんにどこにリンクを張ったらいいのか聞いたら、ちょっと考えてからInstagramにして下さいとのことでした。
ときの忘れものもInstagram、Facebookを使っていますが、うまく使いこなせていません。今の時代は情報の発信の仕方がどんどん変化し、スピード化しているのですね。私たちのようなガラケー世代にはなかなかついていけません。
建築と社会の関係を視覚化する新しいメディアとして注目されているarchitecturephotoでも佐藤研吾展を特集していますのでぜひご覧ください。

「佐藤研吾展 群空洞と囲い」
会期=2022年3月25日(金)―4月3日(日) 11:00-19:00 ※会期中無休
作家は会期中毎日在廊します:3月25日(金)―4月3日(日)13時~19時まで。
*土曜と日曜の26日、27日、2日、3日は11時~19時まで終日在廊します。
339a2018年にときの忘れもので初個展『佐藤研吾展―囲いこみとお節介』を開催した若手建築家・佐藤研吾。2回目となる本展では、新作のピンホールカメラなどの立体や、それで撮った銀塩写真、ドローイングを展示します。2020年に拠点を東京から福島県大玉村に移したのち、東北と首都圏を往復しながら建築設計を中心に様々な活動を行なっており、ときの忘れものブログでは佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」を毎月7日に配信。展覧会に合わせてカタログを刊行します(執筆:佐藤研吾、都築響一)。
出品全32点の画像とデータ、価格は3月21日ブログに掲載しました。

●カタログのご案内
c0ab7318佐藤研吾展 群空洞と囲い
発行日:2022年3月25日
発行:有限会社ワタヌキ/ときの忘れもの
17.1×25.6cm、24頁、図版32点
テキスト:佐藤研吾、都築響一
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:880円(税込み)+送料250円

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊