瀧口修造が<「光の創作版画」と呼びたくなった>と述懐した瑛九のフォトデッサン。

僕も遂に米国から大きな申込みがやってきました。多分父上からそのことに就てはお聞き下さったでしょう。家内が父上へ手紙を書きましたから僕からは詳しく申上げません。
僕は今度こそ僕にとって絶好のチャンスだと思ってゐます。おそらく、僕の一生のうちで最も大きな事件となるでしょう。・・・

  (1953年3月9日 兄の杉田正臣宛 瑛九書簡より)>
瑛九の夢は世界の舞台での発表と評価でした。
今回出品する瑛九のフォト・デッサンの中には、生前アメリカで企画された(結局は実現しなかった)個展のためにいったんはアメリカに渡り、その後日本に戻ってきた作品も含まれています。
(世界の窓への道~海を渡った瑛九のフォトデッサン)参照
生前にその夢は叶いませんでしたが、それらが半世紀の眠りから覚め、ときの忘れものの壁面に並んでいます。
じつは赤丸がついた作品のうち、11点は明日展覧会終了とともに、荷造りされ、はるか海を越え、イギリスに渡ります。
ぜひぜひ天上の瑛九にその荷造りを見守ってほしい。
おそらく日本で再び見ることはできないでしょう。
私たちが最も信頼する研究者が「素晴らしい作品群に圧倒され、何かが覚醒した感じです。」とおっしゃってくださいましたが、画商として瑛九を扱って半世紀、これほどの質の高いフォトデッサンをまとめて展示できたのは今回が初めてかもしれません。


第33回瑛九展/湯浅コレクションは遂に明日で終了です。
会期:前期=2023年6月2日(金)~6月17日(土)/後期=6月20日(火)~6月24日(土) 
*前期の全作品のデータは5月31日ブログをご参照ください。
※価格についてはメールにてお問合せください。

02

04

05

06

11

12

13

15

16

17

18

19

20

21

23
旧蔵者の湯浅英夫さん撮影の瑛九のポートレート群も貴重です。

●展覧会に合わせてカタログを刊行しました。


『第33回瑛九展/湯浅コレクション』図録
発行日:2023年6月2日
発行:有限会社ワタヌキ/ときの忘れもの
図版:40点
写真:15点
執筆:大谷省吾(東京国立近代美術館)、小林美紀(宮崎県立美術館)、工藤香澄(横須賀美術館)
翻訳:小川紀久子、新澤悠(ときの忘れもの)
編集:Curio Editors Studio 
デザイン:柴田卓
体裁:B5判、84頁、日本語・英語併記
価格:2,750円(税込)+送料250円
--------------------------------

◆「第33回瑛九展/湯浅コレクション
前期=2023年6月2日(金)~6月17日(土)/後期=6月20日(火)~6月24日(土)
11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
カタログを刊行しました。詳しくは5月20日ブログをお読みください。
2397b0c7のコピー


●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊