ただいま開催中の「2025コレクション展4/瑛九、ウォーホル、ホックニー他」(~8月16日)には、音楽家、作曲家、詩人、思想家として現代美術界に大きな影響を遺したジョン・ケージの珍しい版画作品を出品しています。
「えっ、ジョン・ケージって版画もつくっていたの」と驚かれる人も多いでしょう。
おそらく現代音楽のコアなファンでさえ、知る人は少ない。
『4分33秒』に代表される実験音楽家として前衛芸術全体に影響を与え、独特の理論と表現によって音楽の定義をひろげた功績は大きい。
そうそう、キノコ研究家としても有名でしたね。
亡くなったのは33年前の今日、享年79でした。

ジョン・ケージの3枚のフィルムを自由に付けられるシルクスクリーン“Fontana Mix(Orange/Tan)”

ジョン・ケージ「Fontana Mix(Orange/Tan)
1982年
シルクスクリーン、紙、フィルム3枚(刷り:岡部徳三)
56.7×76.5cm

Ed.97  サインあり
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紙とフィルム三枚組の作品で、フィルムは自由に動かすことができるので、買った方がご自分でセットして自由に楽しめるという、いかにも楽譜をつかったジョン・ケージらしい作品ですが、当然のことながらこの作品をプロデュースした版元(パブリッシャー)がいます。
パブリッシャーにして実際にジョン・ケージを口説き、作品制作のサゼスチョンをし、刷りを担当したのが名人・刷り師の岡部徳三先生でした。

■ジョン・ケージ(John Milton Cage Jr.、1912年9月5日 – 1992年8月12日)。
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ジョン・ケージのポートレート「KARUIZAWA NAGANO JAPAN BY YUTAKA KURIYAMA」オフセット
73.0×51.5cm
左下に栗山豊のサインあり

「偶然性の音楽」をもって、伝統的な西洋音楽に非西欧的音楽思想や音楽表現による大きな衝撃を与えるとともに、その音楽表現を現代音楽の主要な様式の一つに定着せしめ、終始、現代作曲界の最尖鋭部分の牽引力として自己変革の先頭に立ち、音楽家のみならず、舞踏家、詩人、画家、彫刻家、写真家など広い分野の芸術家に大きな影響を与えた現代アメリカを代表する作曲家である。
京都賞のサイトより)

岡部徳三(おかべ・とくぞう 1932~2006)
版画刷り師。東京都出身。1964年岡部版画工房を設立。日本のシルクスクリーン版画刷り師の草分けとして、靉嘔オノサト・トシノブ草間彌生横尾忠則をはじめ、多くの現代作家たちの作品を手がけた。ジョン・ケージナム・ジュン・パイクジョナス・メカスなど版画に縁の無かった作家達にも積極的にアプローチして彼らの版画誕生に寄与し、美学校のシルクスクリーン教室の講師としても石田了一はじめ多くの英才を育てた。

20170809_岡部『画譜 創刊準備号』表紙 1974年3月
全国版画コレクターの会(仮称)準備会 発行
(1974年5月現代版画センターとして正式発足)
表紙の写真:当時の岡部版画工房と岡部徳三先生

◆「2025コレクション展4/瑛九、ウォーホル、ホックニー他」
会期:2025年8月1日(金)~8月16日(土) 11:00~19:00 ※日曜・月曜・祝日休廊

出品作家:靉嘔、赤瀬川原平、安藤忠雄、畦地梅太郎、泉茂、石山修武、磯辺行久、伊藤公象、瑛九、オノサト・トシノブ、恩地孝四郎、加藤清之、北川太郎、草間彌生、倉俣史朗、島州一、嶋田しづ、田名網敬一、難波田龍起、野田哲也、長谷川潔、日和崎尊夫、舟越保武、舟越直木、堀尾貞治、槇文彦、宮脇愛子、元永定正、百瀬寿、山口薫、横尾忠則、若林奮、アンディ・ウォーホル、ジョン・ケージ、ジャン・フォートリエ、デイヴィッド・ホックニー、ソニア・ドローネー、フェルナン・レジェ、マリー・ローランサンほか。
出品全47点の画像とデータは8月2日ブログに掲載しました。  

●お詫び
本日12日は、太田岳人の連載エッセイ「よりみち未来派」の掲載日ですが(隔月・偶数月12日の更新)、私ども(ときの忘れもの)の都合で8月は休載とさせていただきます。筆者の太田岳人先生と読者の皆さんにはお詫び申し上げます。
次回は10月12日に掲載予定です。
太田先生だけではなく他の連載も同様で、一~二ヶ月ほど休載させていただきます。
先日少しご報告しましたが、ホームページを全面的に改変し、連動してブログその他も全く今までとは異なるサイトでの公開作業にかかっています。
思ったより手間で、いまだに道半ばというところで、スタッフも喘ぎながら作業を進めています。
ご理解のほどお願い申し上げます。