画廊亭主が版元として版画のエディションをお願いした作家の中でも福沢一郎先生の大人然とした風貌は忘れがたいものがあります。
亭主と同郷、群馬県富岡の出身。制作の打ち合わせや、版画の試刷りをお持ちするなど幾度もご自宅に伺いましたが、上州弁丸出しで「おらあそんなことは知らねえ」というようなざっくばらんな会話でした。
本日10月16日は福沢一郎先生の命日です(1898年1月18日 – 1992年10月16日、享年94)。
晩年は文化功労者、文化勲章を受章、群馬県名誉県民など栄誉に恵まれましたが、前半生は苦難に満ちたものでした。
1924年にパリに留学、ちょうどブルトンがシュルレアリスム宣言を著した年です。彫刻からやがて絵画に移行し、1931年に帰国、独立美術協会で活躍しますが、1939年に同協会を脱退し、若手の画家たちとともに新たに美術文化協会を結成します。シュルレアリスムの影響を受けた画家たちの一大拠点となりますが、治安維持法違反の疑いにより、1941年(昭和16)4月5日詩人・評論家の瀧口修造先生とともに逮捕され7か月にわたり拘禁されます。この事件の衝撃で自由な表現を求める作家たちは権力に慄き、萎縮していきます。日本はアメリカとの開戦に突き進み、やがて破滅へといたります。
1979年に匠秀夫先生に執筆していただいた「福沢一郎の芸術」を再録しました。
福沢一郎 Ichiro FUKUZAWA
(メキシコ人(仮))
1957年
素描
イメージサイズ:50.0×19.0㎝
シートサイズ:55.0×39.5㎝
サインあり
●福沢一郎の版画/2019年5月17日ブログ
●匠秀夫「福沢一郎の芸術」
『PRINT COMMUNICATION 版画センターニュース』No.51 (1979年10月1日発行、現代版画センター)所収


●高崎市美術館で「福沢一郎の旅行カバン―画家とゆく世界の旅」展が開催されます。
会期:2025年10月18日~12月21日
主催・会場:群馬県・高崎市美術館
◆「銀塩写真の魅力Ⅸ」
会期:2025年10月8日~10月18日 ※日・月・祝日休廊
主催:ときの忘れもの
出品作家:福田勝治(1899-1991)、ウィン・バロック(1902-1975)、ロベール・ドアノー(1912-1994)、植田正治(1913-2000)、ボブ・ウィロビー(1927-2009)、奈良原一高(1931-2020)、細江英公(1933-2024)、平嶋彰彦(b. 1946)、百瀬恒彦(b. 1947)、大竹昭子(b. 1950)
*出品作品の展示風景及び概要はHPまたは10月4日ブログをご覧ください。
◆ときの忘れものは今年もアート台北「Art Taipei 2025」に佐藤研吾さんと参加出展します。
会期:2025年10月23日~10月27日(10月23日はプレビュー)
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1
ときの忘れものブース番号:B29
公式サイト: https://art-taipei.com/
出品作家:靉嘔、安藤忠雄、佐藤研吾、仁添まりな、釣光穂

出展内容の概要は10月13日ブログをご参照ください。
会場では、作家の佐藤研吾さんと、松下、陣野、津田がお待ちしております。
招待状が若干ありますので、ご希望の方はメールにてお申込みください。
●10月11日のブログで「中村哲医師とペシャワール会を支援する10月頒布会」を開催しています。
今月の支援頒布作品は北川民次と元永定正です。皆様のご参加とご支援をお願いします。
申し込み締め切りは10月20日19時です。
●ときの忘れものの建築空間(阿部勤 設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。 
外観



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