2024年後半(7月~12月)をふりかえって
ときの忘れものは12月28日で年内の営業を終え、冬季休廊に入りました。
本日のブログでは、12月29日のブログに続き、2024年後半の活動を振り返ります。
●第34回瑛九展/瑛九と池田満寿夫 2024年7月3日―7月13日

「抽象で銅版をやること。これらの瑛九の忠告が私に最初の五点の色彩銅版画をつくらせた」
(池田満寿夫『私の調書・私の技法』より)
今年が生誕90年となる池田満寿夫に初めに銅版画を勧めたのは瑛九だったそうです。今回の展示ではそんな二人の銅版画代表作をご覧いただきました。


展示のきっかけをくださった福本しのぶ様、パリで活躍された画家・福本章先生のお嬢様です。
●オディロン・ルドンとロベルト・マッタ 2024年7月24日―8月3日

フランスの象徴主義を代表する画家オディロン・ルドンと、シュルレアリスム運動に参加したロベルト・マッタの幻想的な版画や潜在意識に導かれた絵画を紹介したところ、酷暑の中、多くの方がご来場くださいました。山上紀子先生がルドン《ベアトリーチェ》について執筆くださった記事(3部構成)もぜひお読みください。


会期中に展示替えも
●杣木浩一×宮脇愛子 2024年8月20日―8月31日

今年が没後10年となる宮脇愛子先生を偲び、1981年から愛子先生のアシスタントを務めた杣木浩一先生との二人展を開催しました。初日は命日となる8月20日。磯崎新アトリエ出身の方々も多数ご来廊くださり、皆様「愛子さんに会いたい」と口を揃えて仰るなど、思い出話に花が咲きました。杣木先生は寡黙な方ですが、ブログでは雄弁に貴重な証言を残してくださっています。

左から、高橋幸博様、杣木浩一先生、櫛下順子様(関根伸夫先生が1968年神戸須磨離宮公園現代彫刻展で発表した《位相―大地》を一緒に穴を掘った協働者)。

宮脇愛子作品
◆ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024 アートフェアアジア福岡 2024 2024年9月19日―9月22日

初回から参加してきた福岡のアートフェアは、気づけば100軒前後の画廊が参加する大イベントに。建築、フルクサス、デモクラートの作家たちを紹介すべく、作品や工具などなどを詰めた合計42箱の段ボールと共に会場入りしました。お客様に作品を納品すると、涙を流して喜んでくださる場面も。



●生誕120年 瀧口修造展V Part 2 シュルレアリスム関連8作家とともに 2024年9月10日―9月21日

4月の「瀧口修造展V Part1」に続き、9月の「Part 2」では瀧口修造が折に触れ論じたシュルレアリスム関連作家の版画10数点と、未公開の瀧口修造のデカルコマニーや水彩を約15点ご覧いただきました。マン・レイの《回転扉(Pain Peint)》もこの展示の会期中、ついにお客様の手に渡ることに。


マルセル・デュシャンといえばこの人、瀧口修造先生らの貴重な資料を持って初日に駆けつけてくださった笠原正明様

難波田武男様
●特集展示/創作版画から戦後版画へ 2024年9月26日―9月28日

桑原規子先生によるご著書『戦後版画にみる日米交流1945-1965』の刊行を記念して、レクチャーとサイン会を開催しました。発売元のせりか書房は同じ文京区にあるとのことで、電話で注文を入れると代表自ら自転車で書籍を届けてくださいました。イベント当日はお客様で図書室がぎゅうぎゅうに。

サイン中の桑原規子先生
●松本竣介展 2024年10月4日―10月19日

5回目となる「松本竣介展」ではご遺族から油彩《Y市の橋》と《自画像》など貴重な作品を出品していただきました(参考出品)。さらにときの忘れものコレクションから油彩《構図》を展示。全国各地からお客様がいらっしゃいました。大谷省吾先生や、弘中智子先生と松本莞さんのギャラリートークには参加希望者が殺到し、はじめて抽選制を取り入れるほどに。

《Y市の橋》

大谷省吾先生のトークにも、サプライズで松本莞様が登場

弘中智子先生×松本莞様
●柳澤紀子×北川民次展 2024年10月30日―11月9日

共に静岡県出身の柳澤紀子先生と北川民次先生の2人展。柳澤先生には、展覧会初日と最終日にご在廊いただいたほか、桑原規子先生をインタビュアーに迎えたギャラリートークにご参加いただきました。美術に関心を抱いたきっかけに始まり、東京藝術大学在学中のエピソード、そして本展覧会の出品作品に込めた想いに至るまで、90分に渡り語っていただく貴重な機会となりました。

桑原規子先生(左)と柳澤紀子先生

今年北川民次展を開催された世田谷美術館の担当学芸員の塚田美紀先生(右)
◆岡山・磯崎新建築ツアー 2024年11月14日ー11月15日
岡山県にある磯崎新建築2軒(奈義町現代美術館、岡山西警察署)と国宝建築2軒(吉備津神社、旧閑谷学校)を巡る1泊2日のツアーを開催しました。昨年は群馬での磯崎ツアーを開催しましたが今年もお客様たちと充実の旅に。夕食に入ったお店に舟越桂先生の版画が飾られているという嬉しい偶然にも恵まれました。スタッフ・尾立によるレポートその1はこちらから。その2は近日公開予定です。


●佐藤研吾展 くぐり間くぐり 2024年11月22日―12月1日

建築家・佐藤研吾先生の2018年、2022年に続く3回目の個展を開催しました。来場者の中には、佐藤先生の中高大時代のご友人や、建築を学ぶ学生さんも多くいらしゃり、皆さんが寄せる共感、厚意、期待、憧れをひしひしと感じた10日間でした。本展の開催にあわせて制作された書籍『トンネル録』も充実した内容ですので、ぜひギャラリーでご覧ください。


屋外での作品解説から始まったギャラリートーク

大竹昭子先生(左)と佐藤研吾先生
●生誕90年 倉俣史朗展 Cahier 2024年12月13日―12月28日

年内最後の展示は、去年に引き続き倉俣史朗展。東京・富山・京都の美術館での大規模な回顧展を終え、ますます注目されている倉俣先生。生誕90年の節目に、今年完成した《Cahier 4》をはじめ、新たに入荷した《ランプ(オバQ)》《傘立て F.I.-86》、今年閉店した倉俣史朗先生による内装設計の鮨屋「梅の木」(赤坂)の家具などを展示しました。関康子様と大澤勝彦様のトークでは、近い距離で倉俣先生と接したお二人ならではの貴重なエピソードを多数披露していただきました。

ギャラリートークの様子


《Cahier》シリーズを刷ってくださった刷り師の石田了一先生(右)画廊亭主
★今年も毎月11日に「中村哲医師とペシャワール会を支援する頒布会」を開催いたしました。
送金額の累計は5,121,736円に(2024年12月30日現在)。皆様のご支援に感謝いたします。
★ときの忘れものフォトギャラリー
●2024年1月30日 靉嘔先生訪問

●2024年2月16日 富山の藤江民先生のアトリエ訪問

アトリエで藤江先生
●2024年2月16日 富山県美術館「倉俣史朗展」内覧会に出席

内覧会の様子

生前に制作された版画《無極I》《無極II》
●2024年3月1日 松下・板橋区美 内覧会


●2024年4月2日 高村光太郎を偲ぶ連翹忌(関連記事はこちら)

●2024年7月15日 綿貫 母校高崎高校マンドリン・オーケストラの定期演奏会へ。会場はレーモンド設計の群馬音楽センター

●2024年5月17日 ニューヨークからいらっしゃった内間洋子さんを囲むランチ会 前神奈川県立近代美術館館長の水沢勉先生


●2024年9月30日 綿貫、令子 横須賀美術館の瑛九展へ


●2024年10月6日 尾立、令子 長野県坂城の森版画工房へ


●2024年11月16日 杣木浩一先生、梅津元先生のギャラリートーク

*
今年も一年、ときの忘れものをご愛顧いただき誠にありがとうございました。
来年もどうぞお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
ときの忘れものは12月29日(日)~新年2025年1月6日(月)まで冬季休廊いたします。
●新年の営業は1月7日(火)からです。
メール等のお問い合わせには1月7日以降に順次返信いたしますので、少々お時間をいただきます。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

ときの忘れものは12月28日で年内の営業を終え、冬季休廊に入りました。
本日のブログでは、12月29日のブログに続き、2024年後半の活動を振り返ります。
●第34回瑛九展/瑛九と池田満寿夫 2024年7月3日―7月13日

「抽象で銅版をやること。これらの瑛九の忠告が私に最初の五点の色彩銅版画をつくらせた」
(池田満寿夫『私の調書・私の技法』より)
今年が生誕90年となる池田満寿夫に初めに銅版画を勧めたのは瑛九だったそうです。今回の展示ではそんな二人の銅版画代表作をご覧いただきました。


展示のきっかけをくださった福本しのぶ様、パリで活躍された画家・福本章先生のお嬢様です。
●オディロン・ルドンとロベルト・マッタ 2024年7月24日―8月3日

フランスの象徴主義を代表する画家オディロン・ルドンと、シュルレアリスム運動に参加したロベルト・マッタの幻想的な版画や潜在意識に導かれた絵画を紹介したところ、酷暑の中、多くの方がご来場くださいました。山上紀子先生がルドン《ベアトリーチェ》について執筆くださった記事(3部構成)もぜひお読みください。


会期中に展示替えも
●杣木浩一×宮脇愛子 2024年8月20日―8月31日

今年が没後10年となる宮脇愛子先生を偲び、1981年から愛子先生のアシスタントを務めた杣木浩一先生との二人展を開催しました。初日は命日となる8月20日。磯崎新アトリエ出身の方々も多数ご来廊くださり、皆様「愛子さんに会いたい」と口を揃えて仰るなど、思い出話に花が咲きました。杣木先生は寡黙な方ですが、ブログでは雄弁に貴重な証言を残してくださっています。

左から、高橋幸博様、杣木浩一先生、櫛下順子様(関根伸夫先生が1968年神戸須磨離宮公園現代彫刻展で発表した《位相―大地》を一緒に穴を掘った協働者)。

宮脇愛子作品
◆ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024 アートフェアアジア福岡 2024 2024年9月19日―9月22日

初回から参加してきた福岡のアートフェアは、気づけば100軒前後の画廊が参加する大イベントに。建築、フルクサス、デモクラートの作家たちを紹介すべく、作品や工具などなどを詰めた合計42箱の段ボールと共に会場入りしました。お客様に作品を納品すると、涙を流して喜んでくださる場面も。



●生誕120年 瀧口修造展V Part 2 シュルレアリスム関連8作家とともに 2024年9月10日―9月21日

4月の「瀧口修造展V Part1」に続き、9月の「Part 2」では瀧口修造が折に触れ論じたシュルレアリスム関連作家の版画10数点と、未公開の瀧口修造のデカルコマニーや水彩を約15点ご覧いただきました。マン・レイの《回転扉(Pain Peint)》もこの展示の会期中、ついにお客様の手に渡ることに。


マルセル・デュシャンといえばこの人、瀧口修造先生らの貴重な資料を持って初日に駆けつけてくださった笠原正明様

難波田武男様
●特集展示/創作版画から戦後版画へ 2024年9月26日―9月28日

桑原規子先生によるご著書『戦後版画にみる日米交流1945-1965』の刊行を記念して、レクチャーとサイン会を開催しました。発売元のせりか書房は同じ文京区にあるとのことで、電話で注文を入れると代表自ら自転車で書籍を届けてくださいました。イベント当日はお客様で図書室がぎゅうぎゅうに。

サイン中の桑原規子先生
●松本竣介展 2024年10月4日―10月19日

5回目となる「松本竣介展」ではご遺族から油彩《Y市の橋》と《自画像》など貴重な作品を出品していただきました(参考出品)。さらにときの忘れものコレクションから油彩《構図》を展示。全国各地からお客様がいらっしゃいました。大谷省吾先生や、弘中智子先生と松本莞さんのギャラリートークには参加希望者が殺到し、はじめて抽選制を取り入れるほどに。

《Y市の橋》

大谷省吾先生のトークにも、サプライズで松本莞様が登場

弘中智子先生×松本莞様
●柳澤紀子×北川民次展 2024年10月30日―11月9日

共に静岡県出身の柳澤紀子先生と北川民次先生の2人展。柳澤先生には、展覧会初日と最終日にご在廊いただいたほか、桑原規子先生をインタビュアーに迎えたギャラリートークにご参加いただきました。美術に関心を抱いたきっかけに始まり、東京藝術大学在学中のエピソード、そして本展覧会の出品作品に込めた想いに至るまで、90分に渡り語っていただく貴重な機会となりました。

桑原規子先生(左)と柳澤紀子先生

今年北川民次展を開催された世田谷美術館の担当学芸員の塚田美紀先生(右)
◆岡山・磯崎新建築ツアー 2024年11月14日ー11月15日
岡山県にある磯崎新建築2軒(奈義町現代美術館、岡山西警察署)と国宝建築2軒(吉備津神社、旧閑谷学校)を巡る1泊2日のツアーを開催しました。昨年は群馬での磯崎ツアーを開催しましたが今年もお客様たちと充実の旅に。夕食に入ったお店に舟越桂先生の版画が飾られているという嬉しい偶然にも恵まれました。スタッフ・尾立によるレポートその1はこちらから。その2は近日公開予定です。


●佐藤研吾展 くぐり間くぐり 2024年11月22日―12月1日

建築家・佐藤研吾先生の2018年、2022年に続く3回目の個展を開催しました。来場者の中には、佐藤先生の中高大時代のご友人や、建築を学ぶ学生さんも多くいらしゃり、皆さんが寄せる共感、厚意、期待、憧れをひしひしと感じた10日間でした。本展の開催にあわせて制作された書籍『トンネル録』も充実した内容ですので、ぜひギャラリーでご覧ください。


屋外での作品解説から始まったギャラリートーク

大竹昭子先生(左)と佐藤研吾先生
●生誕90年 倉俣史朗展 Cahier 2024年12月13日―12月28日

年内最後の展示は、去年に引き続き倉俣史朗展。東京・富山・京都の美術館での大規模な回顧展を終え、ますます注目されている倉俣先生。生誕90年の節目に、今年完成した《Cahier 4》をはじめ、新たに入荷した《ランプ(オバQ)》《傘立て F.I.-86》、今年閉店した倉俣史朗先生による内装設計の鮨屋「梅の木」(赤坂)の家具などを展示しました。関康子様と大澤勝彦様のトークでは、近い距離で倉俣先生と接したお二人ならではの貴重なエピソードを多数披露していただきました。

ギャラリートークの様子


《Cahier》シリーズを刷ってくださった刷り師の石田了一先生(右)画廊亭主
★今年も毎月11日に「中村哲医師とペシャワール会を支援する頒布会」を開催いたしました。
送金額の累計は5,121,736円に(2024年12月30日現在)。皆様のご支援に感謝いたします。
★ときの忘れものフォトギャラリー
●2024年1月30日 靉嘔先生訪問

●2024年2月16日 富山の藤江民先生のアトリエ訪問

アトリエで藤江先生
●2024年2月16日 富山県美術館「倉俣史朗展」内覧会に出席

内覧会の様子

生前に制作された版画《無極I》《無極II》
●2024年3月1日 松下・板橋区美 内覧会


●2024年4月2日 高村光太郎を偲ぶ連翹忌(関連記事はこちら)

●2024年7月15日 綿貫 母校高崎高校マンドリン・オーケストラの定期演奏会へ。会場はレーモンド設計の群馬音楽センター

●2024年5月17日 ニューヨークからいらっしゃった内間洋子さんを囲むランチ会 前神奈川県立近代美術館館長の水沢勉先生


●2024年9月30日 綿貫、令子 横須賀美術館の瑛九展へ


●2024年10月6日 尾立、令子 長野県坂城の森版画工房へ


●2024年11月16日 杣木浩一先生、梅津元先生のギャラリートーク

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今年も一年、ときの忘れものをご愛顧いただき誠にありがとうございました。
来年もどうぞお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
ときの忘れものは12月29日(日)~新年2025年1月6日(月)まで冬季休廊いたします。
●新年の営業は1月7日(火)からです。
メール等のお問い合わせには1月7日以降に順次返信いたしますので、少々お時間をいただきます。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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