日本を代表するコンセプチュアル・アーティストである松澤宥(まつざわゆたか)先生の生誕103年祭が長野県で開催されます。

●松澤宥 生誕103年祭
会期:2025年3月7(金)・8(土)・9(日)・14(金)・15(土)・16(日)
時間:10:00-16:30(最終入場16:00)
会場:下諏訪町旧矢﨑商店(⻑野県諏訪郡下諏訪町3156-19)
入場料:無料
2022年に長野県立美術館で開催された「生誕100年 松澤宥」に行かれた方も多いのではないでしょうか。
松澤宥は1922年 長野県諏訪郡下諏訪町生まれ。旧制諏訪中学(現・長野県諏訪清陵高等学校)を経て、1946年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業。その後渡米し、宗教哲学を修めて帰国。1964年6月1日深夜に「オブジェを消せ」という啓示を受け、概念芸術家としての活動を始めます。コンセプチュアル・アートの先駆者の一人として、欧米にもその名を知られました。1973年に美学校・諏訪分校を開講(1981年閉校)。2006年10月15日、郷里の下諏訪町で84年の生涯を閉じました。
20世紀の日本の現代アートを引っ張ったアーティストの一人であり 「日本観念芸術/概念派の始祖」と言われます。
(松澤宥 生誕100年記念サイトより)
今回の生誕103年祭では、未公開作品約10点を含む初期~後期までの作品を展示するほか、松澤先生の目撃情報やエピソードを広く募集しているそうです。

また、長野県立美術館で4月6日まで開催中の「信州から考える絵画表現の50年」展では、池田満寿夫、オノサト・トシノブ、草間彌生(敬称略)ら長野県出身作家の作品と共に《ハイゼンベルクの宇宙方程式に寄せて》など6点の松澤作品が紹介されているそうです。

●「信州から考える絵画表現の50年」
2025年2月1日(土)~ 4月6日(日)
※水曜休館
9:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
会場:長野県立美術館(長野市箱清水1-4-4)
さらに、諏訪市美術館で3月23日まで開催中の「交差する諏訪 ― 風景と人々」展にも《プサイの座敷》《虚空間状況探知センター》の2点が出品されているとのこと。
●「交差する諏訪‐風景と人々‐」
2025年2月1日(土)~3月23日(日)
※月曜、祝日の翌日は休館
9:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
会場:諏訪市美術館(長野県諏訪市湖岸通り4-1-14)
3月、長野の地でたっぷりと松澤氏の世界を堪能してみてはいかがでしょうか。
●ときの忘れもののコレクションから、稀少な『松澤宥 Ψの函』(造形社)をご紹介します。
本作に収録されているヨシダヨシエ先生のテキスト「プサイ函にまぎれ込んだ22の紙片」より引用します。
「あなたの目前にあるこの黒い函に収められているのは 一九四一年から四十年間にわたる 松澤宥の精神営為からたぐりだされた糸が あなたの想像力にからみついて 未だ人類がみたことも 読んだことも 行為したこともない 芸術を成りたたせている法則を別次元にあみあげてゆき その緻密な知の蜘蛛のあみの目にかかった乳白色の雫のレンズを通して あなたに世界をしらせる表現である」
『松澤宥 Ψの函』
限定350部 (No.084)
1983年
監修:ヨシダヨシエ
デザイン:芦澤泰偉
英訳:成田英明
製作:太平印刷社、誠美印刷、ハタノ商会、杉田原色版製版、今泉写植
発行:造形社
外箱サイズ:31.0×32.0×厚さ6.5cm
箱の内側に自筆サインあり
※8冊×9葉の72点の作品、および和英併録冊子(計9冊)を収録
箱の外観。
エンボスでタイトルが押されています。

箱の内側に自筆サインあり
奥付
8冊それぞれの中に9葉の作品が入っています。(作品は計72点)および和英併録冊子1冊も同梱。(計9冊)
それぞれの黒いパッケージを開けると9葉の作品が入っています。

作品の見積り請求、在庫確認はメール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-6902-9530)で承ります。「件名」「お名前」「連絡先(住所)」とご用件を記入してご連絡ください。
*画廊亭主敬白
逃がした魚は大きい、というべきか。
松澤宥先生は神田神保町の美学校の講師を勤めていました。
半世紀前の美学校は年中経営難で資金繰りに四苦八苦していました。
生徒は授業料を払わない(払わなくとも授業は受けられた)、講師に給料は払えない(払えなくとも辞める先生はいなかった)。それでも家賃や電気代はかかる。
雇われ校長の今泉省彦先生やシルクスクリーン教室の岡部徳三先生に頼まれて亭主もいくばくかの応援をしていました。
1982年の「美学校第3回シルクスクリーンプリントシンポジウム」
1983年の「草間彌生 南瓜 帽子」のエディション
いずれも美学校の経営危機に際して、作家が無償で(というか出来上がった作品をもらう形で)版画を制作し、美学校の生徒(つまり刷り師の見習い)が授業でその作品を刷る(刷り代はただ)、出来上がった版画を亭主が現金で買取り、そのお金が美学校の維持費に使われたわけです。
刷り師の見習いが授業で刷った作品だから正直言って出来は(刷りは)よくない。草間先生の大きな南瓜(今は数百万円はする)の細部を見ると色がずれている(笑)、しかし天才草間の生んだ作品だからそんな細かい点は吹っ飛んでしまう。いまや草間版画の代表作として回顧展のポスターにもなっている。草間先生や、美学校の講師たち~関根伸夫、柏原えつとむ、高橋雅之、堀浩哉、吉田克朗、松本旻たちの版画作品はこうして生まれました。
いや、一人欠けている、松澤宥先生が。
当時、松澤先生は神田ではなく信州諏訪の教場(美学校の諏訪分校)で教えておられました。新宿から電車に乗れば数時間、行けばいいものを、そのとき亭主はちょっと躊躇してしまった・・・
一生の不覚であります。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。


●松澤宥 生誕103年祭
会期:2025年3月7(金)・8(土)・9(日)・14(金)・15(土)・16(日)
時間:10:00-16:30(最終入場16:00)
会場:下諏訪町旧矢﨑商店(⻑野県諏訪郡下諏訪町3156-19)
入場料:無料
2022年に長野県立美術館で開催された「生誕100年 松澤宥」に行かれた方も多いのではないでしょうか。
松澤宥は1922年 長野県諏訪郡下諏訪町生まれ。旧制諏訪中学(現・長野県諏訪清陵高等学校)を経て、1946年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業。その後渡米し、宗教哲学を修めて帰国。1964年6月1日深夜に「オブジェを消せ」という啓示を受け、概念芸術家としての活動を始めます。コンセプチュアル・アートの先駆者の一人として、欧米にもその名を知られました。1973年に美学校・諏訪分校を開講(1981年閉校)。2006年10月15日、郷里の下諏訪町で84年の生涯を閉じました。
20世紀の日本の現代アートを引っ張ったアーティストの一人であり 「日本観念芸術/概念派の始祖」と言われます。
(松澤宥 生誕100年記念サイトより)
今回の生誕103年祭では、未公開作品約10点を含む初期~後期までの作品を展示するほか、松澤先生の目撃情報やエピソードを広く募集しているそうです。

また、長野県立美術館で4月6日まで開催中の「信州から考える絵画表現の50年」展では、池田満寿夫、オノサト・トシノブ、草間彌生(敬称略)ら長野県出身作家の作品と共に《ハイゼンベルクの宇宙方程式に寄せて》など6点の松澤作品が紹介されているそうです。

●「信州から考える絵画表現の50年」
2025年2月1日(土)~ 4月6日(日)
※水曜休館
9:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
会場:長野県立美術館(長野市箱清水1-4-4)
さらに、諏訪市美術館で3月23日まで開催中の「交差する諏訪 ― 風景と人々」展にも《プサイの座敷》《虚空間状況探知センター》の2点が出品されているとのこと。
●「交差する諏訪‐風景と人々‐」
2025年2月1日(土)~3月23日(日)
※月曜、祝日の翌日は休館
9:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
会場:諏訪市美術館(長野県諏訪市湖岸通り4-1-14)
3月、長野の地でたっぷりと松澤氏の世界を堪能してみてはいかがでしょうか。
●ときの忘れもののコレクションから、稀少な『松澤宥 Ψの函』(造形社)をご紹介します。
本作に収録されているヨシダヨシエ先生のテキスト「プサイ函にまぎれ込んだ22の紙片」より引用します。
「あなたの目前にあるこの黒い函に収められているのは 一九四一年から四十年間にわたる 松澤宥の精神営為からたぐりだされた糸が あなたの想像力にからみついて 未だ人類がみたことも 読んだことも 行為したこともない 芸術を成りたたせている法則を別次元にあみあげてゆき その緻密な知の蜘蛛のあみの目にかかった乳白色の雫のレンズを通して あなたに世界をしらせる表現である」
『松澤宥 Ψの函』
限定350部 (No.084)
1983年
監修:ヨシダヨシエ
デザイン:芦澤泰偉
英訳:成田英明
製作:太平印刷社、誠美印刷、ハタノ商会、杉田原色版製版、今泉写植
発行:造形社
外箱サイズ:31.0×32.0×厚さ6.5cm
箱の内側に自筆サインあり
※8冊×9葉の72点の作品、および和英併録冊子(計9冊)を収録
箱の外観。
エンボスでタイトルが押されています。
箱の内側に自筆サインあり
奥付
8冊それぞれの中に9葉の作品が入っています。(作品は計72点)および和英併録冊子1冊も同梱。(計9冊)
それぞれの黒いパッケージを開けると9葉の作品が入っています。
作品の見積り請求、在庫確認はメール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-6902-9530)で承ります。「件名」「お名前」「連絡先(住所)」とご用件を記入してご連絡ください。*画廊亭主敬白
逃がした魚は大きい、というべきか。
松澤宥先生は神田神保町の美学校の講師を勤めていました。
半世紀前の美学校は年中経営難で資金繰りに四苦八苦していました。
生徒は授業料を払わない(払わなくとも授業は受けられた)、講師に給料は払えない(払えなくとも辞める先生はいなかった)。それでも家賃や電気代はかかる。
雇われ校長の今泉省彦先生やシルクスクリーン教室の岡部徳三先生に頼まれて亭主もいくばくかの応援をしていました。
1982年の「美学校第3回シルクスクリーンプリントシンポジウム」
1983年の「草間彌生 南瓜 帽子」のエディション
いずれも美学校の経営危機に際して、作家が無償で(というか出来上がった作品をもらう形で)版画を制作し、美学校の生徒(つまり刷り師の見習い)が授業でその作品を刷る(刷り代はただ)、出来上がった版画を亭主が現金で買取り、そのお金が美学校の維持費に使われたわけです。
刷り師の見習いが授業で刷った作品だから正直言って出来は(刷りは)よくない。草間先生の大きな南瓜(今は数百万円はする)の細部を見ると色がずれている(笑)、しかし天才草間の生んだ作品だからそんな細かい点は吹っ飛んでしまう。いまや草間版画の代表作として回顧展のポスターにもなっている。草間先生や、美学校の講師たち~関根伸夫、柏原えつとむ、高橋雅之、堀浩哉、吉田克朗、松本旻たちの版画作品はこうして生まれました。
いや、一人欠けている、松澤宥先生が。
当時、松澤先生は神田ではなく信州諏訪の教場(美学校の諏訪分校)で教えておられました。新宿から電車に乗れば数時間、行けばいいものを、そのとき亭主はちょっと躊躇してしまった・・・
一生の不覚であります。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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