橋本凌一のフォトエッセイ「メモランダム東京百景」

第8回「猫はいいよな」

用無しの用  役立たずの役  ペットでなくてもペット  邪魔にされず  野良でも恐れられず  目障りだと排除もされず  犬との違いっぷり  いることをやめる存在  消えるのは孤影に哀愁が漂う前に忽然として  猫はいいよな  そして  独りいる鳥や虫・蟲に必ず付き纏う“流離の愁い”もいいよな  今後も徘徊続行

2023年2月18日
猫はいいよな 染井霊園 数基左には高村光雲・光太郎と智恵子が眠る墓 ボクは思う TOKYOにだって空はある いいよな猫は

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2020年5月28日
北区立中央公園 残照 老猫 いいよなネコは 徒然草に曰く・・・・・・ 一生は雑事の小節にさへられて 空しく暮れなん 日暮れ 塗遠し (百十二段)

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2021年1月8日
かつしかハープ橋・上平井水門そばの荒川河川敷 いくつあるかわからぬほどの猫の家 今日の凍てる烈風をも通さぬ密生した蘆の原 ここは街

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2022年12月22日
隅田川テラス 吾妻橋脇 猫はいいよな いい刻が過ぎようとすればいい姿で消えられる? 川鵜もいいよな 害鳥なのに法の保護下で餌も豊富で近辺に天敵無しで飛び回っていつの間にか消えられる?    ごめんな

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2024年8月20日
高田馬場駅前 蒸し暑さ!! ネコはいいよな さかえ通りの名物八百屋 サーキュレーターは正面 彼は見るモンロー 陶然の趣 時折ちょこっと立てる尻尾の先端 値札用立札に「このネコは・ぜったいに売りません・」と

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2024年9月16日
南池袋三丁目 18∶00ころ 超複雑で狭くて長い路地を抜出したらクルマゼロの駐車場ポッカリ 今日もまた酷暑 長月になってからもあっちでもこっちでもたくさん見て来たこんな光景 全身脱力して夕涼み 猫はいいよな

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2024年4月11日
「二丁目」の太宗寺 閻魔堂だからいかにも!の面構え ボクを睥睨・威嚇 けれどキミは野生じゃないんだよな ここが棲家 ヤーイ!御威光をカサに着てるデブ! とかなんとか毒づく が 思う 猫はいいよな

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2024年9月14日
大田区東雪谷 洗足流れに張り出したコミュスペース 18∶00頃 気息奄奄 漂う老いは濃厚 左耳と右前足の先端が欠損 が 両目爛々 涼んでるだけなんだ 近寄りなさんなよ と 敬意を表して徘徊中老耄は退散

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2020年8月26日
池袋東中央公園はサンシャイン60をこんなふうに見ながらずっと寝そべっていられる公園 直接サンシャインシティに入れる 入口に老猫

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2024年1月1日
豊洲大橋の下 2024にあと5時間くらい? アオサギ 近寄っても身じろぎせず 連日の我が湾岸徘徊にシンパシー? 憐憫? 背中に呟きあり ちょっとくらいは哲学なんかもしてみろよとか?

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2023年10月20日
午後6時半頃 新宿バスタのテラス 長~いベンチの角 10月19日!のカマキリ 並ぶ自分もしばし黙考 あの巨大ビルに振るうべし蟷螂の斧 哲学のふり キミもボクも残り時間僅少 されど現時点

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2023年8月19日
やもり いた カーテンを開けたら幸運の蟲 窓ガラスにピッタンコ 窓は開けずに仁王立ちして付き合う 負けたと思った瞬間チョロッと消えた そんなもんさ 口にまたアルコール 窓もカーテンもそのまんま

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2024年8月17日
アブラゼミ 我が舎房の窓 台風7号で避難? 違う ハネを見よ!僅かな残り時間全投入でメスを求めて必死全力の歌 豪雨凌駕のセミ時雨 舎房内は壁・天井に鳴き声乱反射の大音声 あはれを感じて耐えた1時間

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2021年4月25日
見次公園 広い池の一隅 動かぬ亀と向き合って動かぬ鴨 水に浸かったままの尾羽 亀は万年 この鴨は涅槃? 池畔は土曜日の大賑わい 明日からはまた緊急事態宣言下

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・連載・橋本凌一のフォトエッセイ「メモランダム東京百景」は毎月6日の更新です。次回更新は2025年5月6日です。どうぞお楽しみに。

※この連載は橋本さんのFacebook投稿により構成されています。「徘徊日=投稿日」ではないため、日付と文中の曜日が異なる場合がございますこと、あらかじめご了承ください。

●本日のお勧め作品は、仁添まりなです。
nizoe-19 (1)《毛桃猫図》
2024年
紙本着彩、絹、水干絵具、岩絵具、墨、染料(矢車)
119.0×42.0cm
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。


「ポートレイト/松本竣介と現代作家たち」展
2025年4月16日(水)~4月26日(土)11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
377_a出品作家:松本竣介、野田英夫、舟越保武、小野隆生、靉嘔、池田満寿夫、宮脇愛子+マン・レイ、北川民次、ジャン・コクトーほか

松本莞さんが『父、松本竣介』(みすず書房刊)を刊行されました。ときの忘れものでは莞さんのサインカード付本書を頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートークを開催してゆく予定です。
『父、松本竣介』の詳細は1月18日ブログをお読みください。
ときの忘れものが今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
画家の堀江栞さんが、かたばみ書房の連載エッセイ「不手際のエスキース」第3回で「下塗りの夢」と題して卓抜な竣介論を執筆されています。
1200-hyoshi著者・松本莞
父、松本竣介
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円


●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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