さすがメカスさんの展覧会だ、来廊者が途切れない。19時からジョナス・メカス新作映画『グリーンポイントからの手紙』の上映会、予約された21名のお客様が集った。ビールを片手に上映会が始まった。観始めてから気付いた。字幕スーパーじゃない・・・。
メカスさんの引越し風景だった。片付けられた後の寒々とした廊下に向かい、靴と床が接触する体重の掛かった音、自分に語りかけているようだった。新居に引越し、Boiled eggの殻をバリバリ剥きなが口に頬張り、「Thanks my friends!」・・・この言葉が私の耳に響き、今でも残っている。メカスさんは息子や男友達に囲まれている。音楽を聴き、スピーカーから聞こえるボリュームよりももっと大きな声で唄う。音と食のある生活だった。若い男友達とコーヒーショップでエスプレッソを啜り、新居でスープを啜る。時には腹の白い黒猫に話しかける。撫でてあげる。メカスさんの明朗な様はとても愛くるしい。普段の優し過ぎる表情、己の意見を話すときは真剣な眼差しをする。メカスさんにお逢いしてから色々な表情を見てきた。『グリーンポイントからの手紙』は温かかった。陶酔した。
映画が終わった後、ご近所のギャラリートキさん、森美術館の黒岩さん、メカスさんのコレクター岡本さん、メカスさんの母国であるリトアニアに写真を撮りに行った写真家の今井さん、写真家の萱原さん、綿貫さん、三浦さんと私で、原宿にある「紫波」という最高級の新鮮な素材を出してくれるしゃぶしゃぶ屋さんに行った。皆メカスさんのことをよく知っている。メカスさんの話やリトアニアを訪ねたトキさんと今井さんの話・・・メカスさんが大スキというのが伝わってきた。メカスさんへの情熱は誰にも負けない、そういった感じだった。岩手産の牛、たこ、いか、ホタテ、たっぷりの野菜など全て美味。素晴らしく温かい映画と美酒と美食、幸せです。

ジョナス・メカス新作映画 上映会