13時に写真家の今井智己さんと三浦さんと私で、ジョナス・メカスさんの宿泊先を訪ねた。サインをしてもらう最後の日なので、刷りあがったばかりの版画掌誌のシルクスクリーン全部数、本、写真など、サインの量は半端な数ではなかった。メカスさんは途中途中に、子供のような顔つきで手首をくねくね、腕をぶるぶるさせてサインを続けた。三浦さんが「これが最後のサインです。」と言うと、とても勢いよくサインをした。ありがとうとさよならの挨拶をし、メカスさんに、左、そして右・・・と、ハグしてもらった。
17時前に、岡部さんの娘さんが来廊され、みんなでお茶にすることになった。夢のために勉強している娘さんは、とても上品でしっかりした女性だった。
18時頃、「三男のコージです。」と突然男性が訪ねてきた。綿貫さんはキョトンとしていた。日和崎尊夫さんの息子さん(三男)がお友達を連れてオープニングに駆けつけてくれたのだ。日和崎さんを写真で見る限り、顔のパーツが似ている。綿貫さんは句集と版画掌誌を指し、「彼女が編集をしたの。」と私を紹介してくれた。その言葉がとてつもなく嬉しかった。綿貫さんは慌ててシャンパンを開け、日和崎さんと共有したそれぞれの時を語り合っていた。彼は小さい頃、日和崎さんが彫る姿を見ていたら、うるさいから下へ行けと言われていたなーと言っていたのを私は2階でシャンパンを飲みながら聞いていた。なき人の個展を催すということは、作家あっての賑やかさはないものの、故人を明るく偲ぶというかけがえのないもがあることを知った。きっと、息子さんも知らなかった父親像を綿貫さんから、また、お父様が制作した40点もの作品から知り得ることができたのではないだろうか。
仕事帰り、私は三浦さんと清澄白河に移転した8つのギャラリーが集結するギャラリーのオープニングパーティへ出掛けた。スペースを贅沢に使用して展示されており、8つのギャラリーはそれぞれ独自の色を出している。アート好きにはたまらない8倍楽しめる空間に違いない。メカスさんとだるまメカスさんと今井さん日和崎光児さん