“ときの忘れもの”今週のオークション 2005.11.19

<<ギャラリーときの忘れものだより・・・『版画掌誌第5号』完成!>>
『版画掌誌第5号』がついに完成いたしました!
特集1 ジョナス・メカス
新作『WALDEN』30点と旧作のシルクスクリーン作品7点の図版を掲載。
今回の個展のカタログとなっています。
テキスト/ジョナス・メカス、ヴィートウタス・ランズベルギス、他に略歴、フィルモグラフィー、主な邦訳書を所収。

A版には写真作品(2種類の内いずれか)とシルクスクリーン、B版にはシルクスクリーンを挿入。

特集2 日和崎尊夫

現在、ときの忘れもので個展を開催中の日和崎の代表作品29点の図版と國學院大学文学部教授谷川渥先生による作家論、日和崎自身の文(再録)、略歴を掲載。

A版・B版とも木口木版作品『たがねの花』(自筆サイン入り)『殖』の2点を挿入。
また、木口木版作品『鋼鉄の花』を挿入した『日和崎尊夫句集』もようやく実物をご覧いただけます。112ページ、俳句・短詩50篇、作品図版50点所収。画集としても充実した内容です。

<<今週の話題・・メカスさんとプーシキン美術館展>>
14日の朝、メカスさんは日本を離れました。55日間の滞在でした。作品や本にサインをいただくために何度もお会いできたのは、本当に幸せなことでした。私はいま英会話を習ってはいますが、実用的な英語力はまだまだ乏しく、せっかくメカスさんとお会いしても実のある会話が出来ず悔しい思いをしました。それでも、メカスさんの暖かい人柄に触れることができただけでも得がたい経験となりました。メカスさんは日本に来る前に映画監督のマーチン・スコセッシについての映画を撮影しており、NYに戻ったら5日間で7つのパートの内のパート1を編集し、上映するということでした。とても82歳とは思えないタフさです。健康をお祈りします。

さて、16日の朝、「プーシキン美術館展」を見てまいりました。9時半に上野駅につくと、駅から上野公園に向かって中高年の方々が続々と歩いています。

まさかと思いましたが、その列は上野公園を横切り東京都美術館へと続いていました。すんなりと入場は出来ましたが、すでに館内はたくさんの観客で、絵の前には幾重にも人垣が出来ており、その頭越しの鑑賞となりました。

入場して最初に展示してあるルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」のピンクのドレスの美しいこと、またその女性の肌の色の白さは私の好きな初期のルノワールの特徴でしょう。次の「黒い服の娘たち」では、メインで描かれている正面を向いた女性より、脇に描かれた横顔の女性のほうが魅力的と感じたのは私だけではないと思います。やはり、正面の顔はむずかしいのでしょうか。マチスの「金魚」は、評判どおりの素晴らしい絵で、緑色の植物、ピンクのテーブル、そして絵の中央に描かれた4匹の真っ赤な金魚がたいへん強烈な印象を与えます。カリエールは大好きな作家で、オルセーにある少女の絵が気に入っていますが、今回展示されている「母の接吻」には息を呑み、しばらく立ち尽くしました。思わず「欲しい」と思いました。最後に展示されているピカソの「アルルカンと女友達」のこちらを向いた女性の表情がなんともいえない悲哀のようなものを感じさせて、しばし見つめ合いました。

見終えて会場を出ると、入場15分待ちとなっていました。また、外に出ると、先程よりも多い人の列が駅から続いています。これから見に行こうとお考えの方は、ぜひ朝一番でお出かけになることをお薦めいたします。

◆今や、日本を代表する建築家・安藤忠雄の特集です。

1998年に発表されたシルクスクリーンによる大判ポートフォリオからの出品です。

安藤忠雄の代表的な建築といまだ実現していないプロジェクトのコンセプトを版画作品として表現した意欲作です。

◎安藤忠雄特集2 安藤建築の代表作「光の教会」シート
◎安藤忠雄特集7 安藤建築の代表作「大山崎山荘I」シート
◎版画処女作1984年「SCENE I/WALL」シート