9月24日まで、世田谷美術館で「クリエーターズ 長大作/細谷巌/矢吹申彦」の展覧会が開催されている。
14日の夕方、綿貫さんと私はオープニングに参加した。
まず、長大作さんがデザインした椅子たちの展示室から廻った。
公園に展開する弧を描いている大きい窓ガラスに沿って、美脚の椅子たちが奥までポンポンポンと配置されていた。入ってすぐ左の壁面には、解体された椅子と部品が掛けられていた。パーツ同士は組木のように組み立てられるようになっているようで、部品らしいものはほとんどない。木材を美しい曲線や直線になるまで削ったように思わせるほど、木目もまた美しい。背もたれの部分と坐る部分の弧が、人間の体の曲線に心地よくフィットするような美しいラインを描いていた。どの椅子も華奢く長い脚をしているのだが、存在は堂々たるものだった。
長大作さんの招き猫〈黒目のにゃん助〉に目を奪われながら、次の展示室に進んだ。
壁面にはインパクトのあるポスターなどが展示されてあった。
細谷巌・・・恥ずかしながらクリエーターの名前は初めて聞いたのだが、作品はほとんど見たことあるとても身近なもの。中央のほうに〈ポカリスエット〉と〈カロリーメイト〉が展示されていた。「えっ?これも?」と思わず声に出る。風邪の時はポカリスエット、節食中にはカロリーメイト・・・。私は細谷さんデザインのものに随分とお世話になっている。他にも「男は黙ってサッポロビール」と書かれたポスター、〈アオハタ55ジャム〉・・・日常のなかにいつの間にか当たり前に存在していたものだった。キューピーマヨネーズのCMも細谷さんの作品だった。CMが流れる度に反応してしまう刺激的な映像だ。中には音楽にあわせてたくさんのたらこキューピーが回り出すというギョッとするものもあるが・・・。野菜が野菜に見えなくて、食べられる物にも見えなくなってくる。マヨネーズなしでは食べられないぞーと言われているみたいだ。
また、細谷さんのデザインしたポスターは、必ずと言っていいほど言葉が入っている。私の気に入ったフレーズは「出来事には、次がある。」「過ぎた夏は、サンドイッチの包み紙のようなもの。」「森を歩いているとビタミンDに出会った。」「子供にピーナツを与えるな。」等。インパクトのあるデザインと断定的な言い種のフレーズによるコンビネーションには、がっちり心を掴まされた。
いつの間にか矢吹申彦さんの絵が並ぶ展示室に移動していた。
これらの作品もまた、どこかで目にしたことのあるものだった。身近なものは、森山直太朗の「さくら(独唱)」のCDジャケット。どの絵も超インパクトのあるもので、青い空に浮かぶもくもくとした白い雲や、色使いは幸せを語っているようだ。矢吹さんの作品は、永井桃子さんの温かい絵を思い出させてくれる。一番多く描いている猫は、リアルなのかそうでないのか混乱してきそうなほど不思議な感覚を覚える。その猫たちは今にも気の利いた言葉を言いそうな顔付きをしている。童話の世界のようだったり、ありえないシチュエーションだったり、意外に非現実的なものが多かった。〈1879年製のミルキー〉と〈SAZAESAN〉は、慣れ親しんでいるキャラクターは影と形だけを残してはいるもののそこにはあの可愛いペコちゃんとサザエさんは存在せず、超リアルに描かれているのでちょっと衝撃的だった。
この世に存在するほとんどのモノには創作者がいる。このことを、もっと気に留めて生活してみようと思うようになった。3名のクリエーターズの今後の作品を、まだまだ日常生活の中で確かめられることだろう。


14日の夕方、綿貫さんと私はオープニングに参加した。
まず、長大作さんがデザインした椅子たちの展示室から廻った。
公園に展開する弧を描いている大きい窓ガラスに沿って、美脚の椅子たちが奥までポンポンポンと配置されていた。入ってすぐ左の壁面には、解体された椅子と部品が掛けられていた。パーツ同士は組木のように組み立てられるようになっているようで、部品らしいものはほとんどない。木材を美しい曲線や直線になるまで削ったように思わせるほど、木目もまた美しい。背もたれの部分と坐る部分の弧が、人間の体の曲線に心地よくフィットするような美しいラインを描いていた。どの椅子も華奢く長い脚をしているのだが、存在は堂々たるものだった。
長大作さんの招き猫〈黒目のにゃん助〉に目を奪われながら、次の展示室に進んだ。
壁面にはインパクトのあるポスターなどが展示されてあった。
細谷巌・・・恥ずかしながらクリエーターの名前は初めて聞いたのだが、作品はほとんど見たことあるとても身近なもの。中央のほうに〈ポカリスエット〉と〈カロリーメイト〉が展示されていた。「えっ?これも?」と思わず声に出る。風邪の時はポカリスエット、節食中にはカロリーメイト・・・。私は細谷さんデザインのものに随分とお世話になっている。他にも「男は黙ってサッポロビール」と書かれたポスター、〈アオハタ55ジャム〉・・・日常のなかにいつの間にか当たり前に存在していたものだった。キューピーマヨネーズのCMも細谷さんの作品だった。CMが流れる度に反応してしまう刺激的な映像だ。中には音楽にあわせてたくさんのたらこキューピーが回り出すというギョッとするものもあるが・・・。野菜が野菜に見えなくて、食べられる物にも見えなくなってくる。マヨネーズなしでは食べられないぞーと言われているみたいだ。
また、細谷さんのデザインしたポスターは、必ずと言っていいほど言葉が入っている。私の気に入ったフレーズは「出来事には、次がある。」「過ぎた夏は、サンドイッチの包み紙のようなもの。」「森を歩いているとビタミンDに出会った。」「子供にピーナツを与えるな。」等。インパクトのあるデザインと断定的な言い種のフレーズによるコンビネーションには、がっちり心を掴まされた。
いつの間にか矢吹申彦さんの絵が並ぶ展示室に移動していた。
これらの作品もまた、どこかで目にしたことのあるものだった。身近なものは、森山直太朗の「さくら(独唱)」のCDジャケット。どの絵も超インパクトのあるもので、青い空に浮かぶもくもくとした白い雲や、色使いは幸せを語っているようだ。矢吹さんの作品は、永井桃子さんの温かい絵を思い出させてくれる。一番多く描いている猫は、リアルなのかそうでないのか混乱してきそうなほど不思議な感覚を覚える。その猫たちは今にも気の利いた言葉を言いそうな顔付きをしている。童話の世界のようだったり、ありえないシチュエーションだったり、意外に非現実的なものが多かった。〈1879年製のミルキー〉と〈SAZAESAN〉は、慣れ親しんでいるキャラクターは影と形だけを残してはいるもののそこにはあの可愛いペコちゃんとサザエさんは存在せず、超リアルに描かれているのでちょっと衝撃的だった。
この世に存在するほとんどのモノには創作者がいる。このことを、もっと気に留めて生活してみようと思うようになった。3名のクリエーターズの今後の作品を、まだまだ日常生活の中で確かめられることだろう。


コメント