7月19日に、綿貫さんとパレスホテルで3日間だけ開催される「PARKETT COLLECTION展」に行ってきました。昔、綿貫さんがニューヨークでアンディ・ウォーホルやジョナス・メカスさんと会ったとき交渉を助けて下さった真田さんという方がおり、その真田さんが企画した展覧会に招待されたのだった。

『PARKETT(パーケット)』とは、1984年よりスイスのチューリッヒで出版されている出版社パーケット社の美術雑誌で、年間2~3冊を刊行し、過去23年、今年で76巻の出版になります。この美術雑誌は、常に最先端の現代アーティスト達の紹介・啓蒙活動を継続しているもので、次世代をリードするアーティストをいち早く発掘・紹介しており、その実績は欧米の美術関係者の間で語り草になっています。
美術雑誌『PARKETT』は 1冊に3名のアーティストを特集しており、英語とドイツ語の2カ国語が収録されています。分厚い雑誌の刊行は購読料だけでは賄えず、その刊行を持続させるために、特集したアーティストに限定60部でエディションを制作してもらい、それを売って編集費をカバーしているそうです。
そのエディション作品の数は現在で168点となりました。雑誌刊行に伴って制作された先端アーティストのマルチプル作品は、絵画・版画・彫刻・インスタレーション・ビデオなど、広範にわたっていますが、このすべての作品を網羅しているコレクションは世界的にもきわめて稀な存在です。これまでパリのポンピドーセンターやニューヨークの近代美術館(MoMA)でPARKETT COLLECTION全作品を集めた展覧会が行われてきましたが、日本の美術館ではまだ企画されたことはありません。
そこで今回、その全エディション作品を日本に将来し、美術館へアプローチするためのプレ展覧会が開催されたというわけです。会場のパレスホテルでは「PARKETT COLLECTION展」の半数が紹介されました。

展示されていた作品はさまざま。思わずクスッと笑ってしまったもの、これも作品?と言いたくなるようなものもあった。食事の席で恋人同士が些細な喧嘩から殺し合いになるという、何も殺さなくてもと言いたくなるような映像。ドライヤーの風でピンポン玉が浮かされているというもの。地球に優しい作品ではないが・・・CELINEのサンダルの底に玩具みたいにプープーと音が鳴る仕掛けのものや、無造作に置かれたペイントされたひょうたんとリュック(床に置いてあったので誰かの忘れ物だと思った・・・)などがセットになったもの。耳元で囁かれる感覚のする、オルゴールの仕組みと似ている大きいイヤリング。さすがにお洒落とは言えないが・・・日本ではあまり見たことのない実にユニークなものばかり。私にとってこの展覧会は、アートと呼ばれるものが形式を持たず自由であることを目の当たりにする「現場」だった。

ゲルハルト・リヒターのエディションなど、当初は4,000ドル位で発売されたそうだが、今ではオークションで80,000ドルの高値で落札されたという。その他『PARKETT』の特集、またはエディショがきっかけとなり名前が広がったというアーティストも多いそうだ。
今回の主な展示アーティスト(順不同)は、ゲルハルト・リヒター、ジェフ・クーンズ、アンドレア・ガースキー、ブルース・ナウマン、シグマー・ポルケ、ロバート・ゴーバー、ダミアン・ハースト、レベッカ・ホーン、アンディ・ウォーホル、ルック・タイマン、アニッシュ・カプール、リチャード・アーシュワーガー、チャック・クローズ、マルレーヌ・デュマ、ピーター・ドイグ、トム・フリードマン、エリザベス・ペイトン、チャールズ・レイ、ジェームズ・タレル、カラ・ウォーカー、ジョン・ウェスレー、フランツ・ウエスト、草間彌生、杉本博司、森万里子 他。
過去23年の168点中の半数で十分にパワフルであった。カタログがわりの全作品の箱入りカードはときの忘れものでも扱っています。
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