殿敷侃
出品番号24「作品」
油彩 49.5x24.5cm
サインあり 額付
出品番号25.
殿敷侃 Tadashi TONOSHIKI
「ドームのレンガ」
ペン画・彩色 17.5×33.0cm
サインあり 額付
◆恒例の年末オークションのご案内をいたします。
今回の現代美術オークションには、日本有数の大コレクターだったK氏旧蔵の作品を15点出品します。いずれもK氏が生前に注目し、支援した作家たちです。
出品作品の中からいくつかをご紹介します。
先ず、殿敷侃の油彩とペン画です。
私は、克明にレンガを描いた殿敷侃の作品をK氏から見せられたとき全く反応できませんでした。生涯の痛恨事ですが、非常に珍しい名前だったこと、K氏が銀座の飯田画廊で偶然目にしてその集中力の塊のようなデッサンに一目でほれ込んだことを語ってくれたことはよく覚えています。
「ドームのレンガ」はタイトルからもうかがえますが、殿敷は原爆の被爆者でした。3歳で被爆、被爆した母も早くに失い、50歳という若さで亡くなったのもそのためです。
文字通り殿敷の生と死が込められた「ドームのレンガ」、静かに見る人に訴えかけてきます。
50歳で亡くなった殿敷侃の遺作展が2002年に下関市立美術館で開かれ、ようやくこの異色の画家の全貌が人々に知られるようになりました。
◆K氏は戦前、欧米に遊学し西洋絵画の蒐集を始めます。エスペランチスト、美術評論家、児童画教育運動のリーダー、大学学長、公立美術館館長として多彩な活躍をされ、「支持することは買うことだ」との信念のもとに、北川民次、瑛九、オノサト・トシノブら前衛画家たちとの親交から始まった日本の近現代美術のコレクショ ンは膨大で、国立国際美術館の瑛九「泉」「だだっこ」、熊本県立美術館の海老原喜之助「曲馬」、東京都現代美術館のオノサト・トシノブ「壁画A.B.C.D」など、今では多くの美術館にK氏旧蔵作品が収蔵されています。
自身は大コレクターでありながら、小コレクター運動を唱え、1957年には「版画友の会」を創設し60~70年代の版画の時代を演出しました。ヴェネツィア・ビエンナーレのコミッショナーとして池田満寿夫、靉嘔ら若い世代を世界の舞台に押し上げたのもK氏の功績でしょう。
研究者としてはカタログ・レゾネの重要性を早くから説き、自ら監修・編纂者として、瑛九、北川民次、恩地孝四郎、小野忠重、木内克、飯野農夫也、森義利、ヘンリーミラー、ヘンリー杉本、靉嘔、古川龍生らの作品集、総目録の刊行に尽力しました。
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