先日、D氏コレクション特集としてある作品を作者不詳のままヤフーオークションに出品したところ、親切な方がいらして、その作家がロナルド・サールであることをご教示してくださった。
まだどなたの入札もなかったので、出品を取り下げ、あらためて「ロナルド・サールのリトグラフ」として出品した。
結果は何人もの方で競っていただいた。
落札者の方から以下のようなメッセージが寄せられました。

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<小生の最も敬愛、尊敬するサール氏の作品を三点も入手することができ喜びに堪えません。
以前(33年ほど前)、まだイラストの仕事を始めて間もない頃、渋谷でサール氏のリトグラフが一枚展示してあり、たまらなく欲しかったのですが食べるにも事欠いていた時期なので、泣く泣く諦めた事が脳裏から離れません。
そして今「ヤフーオークション」で再びサール氏の作品に出合うとは幸運でした(しかも三枚も・・・)。
お譲りいただいた三点は、彼のもっとも充実した魅力のある時期の絵で本当に満足しております。
変な言い方ですが、御出品していただいたことに感謝いたします。本当にありがとうございました。>
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どんな作品でもそれを待っていてくれる人がいる。
単なる売買ではなく、お客様と何かを共有できたような思いです。
不勉強を棚にあげて、画商冥利につきます。
当方の無知を親切に正してくださったHさん、そして落札してくださったNさんに深く感謝いたします。
サール◆ロナルド・サール(Ronald Searle)は漫画家、イラストレーター。1920年ケンブリッジ(イングランド)生まれ。1939年製図工として軍に入隊。第二次世界大戦ではシンガポールで日本軍の捕虜となるが(たしか映画「戦場にかける橋」の舞台となったところ)、捕虜期間中も絵を描き続け、帰国後発表する。その後、絵本、漫画を製作、代表作「聖トリニアン」は映画化もされた。

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