開催中の植田正治展からの作品紹介その七回目です。
今日ご紹介する作品は、「砂丘人物」です。
「手にもっているのは、フィルムパックのワクで、まったく即興的ないたずらである。」(昭和写真全仕事 植田正治/朝日新聞社1983年)
この作品は、カリカチュアライズされた人物を撮ろうと小道具を持って砂丘に出かけたときに撮影されたもので、同じモデルの作品が他にもあります。自身で「いたずら」と表現していますが、まさにそんな感じの茶目っ気が溢れていて、砂丘という巨大なホリゾントを活かした作品と言えます。後にも、砂丘モードのシリーズで、手前に大きく山高帽があり、そのずっと奥に人物を配置して、いかにも帽子の上に小さな人が立っているように撮った良く知られた作品もありますが、それもこのヴァリエーションの一つです。白い砂丘で順光で撮ることで遠近感をなくし、平面的に見せるというトリッキーな写真を楽しんで撮ったのでしょう。
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植田正治「砂丘人物」
1950年ごろ(Printed Later)
Gelatin Silver Print
26.7x23.7cm signed

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◆ときの忘れものでは、11月14日[金]―12月6日[土]まで「植田正治写真展ー砂丘劇場」を開催しています。