再発見!プリントの美」から、今日はジョナス・メカス「WALDEN」をご紹介します。
メカスさんは1922年生まれですから、今年もう86歳です。おととし来日した時もお元気そうでしたし、昨年1月1日から今年の1月1日まで365Filmsと題して、自身のホームページに毎日映像をアップするプロジェクトを行いました。健康の秘訣は、人に合わせることをしないマイペースな生活でしょうか。
私が2006年2月にニューヨークへ行った時、メカスさんにどうしても会わなければならないミッションがあり、前もってメールでこちらの予定を伝えておきました。それが、現地に着いて何度電話しても留守電ばかり。帰国する二日前にようやく連絡が取れたのですが、それまでパリに行っていたとのこと。ようやくお会いできると思ったのですが、電話をするたびに時間を延ばされ、ついに最終日の夜に。どうやら、天気が雨だったので、ブルックリンから出てくるのが億劫になったようです。そこでもうこちらから行くしかないと、タクシーで聞いていた住所まで行って雨の中探しました。幸いそれほど苦労せず見つかり、ブザーを押すと、あの笑顔で迎えてくれました。雑然とした室内がなんだかメカスさんらしいように思えました。写真は、メカスさんのお宅で息子のセバスチャンさんと。(ずうずうしく真ん中に立っております)メカスさんと

メカスさんとときの忘れものとの付き合いは古く、1983年現代版画センターの頃にメカスさんの撮った16mmフィルムからシルクスクリーンを制作しました。そのうちの1点が出品中の「ウーナ・メカス5才 猫とホリス(母)の前でヴァイオリンの稽古 1979」です。このシリーズがきっかけとなって、16mmフィルムから写真に起こす"フローズン・フィルム・フレームズ"が始まりました。ウーナは、メカスさんの娘さんです。最近になって、ウーナがヴァイオリンの弓を左手で持っているので、この写真は裏焼きだったのではないかということに気付きました。もちろん左利きの可能性もありますが。
ジョナス・メカス「ウーナ・メカス~」ジョナス・メカス
「ウーナ・メカス5才 猫とホリス(母)の前でヴァイオリンの稽古 1979」
1983年 シルクスクリーン
53.0x37.5cm Ed.75 サインあり

2005年のジョナス・メカス展のときに、メカスさんの映画「WALDEN」のフィルムから30点のイメージを抜き出し、「WALDEN」のシリーズをラムダプリントで制作しました。ラムダプリントは、フィルムをスキャンしてディジタル化し、それを銀塩ペーパーにレーザーでプリントするというディジタルとアナログの中間のようなプリント方法です。(三浦次郎)
ジョナス・メカス「WALDEN22」ジョナス・メカス
『WALDEN #22』
2005年 ラムダプリント 
Ed.10 30.0×20.0cm サインあり

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◆ときの忘れものでは、12月12日[金]―12月27日[土]まで「再発見 プリントの美!」を開催しています。
売れた作品の代わりに、リストにない作品の出品・展示もしておりますので、どうぞ画廊においでください。

◆オリジナルプリントを挿入した「ときの忘れものアーカイヴスVol.1 五味彬Yellows」特装版を創刊しました。限定175部、挿入されたプリントは技法、サイズ、イメージなど全てが異なります。価格7,350円(税込)です。