いま、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで、「EUフィルムデーズ2009」が開催されています。毎年5月に「日・EUフレンドシップウィーク」という日本とEUの市民交流を促進するための催しが行われていますが、この「EUフィルムデーズ」もその一環として2003年から開催されており、今回で7回目を数えます。今年は、21カ国から21本の映画が紹介されます。筆者(三浦)は、映画、それもヨーロッパ映画が好きで、毎年かかさずフランス映画祭に通っていますが、この催しのことは知りませんでした。
5月28日に行われましたオープニング上映にお招きいただき、チェコ映画の「カラマーゾフ兄弟」という映画を拝見しました。この映画は、プラハの劇団が、ポーランドの演劇祭に招かれて「カラマーゾフの兄弟」を上演するに当たって、リハーサルをある製鉄所で行います。映画は劇団がバスで製鉄所に到着するところから始まります。工場の空間で、そこに働く人たちの見守る中でリハーサルは進行します。劇団のメンバーの中には、映画の撮影を忘れていてプラハに戻らなければならないと言い出すものが出てきたり。製鉄所の工員の息子に起きた事故が、劇団の俳優たちの気持ちの中に入り込んで綾を成していきます。リハーサルは無事終わるのでしょうか。
恥ずかしながら「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがないので、そのストーリーを知りません。しかし、この映画を見て、読んで見たいという気が起きてきました。最近、新訳が出てブームにもなったそうですので、ちょうど良い機会かもしれません。
映画は、シリアスながら、時折ユーモアが織り交ぜられていて、非常に面白い作品でしたが、実は、監督も面白い人でした。ゲストでいらしていて、上映前に「監督から一言。」と言われて、「チェコ映画を見に来るのは映画館ではなくて、美術館なのですね。普通、映画は配給会社とか映画祭が見せてくれるものですが、日本では美術館が見せてくれるようです。この映画は、名だたる映画祭、カンヌ、ベルリン、トロントなどすべてから出品を断られました。その理由は、この映画が演劇を描いているからで、映画と演劇は相容れないようです。」と、真面目な顔で語って爆笑を呼んでいました。
この映画祭は、6月20日までです。どうぞお出かけください。
EUフィルムデーズEUフィルムデーズ2009
2009年5月29日(金)~6月20日(土)
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター
(映画によっては日本語字幕のない作品もありますのでご注意ください)

映画の一コマを写真として定着させたフローズン・フィルム・フレームズという作品を作り続けるジョナス・メカスさんの作品をご紹介いたします。
mekas_01_walden_27ジョナス・メカス WALDEN #27
"the first spring flowers were just emerging from earth still sweating out the winter"
2005年 ラムダプリント
30.0x20.0cm
Ed.10 サインあり

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◆ときの忘れものの次回企画は、6月9日(火)より「銀塩写真の魅力 Gelatin Silver YES!」展です。会期中、6月20日[土]17時より、「オリジナルプリントをコレクションする愉しみ」と題して、写真評論家の飯沢耕太郎氏によるギャラリートークを開催いたします。
参加費1,000円(1ドリンク付)
※要予約/氏名・電話番号を明記の上、メール( info@tokinowasuremono.com )、電話(03-3470-2631)、又はファックス(03-3401-1604)でご予約ください。