1977年福島の田舎町から東京に出てきた筆者(三浦)が、初めて見た演劇が寺山修司作の「中国の不思議な役人」でした。あまりのショックに翌日も当日券で見に行ったほどで、このあと、天井桟敷の芝居を追いかけることになります。
完全暗転の中で、すぐ脇の通路で「おりゃー!」という声とともに剃髪した上半身裸の男がマッチを擦って現れるつかの間の世界にすっかり魅了されました。主役の役人を伊丹十三が演じ、モデルの山口小夜子が出演したのも話題になりました。また、オーディションで選ばれたヒロイン、14歳の地引かずさという子も魅力的でした。その脇を天井桟敷の新高恵子、若松武、サルバドール・タリらが固めて、この世のものとは思えない見世物を眼前に繰り広げました。合田佐和子さんの絵に出合ったのも今思えばこのときです。
その「中国の不思議な役人」が、32年ぶりに場所も同じ渋谷PARCO劇場(旧西武劇場)で再演されると聞き、見に行って来ました。これまでに何度か寺山演劇の再演を見ましたが、ほとんどの場合がっかりして帰ることが多く、今回もどうかと思っていました。しかし、主役の役人を平幹二郎が演じたことで劇に厚みが出たのと、天井桟敷でからくり機械を作ってきた小竹信節が舞台美術をやったことでかつての妖しさをかもし出すことが出来たのではないかと思います。もちろん記憶の中の初演には勝てませんが、もう一度戯曲を読み直してみようかという気にさせてくれました。
「おれは歴史なんかきらいだ。思い出が好きだ。国なんかきらいだ。人が好きだ。
ミッキー・マントルは好きだ。ルロイ・ジョーンズは好きだ。ポパイは好きだ。
アンディ・ウォーホールは好きだ、キム・ノバックは好きだ。
だがアメリカは嫌いだ。」
寺山修司「時代はサーカスの象にのって」より
ここに出てくるルロイ・ジョーンズは、1960年代に過激な詩や戯曲を発表したアフリカ系アメリカ人で、1968年にイスラム的なアミリ・バラカと名前を換えます。9.11のあとに発表した詩が物議を醸すなど、いまだ過激なところを持っているようです。

ジョナス・メカス Jonas MEKAS
「アレン・ギンズバーグ、ルロイ・ジョーンズ(バラカ)、フランク・オハラ、リヴィング・シアターでの朗読会、ニューヨーク、1958(いまだ失われざる楽園)」
CIBA print 35.4×27.5cm
signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは、9月1日(火)~19日(土)まで、「ジョナス・メカス新作写真展」を開催しています。
メカス映画に登場するジョン・レノン、ヨーコ・オノをはじめ、アンディ・ウォーホル、ジョージ・マチューナス、ロバート・フランク、アレン・ギンズバーグ、ピーター・オーロフスキー、安保由夫、サルバドール・ダリ、カール・ドライヤー、木下哲夫、ベルナデット・ラフォン、グレゴリー・コルソ、Almus Salcius、吉増剛造、熊代弘法、ジャクリーヌ・ケネディ、ウーナ・メカス、ウィリアム・バロウズ、ルロイ・ジョーンズ、フランク・オハラ、etc.,といった多彩な人々の姿が焼き付けられています。
完全暗転の中で、すぐ脇の通路で「おりゃー!」という声とともに剃髪した上半身裸の男がマッチを擦って現れるつかの間の世界にすっかり魅了されました。主役の役人を伊丹十三が演じ、モデルの山口小夜子が出演したのも話題になりました。また、オーディションで選ばれたヒロイン、14歳の地引かずさという子も魅力的でした。その脇を天井桟敷の新高恵子、若松武、サルバドール・タリらが固めて、この世のものとは思えない見世物を眼前に繰り広げました。合田佐和子さんの絵に出合ったのも今思えばこのときです。その「中国の不思議な役人」が、32年ぶりに場所も同じ渋谷PARCO劇場(旧西武劇場)で再演されると聞き、見に行って来ました。これまでに何度か寺山演劇の再演を見ましたが、ほとんどの場合がっかりして帰ることが多く、今回もどうかと思っていました。しかし、主役の役人を平幹二郎が演じたことで劇に厚みが出たのと、天井桟敷でからくり機械を作ってきた小竹信節が舞台美術をやったことでかつての妖しさをかもし出すことが出来たのではないかと思います。もちろん記憶の中の初演には勝てませんが、もう一度戯曲を読み直してみようかという気にさせてくれました。
「おれは歴史なんかきらいだ。思い出が好きだ。国なんかきらいだ。人が好きだ。
ミッキー・マントルは好きだ。ルロイ・ジョーンズは好きだ。ポパイは好きだ。
アンディ・ウォーホールは好きだ、キム・ノバックは好きだ。
だがアメリカは嫌いだ。」
寺山修司「時代はサーカスの象にのって」より
ここに出てくるルロイ・ジョーンズは、1960年代に過激な詩や戯曲を発表したアフリカ系アメリカ人で、1968年にイスラム的なアミリ・バラカと名前を換えます。9.11のあとに発表した詩が物議を醸すなど、いまだ過激なところを持っているようです。

ジョナス・メカス Jonas MEKAS
「アレン・ギンズバーグ、ルロイ・ジョーンズ(バラカ)、フランク・オハラ、リヴィング・シアターでの朗読会、ニューヨーク、1958(いまだ失われざる楽園)」
CIBA print 35.4×27.5cm
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メカス映画に登場するジョン・レノン、ヨーコ・オノをはじめ、アンディ・ウォーホル、ジョージ・マチューナス、ロバート・フランク、アレン・ギンズバーグ、ピーター・オーロフスキー、安保由夫、サルバドール・ダリ、カール・ドライヤー、木下哲夫、ベルナデット・ラフォン、グレゴリー・コルソ、Almus Salcius、吉増剛造、熊代弘法、ジャクリーヌ・ケネディ、ウーナ・メカス、ウィリアム・バロウズ、ルロイ・ジョーンズ、フランク・オハラ、etc.,といった多彩な人々の姿が焼き付けられています。
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