植田実展DM
本日より建築評論家・編集者として活躍を続ける植田実先生の初個展「植田実写真展-空地の絵葉書」が始まります。
「植田実写真展-空地の絵葉書」
会期=2010年1月26日[火]―2月6日[土] 
12:00-19:00 ※会期中無休

長年世界の建築を訪ね歩いてきた植田先生が、世界を旅する中、折々に撮影した写真を初公開します。
現代建築の写真を多く撮影していますが(それらは氏の編集する書籍、雑誌などに使われてきましたが)、本展で紹介するのは、そこから離れ、ふと心に留まった風景をカメラに収めたもので全て初公開です。
今回はヨーロッパを中心に選んだ約70点を出品します。壁面に展示していない作品もございますので、ご覧になりたい方はお気軽にスタッフに声をお掛けください。
植田先生は会期中(無休)毎日午後3時過ぎに画廊に出る予定ですので、出品写真のみならず建築に関しても貴重な話が聞けるはず、ぜひご来場ください。
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●1月30日(土)17時よりギャラリートークを開催します(講師:植田実×大竹昭子)が、既に予約で満杯になりました。
1月30日(土)ギャラリートーク終了後の18時からは、お二人を囲み懇親パーティを開催します。どなたでも参加できますが、17時~18時の間はギャラリートーク(予約制)のためご入場できませんので、18時以降にご来場ください。

■作者からのメッセージ
ヨーロッパ各地の木造建築を、その専門研究者や建築家たちと見てまわる旅が足かけ10年ほどのあいだに続いたことがある。民家や古い教会が多いので田舎めぐりになり、長距離バスに乗っている時間がたっぷりとあった。目当ての建築がある現場に着けば仕事となり、眼は血走り忙しくなってしまう。その中継ぎのバスのなかのひとときは、なにもない茫漠とした地平を行くばかりで、心穏やかだ。眠りに誘われると二度と目覚めないほどに。
そんな気分をよりどころにして、ほかの旅でも同様にうんざりするほど数多くシャッターを切っている取材ついでの、わずかな中継ぎスナップのなかから、ぶれ、ピンぼけ、褪色歴然のものまでとりまぜて、記憶もおぼろな場所の痕跡を探してみた。そして初めて気がついたのだが、曲がりなりにも写真、と呼べるものがそこには一枚もない。すべてが絵葉書としか言えない構図になっている。
観光地ならばありふれた図像こそが通用する絵葉書を、光と影が行き来するだけの、いわば空地で私は撮りためていたらしい。それはおどろくほど小さな世界だった。心穏やかな歓びの身の丈に相応しく、いちにちに始まり終わる出来事がそっくり見えている。
           植田 実(うえだまこと)

植田実
1935年東京生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学専攻卒業。『建築』編集スタッフ、その後、月刊『都市住宅』編集長、『GA HOUSES』編集長などを経て、現在フリーの編集者。住まいの図書館編集長、東京藝術大学美術学科建築科講師。著書に『ジャパン・ハウスー打放しコンクリート住宅の現在』(写真・下村純一、グラフィック社1988)、『真夜中の家ー絵本空間論』(住まいの図書館出版局1989)、『住宅という場所で』(共著、TOTO出版2000)、『アパートメントー世界の夢の集合住宅』(写真・平地勲、平凡社コロナ・ブックス2003)、『集合住宅物語』(写真・鬼海弘雄、みすず書房2004)、『植田実の編集現場ー建築を伝えるということ』(共著、ラトルズ2005)、『建築家 五十嵐正ー帯広で五百の建築をつくった』(写真・藤塚光政、西田書店2007)、『都市住宅クロニクル』全2巻(みすず書房2007)ほか。1971年度ADC(東京アートディレクターズクラブ)賞受賞、2003年度日本建築学会文化賞受賞。磯崎新画文集『百二十の見えない都市』(ときの忘れもの1998~)に企画編集として参加。

◆画廊では植田実サイン入り本を販売しています(送料無料)。ぜひお申し込みください。
植田実『都市住宅クロニクル』第Ⅰ巻・第Ⅱ巻
花田佳明『植田実の編集現場 建築を伝えるということ

◆ときの忘れものではWEB展覧会と題して毎月ネット上での展覧会を開催しています。1月16日~2年1月15日は「品川工展」です。