ときの忘れものからそう遠くない(といっても歩くには少々距離がありますが)千駄ヶ谷にある佐藤美術館で『サラリーマンコレクター30年の軌跡~山本冬彦コレクション展』が開催されています。
山本冬彦C展(表)山本冬彦C展(裏)
会期:平成22年1月14日(木)~2月21日(日)
午前10時~午後5時 金曜日~午後7時(入館は閉館の15分前まで)
月曜休館
入場料:一般:500円 学生:300円

近年、画廊や美術館で個人の集めたコレクションを展示することが増えてきました。
以前は亡くなられた方のご遺族が美術館に寄贈されたのを記念してのコレクション展が多かったように思いますが、近年は現役バリバリのサラリーマンコレクター(この言葉も市民権を得たようです)が自らコレクションを公開する場合が少なくありません。
近年最も注目を浴びたのは今もギャラリーめぐりを欠かさないSさんの「あるサラリーマン・コレクションの軌跡~戦後日本美術の場所~」展(三鷹市美術ギャラリー他で開催)と、故人でしたが渋谷区立松濤美術館、群馬県立近代美術館などで開催された「迷宮+美術館 -コレクター砂盃富男が見た20世紀美術-」でしょう。
昨秋、私どもが開催した「S氏コレクション 駒井哲郎PART I展」も骨格の強烈なコレクション展でした。
先般、筑波大学に寄贈された「石井コレクション」などは大学ギャラリーでの公開とともに、寄贈作品が研究の対象となり、ワークショップが開催されたりしています。
そういえば最近の大学ギャラリーの展開は目覚しいものがあります。昨年、コレクターのAさんのコレクションが公開された福井大学のギャラリーでの「駒井哲郎展」は小規模でしたが粒ぞろいのすばらしい展示でした(このときのギャラリートークには私も参加させていただきました)。
個人コレクションが公開されると、私たち画商は興味しんしんで拝見し、深いため息をついたり、にやっとしたり、ちょっと首を傾げたりします。人様の前に出して第三者の眼に耐えられるコレクションというのはそうはありません。
公開することによって、そのコレクションの美点より欠点が強調されてしまうことだってある。
もし何の定見(強烈なコレクション哲学)をもたずに集めたコレクションならば、その集積たるコレクション展は惨憺たることになるでしょう。

今回の展覧会について、佐藤美術館のサイトには丁寧な解説がされていますのでぜひお読みになってください。
アートソムリエたる山本さんに相応しく「コレクターの目線で購入した同世代の作家の作品」を中心に、「若いコレクターへのお薦めと若手作家へサポートの意味も込めて購入した作品」と、「大作や屏風などちょっと違ったアート作品の楽しみ方を知ってもらうための作品」の三つで構成されています。
亭主も初日にうかがったのですが、たくさんの作品がぎっしり展示されているので驚きました。
山本さんの好みがよくわかり、それはそれで面白いのですが、コレクションの特色という点から考えると、もう少し絞った方がより魅力的に見えたような気がしました。
会期も残り少なくなってきましたので、未だの方、ぜひご覧になってください。

◆ときの忘れものでは、『大きな絵~画廊コレクションから』を展示中です。
2010年2月10日[水]―2月20日[土] 12:00-19:00 *日・月曜、祝日休廊
小野隆生、安藤忠雄、O Jun、蝦名優子、エド・ベイナード、永井桃子、根岸文子
エド・ベイナード
エド・ベイナード「花」
1980年 木版 70×100cm(額装サイズ:99×128cm)
A.P.11/16 サイン有り

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