昨年たいへん好評をいただきました「銀塩写真の魅力 ~Gelatin Silver YES!」展の第2回として、本日より「銀塩写真の魅力II ― Noir et Blanc」を開催します。
ゼラチン・シルバー・プリントの持つ豊かな表現力と創造性を、国内外の作家の名品を通してあらためてご覧いただきたいと思います。
会期=2010年8月27日[金]―9月4日[土] 12:00-19:00 *会期中無休

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人はどうしてこれほどモノクロームに惹かれるのでしょうか。それはきっと小説を読むのと似ているかもしれません。小説が読者の知的想像力を喚起するのと同様に、モノクロームの写真も、見る者の想像力をかき立ててくれます。モノクロームの画面から色を感じる方もいるでしょう。また、プリント自体の美しさに忘我の境地を味わう方もいるでしょう。その魅力の感じ方は人それぞれです。20世紀は、ゼラチン・シルバー・プリントの時代でした。ゼラチン・シルバー・プリントは、工業製品として改良を加えられ、最先端の技術として写真家はそれを使って作品を生み出して来ました。それが、21世紀、ディジタルの時代となって、いまやゼラチン・シルバー・プリントは消え行く運命にあります。その遺されたプリントを評価し、作家を評価することが今こそ必要であると信じているところです。

今回の展示では、植田正治、細江英公、篠山紀信、荒木経惟といった日本を代表する作家のほか、マン・レイ、アンドレ・ケルテスらのマスターピースからジョック・スタージス、ヤン・ソーデックら現代の作家まで、モノクローム作品約20点をご覧いただきます。
出品リストをご覧ください。

出品作家:荒木経惟、アンドレ・ケルテス、イリナ・イオネスコ、植田正治、尾形一郎・尾形優、五味彬、篠山紀信、ジョック・スタージス、細江英公、ピーター・リンドバーグ、マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ、マン・レイ、ヤン・ソ-デック、ルディ・バークハート

また、コレクターの原茂さんがゲストをお招きして写真をコレクションする楽しみを語ると同時に、推薦していただいた写真家の作品を御覧いただくギャラリービューイングを開催します。
第1回目は「写真作品を買うと・・・ギャラリーの対応が変わる」というテーマでお話いただきます。当日限りの大特価作品もご用意し、「写真を買う」愉しみ、醍醐味を味わっていただきたいと思います。
日時:2010年9月3日(金)19時~20時
ホスト:原茂(写真コレクター)
ゲスト:大河原良子(元「イル・テンポ」スタッフ、金属造形作家)
参加費:1,000円(※要予約、定員10名)

篠山紀信1ヤン・ソーデック1
左)篠山紀信「宮本はるえ
右)ヤン・ソーデック「life

植田正治1アンドレ・ケルテス1
左)植田正治
「妻のいる砂丘風景(III)」
右)アンドレ・ケルテス
Fan, December, 1937 換気扇、1937年12月

いずれもゼラチン・シルバー・プリントの名品ですが、中でも今回は細江英公先生の「ガウディ」連作のヴィンテージ・プリントを2点出品します。
細江先生のガウディに対する思いは強く、1977年から84年にかけてバルセロナなどにガウディを追って何度も撮影を行いました。細江先生はそれを「建築写真ではなく、あたかも人体のように」撮ってきた、とおっしゃっていました。
生命ある有機体のように様々な表情を見せるガウディ。
撮影当時の最も良質なヴィンテージ・プリント、印刷物では再現できない、生の写真の美しさをぜひ堪能してください。
batllo_002細江英公
「Casa Batllo 2」
1979年
ヴィンテージゼラチンシルバープリント
47.6×47.6cm サインあり


parque_002細江英公
「Parque Guell 2」
1979年
ヴィンテージゼラチンシルバープリント
37.2x54.9cm サインあり

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