今週末まで開催の「銀塩写真の魅力II―Noir et Blanc」より、出品作品をご紹介します。

ブラーヴォは、20歳の時に初めてカメラを持ち、写真を撮り始めます。1927年にティナ・モドッティに会ったことから、様々なアーティストに知己を得ます。その中にメキシコに来たエドワード・ウェストンがいて、彼との出会いがその後のブラーヴォに影響を与えました。ブラーヴォは、スタイルを変えながらも作品を作り続けますが、欧米で評価されるようになったのは1970年代のことでした。
Manuel Alvarez Bravo[Los Agachados]
マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ
「"Los Agachados" 腰をおろす人々」
c.1932-1934(printed later)
ゼラチンシルバープリント
22.4×29.5cm サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

今回の出品作「腰をおろす人々」は、昼間からバーのカウンターに並んで酒を飲んでいる気楽な写真に思えます。しかし、彼らの足元に目をやると、鎖が亘っています。それは椅子をつないだ鎖ですが、あたかもカウンターに腰掛ける人たちをつなぐ鎖にも見えて、昼間から酒でも飲んでいなければならない彼らの境遇に思いが行きます。
ブラーヴォのプリントは、通常8x10インチの印画紙にプリントされ、それ以外のサイズはめったにないとアメリカのギャラリーの方に伺いましたが、このプリントは10x12インチあり、それだけでも稀少ですが、裏にある「M. ALVAREZ BRAVO」というサインは初期のもので非常に珍しいそうです。
どうぞメキシコの巨匠の作品をコレクションにお加えください。

マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ Manuel Alvarez BRAVO
1902年メキシコ・シティーに生まれる。祖父が画家・写真家、父親が画家・作家であったことから、幼少から広いジャンルのアートに触れて育ち、メキシコ革命(1910年~1920年)の激動の中で少年時代を送る。1920年代前半から写真に興味を持ち始め、ティナ・モドッティやエドワード・ウェストンらとの接点もあり、彼らの影響を受けて写真を始める。メキシコの持つ独自の生活文化を常に意識しながら、海外のアート動向も積極的に取り入れる。また、アンドレ・ブルトンに出会ったことでシュルレアリスムも意識するようになった。
しかし初期の実験的な写真には満足せず、パーソナルなスタイルが確立した1940年代に多くの初期作品を破棄し、1960年~70年代にかけてはカラーやプラチナプリントを手掛けている。ブラーヴォの作品は、ドキュメンタリー写真や人物・風景写真が中心となる、メキシコの日常的な対象を撮影したものが多いが、そこには南米の神秘的な空気感、生や死が感じられる。1955年ニューヨーク近代美術館の『ファミリー・オブ・マン』展に出品。1970年代にはその評価が欧米で認められるようになり、現在では南米を代表する写真家として高い評価を受けている。2002年歿。


*画廊亭主敬白
昨日も酷暑の中、お運びいただいた皆様には厚く御礼申し上げます。
さて、先日も今秋の予定をご案内しましたが、イベントなどの予定もだんだんと固まってきましたので、早めにご案内いたします。

■9月8日(木)~13日(月)「KIAF 2010」に出展(韓国・ソウル)
   *小野隆生、TSUYU、安藤忠雄、草間彌生、永井桃子

■9月11日(土)~9月18日(土)「奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発

■9月28日(火)~10月16日(土)「マン・レイと宮脇愛子展
10月1日(金)17時~18時半、宮脇愛子さんを囲んでのレセプションを開催します。ぜひお出かけください。

10月16日(土)17時より、巌谷國士さんを講師にギャラリー・トークを開催します。
    *要予約(参加費1,000円)

■10月23日(土)14時より、武蔵野市立吉祥寺美術館で18日から開催される「草間彌生展」に関連して亭主の講演会があります。
会 場: 武蔵野商工会議所4階 市民会議室ゼロワンホール(美術館より徒歩1分)
定 員: 90名 (予約制:9/2(木)より電話または直接来館にて受付(10:00-19:30) 定員になり次第締切)
入 場: 無料 ただし美術館入館券が必要

■2010年10月26日(火)~11月6日(土)「S氏コレクション 駒井哲郎展 PartⅡ」

■2010年11月17日(水)~11月21日(日)「テグ・アートフェアdaegu art fair 2010」に出展(韓国)

■2010年11月18日(木)~11月21日(日)「プリュス TCAF2010」に出展(東京美術倶楽部)
*ジョック・スタージス、尾形一郎・優、小野隆生

****************

◆ときの忘れものは、2010年8月27日[金]―9月4日[土]まで「銀塩写真の魅力II―Noir et Blanc」を開催しています(会期中無休)。
案内状画像600
マン・レイやアンドレ・ケルテス、篠山紀信、荒木経惟、植田正治らによるゼラチン・シルバー・プリント作品を展示します。