遂にダウン。
日ごろの不摂生がたたったか、歳も考えずに張り切りすぎたか、「エドワード・スタイケン写真展」の最終日(12月25日)を無事終えての帰途、突如右足に激痛が。
その夜は一晩中眠れないほどの痛さで朝を迎えた。
医者に行ったら、黴菌が入って暴れているらしい。
抗生物質をのんで安静にしているしかないといわれ、昨日の打ち上げにも欠勤。

年末のブログはまかせてなどと言っていたのがうらめしい。(昨日までのブログは余裕で事前に書いておきました)
とにかく、足をひきずりながら自宅のパソコンからこの文章を書いています。
文章に元気がないのはそのためです。

昨年(2009年)は取り組んだ大企画がオジャンになり、失意のうちに迎えた年の瀬でした。
あの暗鬱な日々を思い起こすだけでまだ胸がいたみます。
今年はスタッフたちの健闘とお客様のご贔屓によって何とか無事年末を迎えることができました。この一年のご愛顧を心より御礼申し上げます。

ときの忘れものは今年15周年を迎えました。
1995年6月の開廊記念展「銅版画セレクション1 長谷川潔・難波田龍起・瑛九・駒井哲郎」以来、先日の「エドワード・スタイケン写真展」まで196回の企画展を重ねてきました。
15周年といっても特別のことはしませんでしたが、これを機会にあらたなステップを踏み出したいと考えています。

2010年に開催した企画展は以下の通りです(常設展は割愛)。

1月6日ー1月16日第182回)細江英公写真展 新版・鎌鼬(後期)
1月26日ー2月6日第183回)植田実写真展―空地の絵葉書
2月26日ー3月6日第184回)ハインリッヒ・フォーゲラー展
3月23日ー4月3日第185回)井桁裕子作品展 私小説―肖像の人形
4月13日ー24日第186回)The NUDE展
5月11日ー22日第187回)ニキ・ド・サンファル版画と松本路子写真展
6月1日ー12日第188回)ウルトラバロック 尾形一郎 尾形優写真展
7月20日ー31日第189回)Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子
8月10日ー21日第190回)ジョック・スタージス新作写真展
8月27日ー9月4日第191回)銀塩写真の魅力II―Noir et Blanc
9月11日ー18日第192回)奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発
9月28日ー10月16日第193回)マン・レイと宮脇愛子展
10月26日ー11月6日第194回)S氏コレクション 駒井哲郎PART II展
11月16日ー21日第195回)9人のミューズたち
12月15日ー25日第196回)ドワード・スタイケン写真展

全部で15本、他に別記アートフェアへの出展を5回。
多いですね。
いつも今年こそ企画を減らそうと宣言している割には、一向に減らない。
ついつい面白い話が出てくると欲張ってしまう。
来年こそはじっくり、ゆっくり行きましょう。
昨年のような売り上げゼロ続出ということは今年はなく、大コケしたのは4月の「The NUDE展」だけでした。

2010年を振り返って印象に残ったことをあげてみましょう。

◆アートフェアへの出展
昨年初めて海外のアートフェアに参戦し、チューリッヒ(スイス)とテグ(韓国)に行ってきましたが、今年も内外5つのアートフェアに出展しました。
KunStart 10 -7th INTERNATIONAL ART FAIR OF BOLZANO(イタリア/ボルツァーノ)
ART OSAKA 2010(大阪・堂島ホテル)
KIAF2010 Korea International Art Fair(韓国/ソウル)
Daegu Art Fair 2010(韓国/テグ)
6
テグは東京と会期が重複したため、尾立と秋葉の女性スタッフ2名が細腕で奮闘しました。

プリュス‐トウキョウ・コンテンポラリーアートフェア〈旧TCAF/東京美術倶楽部)
PLUS05
初めて発表した尾形一郎・尾形優さんの大型写真

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アートフェア全体としては、そこそこの売上げはあっても、経費(ブース代、旅費、滞在費、輸送費など)をカバーするにはまだ至りません。

私たちのような新参もんがいきなり行って数日フェアに参加したところで急に成果のあがるものではないことは重々承知はしていますが、思うように成果が上がらないと悔しい思いをするのはスタッフです。
学ぶことばかり多い一年でしたが、先ずは作家(どういう作家のどんな作品を持っていくか)、次にその作品をどういう風に見せるか、アートフェアのような大会場で何十軒、場合によっては百軒を越す画廊のそれぞれの展示に対抗するには印象に残るインパクトのある展示をしなければ他に埋もれてしまいます。
そして「売り子の力」。
言葉の問題も大きいのですが、それより「この作品が素晴らしい!」とスタッフ自身が信じてアピールすることができるかどうか。
まだまだ非力ですが、この経験を無駄にせずに、来年もいくつか(ヨーロッパ、アジア)のアートフェアに挑戦したいと思っています。

◆写真家・植田実のデビュー
2010年の企画展で最も反響が大きく、作品もたくさん売れたのは「植田実写真展―空地の絵葉書」でした。
植田さんと私たちの付き合いはもう30数年になります。
建築の編集者として既に伝説的な人でありながら、若い建築家への暖かく厳しい眼差しは変わりなく今も全国を取材に飛び回っています。植田実さんが凄いのは、建築以外、例えばコミックや美術などへの貪欲な好奇心です。コレクターとしてもたいへんな人ですが、今年は写真家としてときの忘れものでデビューしてくださいました。
20100130ギャラリートーク
植田さんと大竹昭子さんのギャラリートークに集まった皆さん。
今後も植田さんの写真を積極的にアピールしていきます。
とともに、植田さんには新年から新しいエッセイの連載をお願いしています。
慎重な方だからここで内容をばらすわけには行きませんが、今まで一度も植田さんが書いてこなかったことについての長期連載が始まります。
どうぞご期待ください。


植田実No.48植田実No.6
左)植田実 Makoto UYEDA「バイヨンヌ Bayonne, France
右)植田実 Makoto UYEDA「トゥールーズに向かうバスの窓から near Toulouse, France


植田実No.7015バース
左)植田実 Makoto UYEDA「ベルンカステル、トリアーに近く Bernkastel, near Trier, Germany
右)植田実 Makoto UYEDA「バース Bath, United Kingdam


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いろいろ書きたいことはあれど、足の痛さも相当なもので、今日はこのへんでおしまいにします。