宮脇愛子「TL10-6」 気更来のコレクション展より
ときの忘れものでは26日まで「気更来のコレクション展」を開催しています(本日13日、明日14日は休廊です)。
一昨日11日に開催した「第5回写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」はホストの原茂さん、ゲストの林和美さんを囲み、生憎の天気にもかかわらず和やかな雰囲気で夜遅くまで写真のついてのおしゃべりが続きました。

おかげさまで作品も良く売れ、フォトビューイングがようやく定着してきた感じがします。次回の予定は追ってお知らせします。
また昨日は雪の舞う中を、次から次へとお客様が見えられ、ときの忘れものにしては珍しく賑やかな一日でした。

版画家の野田哲也先生と奥様を迎えて。

九州熊本から一年ぶりに上京された卯野木憲二先生を迎えて。

卯野木憲二先生を囲んで、来廊中のお客様たちと記念撮影。
さて、気更来のコレクション展から今日ご紹介するには宮脇愛子先生のタブロー作品です。
宮脇愛子「TL 10-6」
1962年 ミクストメディア、キャンバス
73.0×91.0cm signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
昨年9月ときの忘れもので開催した「マン・レイと宮脇愛子展」では深い交流のあったマン・レイの作品とともに宮脇愛子先生のタブロー作品を展示しました。
実はそのとき展示した作品や、今回ご紹介する「TL 10-6」などの初期タブローは長くその存在を知られていませんでした。
ご承知の通り宮脇先生は「うつろひ」シリーズで国際的の活躍する彫刻家としての評価がもっぱらですが、初期にはパリやミラノで多くの平面作品を制作されていました。
1996年10月に原美術館で開催された「Aiko Miyawaki:Paintings 1959-64」展で30数年ぶりに1959年から64年までの絵画作品が紹介され、その後多くの美術館に収蔵されました。このときの会場構成はもちろん建築家・磯崎新先生が手掛けたのですが、その二年後、1998年に鎌倉の神奈川県立近代美術館で開催された回顧展に際して、当時の館長・酒井忠康さんは挨拶のなかで次のように述べています。
<・・・
35年間、所在の知れなかった初期の絵画作品が偶然にもみつかったのです。余計なものの一切を画面から省いたその作品群は、原美術館で「宮脇愛子 1959-64」展(1996年10-12月)として、はじめて公開されました。「いささかも時の流れに浸食されることのない新鮮さをもって、見る者の眼を奪う」と浅田彰氏はカタログの一文に書いています。まさにその通りで、後年の《うつろひ》の連作を彷彿とさせるものがそこにあると思いました。>
ところでご紹介した神奈川県立近代美術館での宮脇さんの回顧展「ある彫刻家の軌跡 ── 宮脇愛子」ですが、同館のホームページが実に内容豊かに構成されているので感激しました。
皆さんご承知かと思いますが、美術関係のサイトでいま最もつまらない(内容がない)のが実は公立私立を問わず美術館のホームページなのです。
おそらく、著作権や予算の問題、更に人手不足などもあるのでしょうが、どこの美術館も展覧会が終わるとその展示記録をほとんど削除してしまっています。
所蔵品に関しても画像がなくただの棒リストだけという場合も多く、実に薄っぺらな紹介しかされていないのが現状です。
そういう中で、神奈川県立近代美術館の意欲的な試みは高く評価すべきでしょう。
以下、同館のサイトからそのまま引用します。
このサイトは、1998年に神奈川県立近代美術館で開催された「ある彫刻家の軌跡 ── 宮脇愛子」展の展覧会カタログをベースに制作されました。まだテスト版の段階ですが、これから徐々に充実させていきたいと考えています。
宮脇愛子さんは、改めて申し上げるまでもなく、「UTSUROHI(うつろひ)」と名付けられた一連の作品で、世界的に活躍されているアーティストです。このたび、本サイトの立ち上げにあたって、材料提供や関係各位の調整に快くご協力いただきました。この場をかりて御礼申し上げます。
「■ UTSUROHI」では、日本国内・海外にこれまで設置された「UTSUROHI」の情景写真をスライドショーでご覧いただけます。
「■ WORKS」では、UTSUROHIに到るまでの宮脇さんの制作活動を、立体(彫刻)と平面(絵画)作品に大別して、スライドショーにまとめました。
これらの作品紹介は、これからも点数を増やしていく予定です。
「■ INTERVIEW」と「■ TEXTS」は、98年の展覧会カタログに掲載されたテクストの再録です。
************
いや実に丁寧につくられていて、宮脇ファンならずとも興味深く見ることができるでしょう。せっかく美術館が大規模な展覧会を開いても、その痕跡がカタログにしか残らないという現状を、こういう試みが突破していってくれることを期待したいですね。
◆ときの忘れもののエディション、及び頒布している書籍・カタログをご紹介します。

宮脇愛子シルクスクリーン入り小冊子
『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き)
限定25部(番号・サイン入り)
ときの忘れもの 発行
折本形式(蛇腹)、表裏各15ページ
サイズ:18.0×14.5cm
・ 宮脇愛子オリジナルドローイング、自筆サイン入り
・ 宮脇愛子が1959年より2010年まで制作したドローイングより、厳選のシルクスクリーン13点を挿入(シルクスクリーン刷り:石田了一)
・ 磯崎新撮影「アトリエのマン・レイと宮脇愛子」カラー写真1点貼り込み
・ 宮脇愛子に贈られたマン・レイ作品の画像貼り込み(印刷)
・ マン・レイとの交流と、『うつろひ』への宮脇愛子インタビューDVD(約10分)付き
『宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI』サイン入り
1973年 東京画廊発行
196ページ 16.9×17.4cm
宮脇愛子
『うつろひ』
1986年 美術出版社発行
96ページ 25.3×33.3cm
宮脇愛子
『はじめもなく終りもない―ある彫刻家の軌跡』
1991年 岩波書店発行
180ページ 22.3×17.9cm
宮脇愛子
『宮脇愛子ドキュメント』
1992年 美術出版社発行
188ページ 21.2×21.4cm
『Aiko Miyawaki』
1996年 Galerie Enrico Navarra発行
110ページ 29.3×25.0cm
『はじめもなく終りもない
宮脇愛子―彫刻家の軌跡』
1998年 神奈川県立近代美術館発行
128ページ 27.7×21.8cm
『磯崎新版画展 宮脇愛子展』図録
2009年 財団法人中津万象園保勝会発行
27ページ 29.7×21.0cm
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◆ときの忘れものは、2011年2月8日[火]―2月26日[土]<陽気が更に来る>ことを祈りつつ「気更来のコレクション展」を開催しています(日曜・月曜・祝日は休廊。ただし、TOKYO FRONTLINE開催中の2月20日[日]は開廊します)。

出品:小野隆生、宮脇愛子、百瀬寿、秋葉シスイ、
アンドレ・ケルテス、植田正治、エドワード・スタイケン、瑛九、細江賢治
ときの忘れものでは26日まで「気更来のコレクション展」を開催しています(本日13日、明日14日は休廊です)。
一昨日11日に開催した「第5回写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」はホストの原茂さん、ゲストの林和美さんを囲み、生憎の天気にもかかわらず和やかな雰囲気で夜遅くまで写真のついてのおしゃべりが続きました。

おかげさまで作品も良く売れ、フォトビューイングがようやく定着してきた感じがします。次回の予定は追ってお知らせします。また昨日は雪の舞う中を、次から次へとお客様が見えられ、ときの忘れものにしては珍しく賑やかな一日でした。

版画家の野田哲也先生と奥様を迎えて。

九州熊本から一年ぶりに上京された卯野木憲二先生を迎えて。

卯野木憲二先生を囲んで、来廊中のお客様たちと記念撮影。
さて、気更来のコレクション展から今日ご紹介するには宮脇愛子先生のタブロー作品です。
宮脇愛子「TL 10-6」1962年 ミクストメディア、キャンバス
73.0×91.0cm signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
昨年9月ときの忘れもので開催した「マン・レイと宮脇愛子展」では深い交流のあったマン・レイの作品とともに宮脇愛子先生のタブロー作品を展示しました。
実はそのとき展示した作品や、今回ご紹介する「TL 10-6」などの初期タブローは長くその存在を知られていませんでした。
ご承知の通り宮脇先生は「うつろひ」シリーズで国際的の活躍する彫刻家としての評価がもっぱらですが、初期にはパリやミラノで多くの平面作品を制作されていました。
1996年10月に原美術館で開催された「Aiko Miyawaki:Paintings 1959-64」展で30数年ぶりに1959年から64年までの絵画作品が紹介され、その後多くの美術館に収蔵されました。このときの会場構成はもちろん建築家・磯崎新先生が手掛けたのですが、その二年後、1998年に鎌倉の神奈川県立近代美術館で開催された回顧展に際して、当時の館長・酒井忠康さんは挨拶のなかで次のように述べています。
<・・・
35年間、所在の知れなかった初期の絵画作品が偶然にもみつかったのです。余計なものの一切を画面から省いたその作品群は、原美術館で「宮脇愛子 1959-64」展(1996年10-12月)として、はじめて公開されました。「いささかも時の流れに浸食されることのない新鮮さをもって、見る者の眼を奪う」と浅田彰氏はカタログの一文に書いています。まさにその通りで、後年の《うつろひ》の連作を彷彿とさせるものがそこにあると思いました。>
ところでご紹介した神奈川県立近代美術館での宮脇さんの回顧展「ある彫刻家の軌跡 ── 宮脇愛子」ですが、同館のホームページが実に内容豊かに構成されているので感激しました。
皆さんご承知かと思いますが、美術関係のサイトでいま最もつまらない(内容がない)のが実は公立私立を問わず美術館のホームページなのです。
おそらく、著作権や予算の問題、更に人手不足などもあるのでしょうが、どこの美術館も展覧会が終わるとその展示記録をほとんど削除してしまっています。
所蔵品に関しても画像がなくただの棒リストだけという場合も多く、実に薄っぺらな紹介しかされていないのが現状です。
そういう中で、神奈川県立近代美術館の意欲的な試みは高く評価すべきでしょう。
以下、同館のサイトからそのまま引用します。
このサイトは、1998年に神奈川県立近代美術館で開催された「ある彫刻家の軌跡 ── 宮脇愛子」展の展覧会カタログをベースに制作されました。まだテスト版の段階ですが、これから徐々に充実させていきたいと考えています。
宮脇愛子さんは、改めて申し上げるまでもなく、「UTSUROHI(うつろひ)」と名付けられた一連の作品で、世界的に活躍されているアーティストです。このたび、本サイトの立ち上げにあたって、材料提供や関係各位の調整に快くご協力いただきました。この場をかりて御礼申し上げます。
「■ UTSUROHI」では、日本国内・海外にこれまで設置された「UTSUROHI」の情景写真をスライドショーでご覧いただけます。
「■ WORKS」では、UTSUROHIに到るまでの宮脇さんの制作活動を、立体(彫刻)と平面(絵画)作品に大別して、スライドショーにまとめました。
これらの作品紹介は、これからも点数を増やしていく予定です。
「■ INTERVIEW」と「■ TEXTS」は、98年の展覧会カタログに掲載されたテクストの再録です。
************
いや実に丁寧につくられていて、宮脇ファンならずとも興味深く見ることができるでしょう。せっかく美術館が大規模な展覧会を開いても、その痕跡がカタログにしか残らないという現状を、こういう試みが突破していってくれることを期待したいですね。
◆ときの忘れもののエディション、及び頒布している書籍・カタログをご紹介します。

宮脇愛子シルクスクリーン入り小冊子
『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き)
限定25部(番号・サイン入り)
ときの忘れもの 発行
折本形式(蛇腹)、表裏各15ページ
サイズ:18.0×14.5cm
・ 宮脇愛子オリジナルドローイング、自筆サイン入り
・ 宮脇愛子が1959年より2010年まで制作したドローイングより、厳選のシルクスクリーン13点を挿入(シルクスクリーン刷り:石田了一)
・ 磯崎新撮影「アトリエのマン・レイと宮脇愛子」カラー写真1点貼り込み
・ 宮脇愛子に贈られたマン・レイ作品の画像貼り込み(印刷)
・ マン・レイとの交流と、『うつろひ』への宮脇愛子インタビューDVD(約10分)付き
『宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI』サイン入り1973年 東京画廊発行
196ページ 16.9×17.4cm
宮脇愛子『うつろひ』
1986年 美術出版社発行
96ページ 25.3×33.3cm
宮脇愛子『はじめもなく終りもない―ある彫刻家の軌跡』
1991年 岩波書店発行
180ページ 22.3×17.9cm
宮脇愛子『宮脇愛子ドキュメント』
1992年 美術出版社発行
188ページ 21.2×21.4cm
『Aiko Miyawaki』1996年 Galerie Enrico Navarra発行
110ページ 29.3×25.0cm
『はじめもなく終りもない宮脇愛子―彫刻家の軌跡』
1998年 神奈川県立近代美術館発行
128ページ 27.7×21.8cm
『磯崎新版画展 宮脇愛子展』図録2009年 財団法人中津万象園保勝会発行
27ページ 29.7×21.0cm
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは、2011年2月8日[火]―2月26日[土]<陽気が更に来る>ことを祈りつつ「気更来のコレクション展」を開催しています(日曜・月曜・祝日は休廊。ただし、TOKYO FRONTLINE開催中の2月20日[日]は開廊します)。

出品:小野隆生、宮脇愛子、百瀬寿、秋葉シスイ、
アンドレ・ケルテス、植田正治、エドワード・スタイケン、瑛九、細江賢治
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