北川民次と小野隆生/It's a real★本物を買う!
明日3月5日と6日の二日間開催する「It's a real★本物を買う!」は出品作を52点に絞りました。
前回は作品が多すぎて、狭いときの忘れものの空間では丁寧に飾れ切れず観る人に各々の作品の魅力を伝えることができなかったのではと反省しています。
今回は点数を絞るとともに、サイズも小ぶりなものを優先したのですが、北川民次と小野隆生の2点は大きな作品となりました。
■北川民次(1894-1989)を知る人は先ずメキシコを思い浮かべるでしょう。1914年渡米し、ニューヨークのアート・ステューデンツ・リーグで学んだ後、1921年にメキシコに渡ります。メキシコ革命後の美術を民衆のものにすることをめざした野外美術学校の教師として活動し、メキシコの児童画に取り組むなかで、アカデミックな美術概念から開放された独自の作風を形成します。1936年に帰国し、メキシコの風土や人々をダイナミックな構成によって描いた作品が注目を浴び、二科会に迎えられます。その頃出会った久保貞次郎は大きな影響を受け、以後生涯にわたり北川芸術の支援者として様々な活動をともにします。
窯業の街、瀬戸に移住し、そこで働く人々を描くことによって社会と向かい合い、時代に生きる画家として先駆的な、一つの具体的な可能性を示したことはもっと評価されていいでしょう。労働、母子、戦争、公害、沖縄、教育など北川民次が描いたテーマは、現在もなお、いやむしろ深刻さが増している今日的な問題であり、北川絵画は少しも古びていません。
戦時中は逼塞していた北川民次が戦後ようやく自由な空気を吸うことによって生まれたこの作品は、他のいわゆるメキシコ風のスタイルとはかなり違います。風刺とユーモアがきいていて、そこが面白いですね。

11 北川民次 《手鏡を持つ母子像》
1947 油彩 92.0x73.0cm Signed
■北川民次より半世紀以上あとの世代で、イタリアで制作を続けているのが小野隆生です。
若いときに海外に渡ったという意味では北川民次と同じですが、小野隆生が憧れ学ぼうとしたのはヨーロッパ、いや世界の中心ともいえるイタリア・ルネッサンスの画家たちでした。
中でもペルジーノに深く影響を受け、その生地にアトリエを構えてしまったほどです。
500年前の画家たちをライバルと思い、イタリアの小さな山岳都市で淡々と肖像画を描き続ける小野隆生ですが、描いているのはまさに「現代の肖像画」です。
しかしそれには特定のモデルがいるわけではなく、すべて作家自身のイメージの中の人物像なのです。

7 小野隆生 《青年像》
1990 テンペラ 100x70cm(40号) Signed
小野隆生の作品の魅力については池上ちかこさんが連載エッセイで詳述していますのでぜひお読みください。
また2008年に伊東の池田20世紀美術館で初めての回顧展が開催されたときの画像もぜひご覧になってください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
明日3月5日と6日の二日間開催する「It's a real★本物を買う!」は出品作を52点に絞りました。
前回は作品が多すぎて、狭いときの忘れものの空間では丁寧に飾れ切れず観る人に各々の作品の魅力を伝えることができなかったのではと反省しています。
今回は点数を絞るとともに、サイズも小ぶりなものを優先したのですが、北川民次と小野隆生の2点は大きな作品となりました。
■北川民次(1894-1989)を知る人は先ずメキシコを思い浮かべるでしょう。1914年渡米し、ニューヨークのアート・ステューデンツ・リーグで学んだ後、1921年にメキシコに渡ります。メキシコ革命後の美術を民衆のものにすることをめざした野外美術学校の教師として活動し、メキシコの児童画に取り組むなかで、アカデミックな美術概念から開放された独自の作風を形成します。1936年に帰国し、メキシコの風土や人々をダイナミックな構成によって描いた作品が注目を浴び、二科会に迎えられます。その頃出会った久保貞次郎は大きな影響を受け、以後生涯にわたり北川芸術の支援者として様々な活動をともにします。
窯業の街、瀬戸に移住し、そこで働く人々を描くことによって社会と向かい合い、時代に生きる画家として先駆的な、一つの具体的な可能性を示したことはもっと評価されていいでしょう。労働、母子、戦争、公害、沖縄、教育など北川民次が描いたテーマは、現在もなお、いやむしろ深刻さが増している今日的な問題であり、北川絵画は少しも古びていません。
戦時中は逼塞していた北川民次が戦後ようやく自由な空気を吸うことによって生まれたこの作品は、他のいわゆるメキシコ風のスタイルとはかなり違います。風刺とユーモアがきいていて、そこが面白いですね。

11 北川民次 《手鏡を持つ母子像》
1947 油彩 92.0x73.0cm Signed
■北川民次より半世紀以上あとの世代で、イタリアで制作を続けているのが小野隆生です。
若いときに海外に渡ったという意味では北川民次と同じですが、小野隆生が憧れ学ぼうとしたのはヨーロッパ、いや世界の中心ともいえるイタリア・ルネッサンスの画家たちでした。
中でもペルジーノに深く影響を受け、その生地にアトリエを構えてしまったほどです。
500年前の画家たちをライバルと思い、イタリアの小さな山岳都市で淡々と肖像画を描き続ける小野隆生ですが、描いているのはまさに「現代の肖像画」です。
しかしそれには特定のモデルがいるわけではなく、すべて作家自身のイメージの中の人物像なのです。

7 小野隆生 《青年像》
1990 テンペラ 100x70cm(40号) Signed
小野隆生の作品の魅力については池上ちかこさんが連載エッセイで詳述していますのでぜひお読みください。
また2008年に伊東の池田20世紀美術館で初めての回顧展が開催されたときの画像もぜひご覧になってください。
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