マン・レイのオブジェ
マン・レイの自伝を読むと、生涯において夥しい数を制作したオブジェについて次のように書かれています。
<ある日、ブルトン、エリュアール、アラゴンがわたしの絵を見に来た。スーポーが画廊を開く計画をたてていて、わたしがかわきりの展覧会をやってもよいというのだった。三十点の奇体な作品がホテルの部屋から画廊まで運ばれた。
(略)
キャフェを出て、いろいろな家庭用品を店頭にひろげた店のまえを通りかかった。わたしは石炭ストーヴで熱して使う型のアイロンを取上げて、サティーに言って一緒に中に入り、彼に手伝ってもらって、鋲を一箱と膠を一本買った。画廊に戻って、アイロンのなめらかな面に鋲を一列、膠でくっつけ、《贈物》という題を付けて、展示物に追加した。これがパリでのわたしの最初のダダのオブジェであり、ニューヨークで作っていたアッセンブリッジの作品と同類のものだった。この作品を賞品にして友人たちに籤引をやってもらおうとおもっていたのだが、午後のあいだに失くなってしまった。きっとスーポーがねこばばしたにちがいないとおもった。展示は二週間続いたが、ひとつも売れなかった。わたしは狂乱にとらわれんばかりだったけれど、有名な画家たちだって認められるまで何年も闘ったのだと考えて気を鎮めることにした。それに、わたしには頼るべきものとして写真があった。>
『マン・レイ自伝 セルフポートレイト』1981年 千葉成夫訳 美術公論社 118~121ページより引用
マン・レイのファンなら誰でも知っているアイロンのオブジェが、パリでの最初のオブジェだったこと、オリジナルは直ぐに失われてしまったこと、などがわかります。
マン・レイはその後も幾度もアイロンのオブジェを制作します。
単なる再制作とはいえない、マン・レイの制作への姿勢が伺えます。
ご紹介するのは、1974年に作られた「贈物」、5000個全部の作品カードにサインしたのですから大変だったと思うでしょうが、なに靉嘔の「I love you」11,111部全てに鉛筆でサインを入れてもらった(それもたった一日で)亭主としてみれば、そんなのわけないよ、といえます。
マン・レイ
「贈り物」
1921年/1974年 マルチプル
サイズ:H16.5×10.0×8.2cm
Ed.5000 作品証明カードにサインあり
もう一点、オブジェを紹介しましょう。
これもオリジナルは1926年ですが、1975年に1000個限定で制作されたものです。
マン・レイ
「釣人の偶像」
1926/1975年 ブロンズ
H20.8×4.4×4.4cm
Ed.1000 Man Rayの刻印あり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆「山田陽写真展 Line1_Lily Grass」は盛況のうちに終了しました。
作品をお買いあげいただいた皆さん、ご来廊の皆さん、ありがとうございました。
◆ときの忘れものは、2011年7月26日[火]―7月30日[土]「クレー、カンディンスキーと恩地孝四郎展」を開催します。
◆ときの忘れものは、2011年8月5日[金](プレス、招待客のみ)、6日[土]、7日[日]にウェスティンナゴヤキャッスル9Fで開催される「ART NAGOYA 2011」に出展します。
ときの忘れもののブースは908号室です。
◆ときの忘れものは、2011年8月8日[月]―8月15日[月]まで夏季休廊となります。夏休みをとるのは数年ぶりですので、営業日に関してどうぞお間違いのないようお願いいたします。
◆今月のWEB展は福田勝治展です。
マン・レイの自伝を読むと、生涯において夥しい数を制作したオブジェについて次のように書かれています。
<ある日、ブルトン、エリュアール、アラゴンがわたしの絵を見に来た。スーポーが画廊を開く計画をたてていて、わたしがかわきりの展覧会をやってもよいというのだった。三十点の奇体な作品がホテルの部屋から画廊まで運ばれた。
(略)
キャフェを出て、いろいろな家庭用品を店頭にひろげた店のまえを通りかかった。わたしは石炭ストーヴで熱して使う型のアイロンを取上げて、サティーに言って一緒に中に入り、彼に手伝ってもらって、鋲を一箱と膠を一本買った。画廊に戻って、アイロンのなめらかな面に鋲を一列、膠でくっつけ、《贈物》という題を付けて、展示物に追加した。これがパリでのわたしの最初のダダのオブジェであり、ニューヨークで作っていたアッセンブリッジの作品と同類のものだった。この作品を賞品にして友人たちに籤引をやってもらおうとおもっていたのだが、午後のあいだに失くなってしまった。きっとスーポーがねこばばしたにちがいないとおもった。展示は二週間続いたが、ひとつも売れなかった。わたしは狂乱にとらわれんばかりだったけれど、有名な画家たちだって認められるまで何年も闘ったのだと考えて気を鎮めることにした。それに、わたしには頼るべきものとして写真があった。>
『マン・レイ自伝 セルフポートレイト』1981年 千葉成夫訳 美術公論社 118~121ページより引用
マン・レイのファンなら誰でも知っているアイロンのオブジェが、パリでの最初のオブジェだったこと、オリジナルは直ぐに失われてしまったこと、などがわかります。
マン・レイはその後も幾度もアイロンのオブジェを制作します。
単なる再制作とはいえない、マン・レイの制作への姿勢が伺えます。
ご紹介するのは、1974年に作られた「贈物」、5000個全部の作品カードにサインしたのですから大変だったと思うでしょうが、なに靉嘔の「I love you」11,111部全てに鉛筆でサインを入れてもらった(それもたった一日で)亭主としてみれば、そんなのわけないよ、といえます。
マン・レイ「贈り物」
1921年/1974年 マルチプル
サイズ:H16.5×10.0×8.2cm
Ed.5000 作品証明カードにサインあり
もう一点、オブジェを紹介しましょう。
これもオリジナルは1926年ですが、1975年に1000個限定で制作されたものです。
マン・レイ「釣人の偶像」
1926/1975年 ブロンズ
H20.8×4.4×4.4cm
Ed.1000 Man Rayの刻印あり


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◆「山田陽写真展 Line1_Lily Grass」は盛況のうちに終了しました。
作品をお買いあげいただいた皆さん、ご来廊の皆さん、ありがとうございました。
◆ときの忘れものは、2011年7月26日[火]―7月30日[土]「クレー、カンディンスキーと恩地孝四郎展」を開催します。
◆ときの忘れものは、2011年8月5日[金](プレス、招待客のみ)、6日[土]、7日[日]にウェスティンナゴヤキャッスル9Fで開催される「ART NAGOYA 2011」に出展します。
ときの忘れもののブースは908号室です。
◆ときの忘れものは、2011年8月8日[月]―8月15日[月]まで夏季休廊となります。夏休みをとるのは数年ぶりですので、営業日に関してどうぞお間違いのないようお願いいたします。
◆今月のWEB展は福田勝治展です。
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