今年一年のご愛顧への感謝をこめて、12月3日(土)、4日(日)の二日間「年末セール★Discovery」を開催します。
出品作品リストはホームページに11月25日に公開します。
昨日は、No.50)池田満寿夫「タエコの朝食」と、No.51)池田満寿夫「私をみつめる私」という現代版画史上屈指の名作をご紹介しましたが、池田とくればやはり銅版画界のプリンス・駒井哲郎を挙げないわけには行きません。

駒井哲郎「大きな樹」
1971年 銅版
44.5x32.1cm
Ed.210 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
文字通り「大きな樹」を描いた、それも駒井作品の中では最も大きなサイズの作品です。
駒井哲郎は初期から晩年に至るまで「樹」あるいは「木」を繰り返し描きました。
「束の間の幻影」に代表される1950年代の<夢>シリーズから、試行錯誤を経て「からんどりえ」や「人それを呼んで反歌という」の硬質な秀作を生み出したことは良く知られていますが、そのきっかけとなったのがルドンの木でした。
そのものずばり、「樹木 ルドンの素描による」(1956年)という作品があります。小山正孝との詩画集『愛しあふ男女』に挿入された作品ですが、その制作の経緯について駒井自身が次のように述懐しています(<>が引用)。
<巴里から帰って来て仕事もなく、もちろん絵も売れなくて困っている時期がずいぶん永く続いたように思う。そんなある時、小山正孝の詩集に銅版画で挿絵をやらないかといって来てくれた・・・(中略)。早速、とびついて仕事をした。これが日本に帰ってからの最初の詩画集だった。>(ユリイカ1971年12月号)
駒井哲郎と親しかった大岡信も『詩人の眼・大岡信コレクション』展図録の中で次のように言っています(2006年 三鷹市美術ギャラリー他、<>が引用)。
<南画廊が最初に開いたのが1956年の駒井さんの展覧会でした。その頃まだ僕は南画廊を知りませんでした。駒井さんとは58年から親しくなりましたが、そのころの彼はフランスから帰国した後で、創作に悩んで試行錯誤を繰り返していました。僕にとっては人ごととは思えない切実さがありました。
フランスに行くまでの作品は幻想的なものが多かったのですが、フランスで幻想的作品の弱さ、つまらなさを痛感して、自然界をちゃんと見つめようとした。その苦しみの中、抽象の世界を出てリアルさを見直す試みが一連の「樹木」シリーズにつながったのでしょう。>(同図録34ページ)
フランス留学(1954~55年)から帰国した後のスランプを脱出し、作家が新たな成熟期に向かう転機となったのが樹木シリーズであり、今回出品のNo.41)「大きな樹」 はその集大成ともいえる大作です。
折から福原コレクションによる「駒井哲郎 1920-1976 版にみる夢と現実」展が伊丹市立美術館で12月18日まで開催中です。
関西での大規模な駒井哲郎展は初めてではないでしょうか。どうぞお見逃し無く。
もちろんこの「大きな樹」も出品されています。同展図録はときの忘れもので扱っています。
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昨日は、No.50)池田満寿夫「タエコの朝食」と、No.51)池田満寿夫「私をみつめる私」という現代版画史上屈指の名作をご紹介しましたが、池田とくればやはり銅版画界のプリンス・駒井哲郎を挙げないわけには行きません。

駒井哲郎「大きな樹」
1971年 銅版
44.5x32.1cm
Ed.210 Signed
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文字通り「大きな樹」を描いた、それも駒井作品の中では最も大きなサイズの作品です。
駒井哲郎は初期から晩年に至るまで「樹」あるいは「木」を繰り返し描きました。
「束の間の幻影」に代表される1950年代の<夢>シリーズから、試行錯誤を経て「からんどりえ」や「人それを呼んで反歌という」の硬質な秀作を生み出したことは良く知られていますが、そのきっかけとなったのがルドンの木でした。
そのものずばり、「樹木 ルドンの素描による」(1956年)という作品があります。小山正孝との詩画集『愛しあふ男女』に挿入された作品ですが、その制作の経緯について駒井自身が次のように述懐しています(<>が引用)。
<巴里から帰って来て仕事もなく、もちろん絵も売れなくて困っている時期がずいぶん永く続いたように思う。そんなある時、小山正孝の詩集に銅版画で挿絵をやらないかといって来てくれた・・・(中略)。早速、とびついて仕事をした。これが日本に帰ってからの最初の詩画集だった。>(ユリイカ1971年12月号)
駒井哲郎と親しかった大岡信も『詩人の眼・大岡信コレクション』展図録の中で次のように言っています(2006年 三鷹市美術ギャラリー他、<>が引用)。
<南画廊が最初に開いたのが1956年の駒井さんの展覧会でした。その頃まだ僕は南画廊を知りませんでした。駒井さんとは58年から親しくなりましたが、そのころの彼はフランスから帰国した後で、創作に悩んで試行錯誤を繰り返していました。僕にとっては人ごととは思えない切実さがありました。
フランスに行くまでの作品は幻想的なものが多かったのですが、フランスで幻想的作品の弱さ、つまらなさを痛感して、自然界をちゃんと見つめようとした。その苦しみの中、抽象の世界を出てリアルさを見直す試みが一連の「樹木」シリーズにつながったのでしょう。>(同図録34ページ)
フランス留学(1954~55年)から帰国した後のスランプを脱出し、作家が新たな成熟期に向かう転機となったのが樹木シリーズであり、今回出品のNo.41)「大きな樹」 はその集大成ともいえる大作です。
折から福原コレクションによる「駒井哲郎 1920-1976 版にみる夢と現実」展が伊丹市立美術館で12月18日まで開催中です。
関西での大規模な駒井哲郎展は初めてではないでしょうか。どうぞお見逃し無く。
もちろんこの「大きな樹」も出品されています。同展図録はときの忘れもので扱っています。
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