画廊は井桁裕子展を来週に控え、嵐の前の静けさ。
ハ・ミョンウン展で売れた作品の納品も一段落したので、空いた壁にこういうときでもないと飾れない亭主好みの作品~サム・フランシス、クリストベン・ニコルソンアンディ・ウォーホル植田正治ロベール・ドアノーなどを常設展示しています。
青山においでの折にはどうぞお立ち寄りください。

筑波大学の五十殿利治先生から明日東京都現代美術館で開催されるシンポジウムのご案内をいただいたので、ご紹介します。

日本における未来派100年記念シンポジウム

主催 日本における未来派100年記念シンポジウム実行委員会
後援 明治美術学会、東京都現代美術館、大原美術館
助成 ポーラ美術振興財団
場所 東京都現代美術館講堂
   (東京都江東区三好4-1-1 tel:03-5245-4111)
期日 2012年11月17日(土)10:30-17:30
聴講無料

 1909年イタリアの詩人マリネッティがフランスの新聞『ル・フィガロ』に寄せた「未来派創設宣言」はヨーロッパのみならず、時をおかずに森鷗外によって我が国でも紹介されるほど、国際的な反響を呼びました。しかし、美術界において、イタリア未来派の影響が顕著となるのは、1912年2月からパリをはじめロンドンやベルリンを巡回した未来派絵画展が開催されて以降となりました。
 当時、日本ではただちにパリの展覧会の紹介、あるいはロンドン展カタログの翻訳などが始まります。東京美術学校教授である黒田清輝のもとにはさっそくパリ展カタログが届くなど、日本の美術界にさまざまなルートでイタリア未来派の美術動向が伝えられ、いよいよ関心が高まりました。木村荘八ら、若い画家のなかには直接マリネッティに連絡をとるものたちも現れました。なかでも神原泰は、イタリア語文献の翻訳などに意欲的に取り組み、未来派の紹介に尽力しました。神原の未来派関係の蔵書は現在大原美術館に「神原泰文庫」として所蔵され、欧米にもない貴重な文書資料の宝庫となっています。
 本シンポジウムはイタリア未来派紹介100年を記念して、日本における未来派の果たした役割を再考し、国際的な視点をからめて、近代美術史における位置づけを検証する研究集会です。

シンポジウム(通訳付き)
開会あいさつ  五十殿利治(筑波大学)
特別研究発表
10:30-12:00 Günter Berghaus (University of Bristol)
“Current Research into the International Impact of Futurism”
研究発表
13:30-14:00 田中淳(東京文化財研究所)
       「Futurism day ― 木村荘八の1912年」
14:00-15:00 Pierantonio Zanotti ( Ca' Foscari University, Venice)
   "Futurism and Japan: F. T. Marinetti's perspective"
15:30-16:00 滝沢恭司(町田市立国際版画美術館)
       「極東のロシア未来派と大正期の新興美術」
16:00-16:30 孝岡睦子(大原美術館)
       「イタリア未来派との交流―神原泰とその文庫を中心に」
16:30-17:30 ラウンドテーブル 
総括 高階秀爾(大原美術館)
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五十殿先生に執筆していただいた版画掌誌「ときの忘れもの」第03号をご紹介します。
cover版画掌誌「ときの忘れもの」第03号
特集1:草間彌生
特集2:パーヴェル・V・リュバルスキー


版画掌誌第3号では、20世紀を代表する作家の地位を世界的に確立した草間彌生のフォトコラージュ特集(テキスト=小泉晋弥)と、1920(大正9)年「日本に於ける最初のロシア画展覧会」に出品され、そのリノカット原版が発見されたロシア人画家パーヴェル・V・リュバルスキーの謎の生涯を特集(テキスト=五十殿利治)しました。

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