来月2月15日からNYのグッゲンハイム美術館で「具体展」が開催されることは先日ご案内しましたが、昨年もロサンゼルスで「もの派展」が開催され、ここ数年、海外で日本の現代美術に大きな注目が集まっています。

「もの派」は、1960年代末に始まり1970年代中期まで続いた運動で、石、木、紙、綿、鉄板、パラフィンといった〈もの〉を単体で、あるいは組み合わせて作品とするのが特徴です。
1968年に関根伸夫が『位相—大地』を発表し、李禹煥がそれを新たな視点で評価し、理論づけたことから始まりますが、関根はじめ吉田克朗、本田眞吾、成田克彦、小清水漸、菅木志雄らはいずれも多摩美術大学で斎藤義重の教え子でした。
多くの偉才を育てた斎藤先生は作家としても教育者としても優れた業績を残しました。

画廊コレクションから、斎藤義重「クレーン」をご紹介します。
707_600斎藤義重
《クレーン》
1968年
シルクスクリーン
72.0×51.0cm
Ed.100
サインあり
*東京画廊シール添付
東京都美術館図録No.205

■斎藤義重 Yoshishige SAITO(1904-2001)
1904年東京都生まれ。造形作家。大正から昭和初期、当時さかんに移入されたヨーロッパの前衛美術、とりわけダダと構成主義を手がかりに自身の表現を模索。二科展にレリーフ状の作品を出品しようとしたところ絵画部・彫刻部ともに受け付けられなかったというように、戦前から既成のジャンル分けではとらえきれない作品によって異彩をはなつ。戦後、国内外からの評価が高まり、斎藤の教室からは1970年前後に登場する「もの派」を筆頭に、すぐれた現代作家が輩出された。
1960年代前半に集中して取り組んだ電動ドリルで合板に点や線を刻み絵具を塗りこめる作品では、板面を刻む行為と、その痕跡としての傷が主題となっている。晩年は、黒のラッカーで塗装した板を床上や壁面に組み上げる作品を制作。2001年、歿。

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