「6月の画廊コレクション展~9人の作家たち」は本日が最終日ですので、どうぞお見逃し無く。
今日は出品者の一人、光嶋裕介さんが吉祥寺に建てた住宅のお披露目があるので、朝一番、出社前に行こうと思っているのですが、天気次第ですね。
ちょっと画廊を抜け出して映画を観る、というのが亭主の息抜きでしたが、このところ忙しいのと、難聴が続いているのとで、映画館にもご無沙汰でした。
井桁裕子さんのエッセイでもご案内の通り、坪川さんの映画『ハーメルン』も完成し、渋谷のユーロスペースでの一般公開も決まったようなので、これはぜひ行かねばなるまい。
もう一人、旧知の磯崎新アトリエOBの石山友美さんがいつの間にか映画監督になってしまい、初監督作品『少女と夏の終わり』の試写会も来週ある、これも楽しみ。
先日の休みに社長と二人で久しぶりに映画館に行きました。
佐藤信介監督「図書館戦争」。
俳優も監督も知らない。原作も読んでない、ならばなぜ?


なぜだか知らんが、磯崎建築が舞台らしい。
磯崎新親衛隊としてはこりゃあ行かねばならぬ。
武力による検閲から本を守る防衛組織、図書隊の活躍を描いた有川浩(この人、女性だったんですね。知りませんでした)の小説が原作。
近未来の日本。各メディアにおける風紀を乱す表現を武力の行使をも厭わず取り締まる『メディア良化法』が施行された。それから30年後の正化31年、『メディア良化法』による検閲に対抗し読書の自由を守るために結成された図書館の自衛組織・図書隊がこれまた武力で図書館を守るという荒唐無稽のストーリーなのですが、映画を観ていると、1987年5月3日の憲法記念日に朝日新聞阪神支局が襲撃された赤報隊事件が思い起こされ、少し寒気を覚えました。
それはともかく、建築、なかんずく図書館建築にご興味ある方は、必見ですね。
実際の撮影には、磯崎建築だけでなく、多くの図書館が使われており、これも見もの。
旧・山梨県立図書館
開館前の現・山梨県立図書館
茨城の水戸西部図書館
新潟の十日町情報館(内藤廣設計)
そしてヒロインたちの勤務する武蔵野第一図書館の外観には北九州市立中央図書館が使われていました。

磯崎新設計
北九州市立中央図書館

磯崎新設計
北九州市立中央図書館

磯崎新設計
北九州市立中央図書館内観
ここでもメディア良化委員会の武力部隊と関東図書隊がドンパチ銃撃戦を繰り広げるのですが、さらに両者の激突があるのが小田原にある情報歴史図書館という設定。

磯崎新設計
北九州市立美術館本館

映画では車の位置に土嚢が積まれ、激しい銃撃戦が。
映画館の大画面で磯崎建築の名作をたっぷり味わえるなんて、至福のときを過ごしました。
『図書館戦争』は、北九州市で2012年11月12日から12月1日までロケされており、市民もエキストラなどとして延べ850人が撮影に協力したとか。映画のエンドロールには、美術館の前に土嚢を積み上げたボランティアスタッフの大学生たちの名前も記載されていたそうです。
以前、国内はもとより海外まで図書館を訪ね歩いているWさんをご紹介したことがありますが、Wさんはもちろん見ているに違いない。
Wさんのサイト<今日は遠くの図書館>をぜひご覧ください。
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もちろん磯崎先生、二つの建築は版画にしています。

磯崎新 還元より「MUSEUM-II(北九州市立美術館)」
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:55.0×55.0cm
シートサイズ:90.0×63.0cm
Ed.75 サインあり
*現代版画センターエディション

磯崎新 還元より「LIBRARY(北九州市立中央図書館)」
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:55.0×55.0cm
シートサイズ:90.0×63.0cm
Ed.75 サインあり
*現代版画センターエディション

草間彌生「夜に読む本C」
2004年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
16.0×23.0cm Ed.95 サインあり
*ときの忘れものエディション
レゾネNo.341(阿部出版 2005年)
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ところで最後になんで草間彌生作品なのか。
ストーリーを紹介するわけにはいきませんが、『図書館戦争』の最後のドンパチの舞台は、閉店になった本屋の地下です。
亭主はまったく気づかなかったのですが(注意力散漫)、社長によれば本屋の壁に草間彌生の「夜に読む本」が中吊りのようにはってあったらしい(コピーか)。
図書館・草間彌生・夜に読む本とあれば、とても偶然とは思えず、この映画のスタッフ(小道具の方?)なかなかやるもんですね。
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