スタッフSの海外ネットサーフィン No.4
Guggenheim Bilbao
前回に引き続き、今回もフランス在住時代の実家周りを話題にさせていただきます。
海に囲まれているせいか、日本人にとって他所の国というものはとても遠い印象があります(海外という言葉の響きからしてもう遠いです)が、地続きのヨーロッパではそんなものはないも同然です(少なくとも自分がいた時と場所では)。フランス南西部はバスク地方として知られていますが、この地方、国境を跨いでスペインにも広がっています。間にあるピレネー山脈なんて障害にもなってません。
国だ文化だ歴史だと大仰な話をしないでも、あの辺りの国境意識というのはかなり緩いです。なんせお隣の方がガソリンが安いなどと言ってピレネー横断するカーオーナーが普通にいますし、日帰りの海水浴や観光旅行で両国を行き来する人も数え切れないほどいます。自分の家族もイカスミ料理を食べたい時はちょくちょくスペインの港町に行っていました。この際にパスポートを必要としたことはありません。地元の人にしてみれば、自分たちはバスク地方に住むバスク人という考えがまずあって、そこにお上の都合でフランスとスペインに分割されている、ということなのでしょう。
今回の話に選んだのは、そんなバスク地方はスペイン・ビルバオ市にあるグッゲンハイム美術館です。グッゲンハイムといえば、今年の頭にアメリカで具体展を開催し、ときの忘れものでも取り上げましたが、こちらもアメリカと同じく、ソロモン・R・グッゲンハイム財団が運営する美術館です。1997年10月に開館したこの美術館、目を惹くのは何と言ってもその外観。フランク・O・ゲーリーによって設計され、脱構築主義建築の傑作とされているそのデザインは、最早これ自体が一つの美術作品です。大いに印象に残る建物で、外観の印象が強すぎるせいで収蔵されているコレクションが霞んでしまい本末転倒だ、という批判もあるほど。自分は開館したばかりの頃に家族で訪れたことがありますが、丁度その時はデミアン・ハーストの魚の標本が展示されており、まさに美術館というより水族館、という印象でした。
グッゲンハイム・ビルバオ外観
港町ビルバオをイメージしており、船にも魚にも見えます。
このグッゲンハイム・ビルバオで来月4日から来年1月19日まで開催されるのが“Antoni Tapies. From Object to Sculpture”。この作家にとっては初となる規模の回顧展で、Antoni Tapiesの50年近いキャリアの中で生み出された作品の数々を展示する予定となっています。
Antoni Tapies
"The Armchair (La Butaca)"
1970年
ブロンズに塗装
88×90×87cm
Col・lecio Fundacio Antoni Tapies, Barcelona
c Fundacio Antoni Tapies, Barcelona/VEGAP, Bilbao, 2013.
Source of the images: VEGAP Image Bank
上の作品は一見すると壊れかけたアンティーク椅子ですが、材質を見るとなんとブロンズと塗料。立体的な騙し絵のようです。自分のアートフェアレポートを読んでくださっている方々には、何故自分がこの回顧展を選んだのか、良くお分かりいただけると思います。公式サイトの紹介ページでは、この作品を拡大して見ることも出来ますので、興味の湧いた方は是非下記のリンクよりご覧になってください。
(しんざわ ゆう)
Guggenheim Bilbao公式サイト:http://www.guggenheim-bilbao.es/en//
“Antoni Tapies. From Object to Sculpture”:http://www.guggenheim-bilbao.es/en/exhibitions/antoni-tapies-from-object-to-sculpture/
Guggenheim Bilbao
前回に引き続き、今回もフランス在住時代の実家周りを話題にさせていただきます。
海に囲まれているせいか、日本人にとって他所の国というものはとても遠い印象があります(海外という言葉の響きからしてもう遠いです)が、地続きのヨーロッパではそんなものはないも同然です(少なくとも自分がいた時と場所では)。フランス南西部はバスク地方として知られていますが、この地方、国境を跨いでスペインにも広がっています。間にあるピレネー山脈なんて障害にもなってません。
国だ文化だ歴史だと大仰な話をしないでも、あの辺りの国境意識というのはかなり緩いです。なんせお隣の方がガソリンが安いなどと言ってピレネー横断するカーオーナーが普通にいますし、日帰りの海水浴や観光旅行で両国を行き来する人も数え切れないほどいます。自分の家族もイカスミ料理を食べたい時はちょくちょくスペインの港町に行っていました。この際にパスポートを必要としたことはありません。地元の人にしてみれば、自分たちはバスク地方に住むバスク人という考えがまずあって、そこにお上の都合でフランスとスペインに分割されている、ということなのでしょう。
今回の話に選んだのは、そんなバスク地方はスペイン・ビルバオ市にあるグッゲンハイム美術館です。グッゲンハイムといえば、今年の頭にアメリカで具体展を開催し、ときの忘れものでも取り上げましたが、こちらもアメリカと同じく、ソロモン・R・グッゲンハイム財団が運営する美術館です。1997年10月に開館したこの美術館、目を惹くのは何と言ってもその外観。フランク・O・ゲーリーによって設計され、脱構築主義建築の傑作とされているそのデザインは、最早これ自体が一つの美術作品です。大いに印象に残る建物で、外観の印象が強すぎるせいで収蔵されているコレクションが霞んでしまい本末転倒だ、という批判もあるほど。自分は開館したばかりの頃に家族で訪れたことがありますが、丁度その時はデミアン・ハーストの魚の標本が展示されており、まさに美術館というより水族館、という印象でした。
グッゲンハイム・ビルバオ外観港町ビルバオをイメージしており、船にも魚にも見えます。
このグッゲンハイム・ビルバオで来月4日から来年1月19日まで開催されるのが“Antoni Tapies. From Object to Sculpture”。この作家にとっては初となる規模の回顧展で、Antoni Tapiesの50年近いキャリアの中で生み出された作品の数々を展示する予定となっています。
Antoni Tapies"The Armchair (La Butaca)"
1970年
ブロンズに塗装
88×90×87cm
Col・lecio Fundacio Antoni Tapies, Barcelona
c Fundacio Antoni Tapies, Barcelona/VEGAP, Bilbao, 2013.
Source of the images: VEGAP Image Bank
上の作品は一見すると壊れかけたアンティーク椅子ですが、材質を見るとなんとブロンズと塗料。立体的な騙し絵のようです。自分のアートフェアレポートを読んでくださっている方々には、何故自分がこの回顧展を選んだのか、良くお分かりいただけると思います。公式サイトの紹介ページでは、この作品を拡大して見ることも出来ますので、興味の湧いた方は是非下記のリンクよりご覧になってください。
(しんざわ ゆう)
Guggenheim Bilbao公式サイト:http://www.guggenheim-bilbao.es/en//
“Antoni Tapies. From Object to Sculpture”:http://www.guggenheim-bilbao.es/en/exhibitions/antoni-tapies-from-object-to-sculpture/
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