<凡庸な評論家のジャーナリスティックな視点の欠けた権威的臭いぷんぷんの文章よりも(最近の日本では減ったが)知性と感性が巧く配合されたアーティストのエッセイの方ガ遥かに面白い!
あ、森下泰輔は評論家でもあった!
ギャラリー「ときのわすれもの」の抱えるエッセイストにはハゲの男性を好ましく思っている女性アーティストもおるからハゲ・コンプレックスまで解消!薬効まであるのである。>
(羽月雅人さんのfacebookより)


森美術館10周年記念「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」が好評のようです。
会期は2014年2月1日(土)-5月6日(火・休)。
若い人たちが大勢つめかけていると聞くと嬉しくなりますね。

生前のウォーホルが日本にどういう風に受け入れられたか(受け入れられなかったか)をウォーホルオタクの一人、森下泰輔さんにご自身の体験をもとに論じていただいています。
現場にいた人(いただけでなく身銭を切ったひと)は強い。

<私がアンディ・ウォーホルの作品と出合ったのはビートルズが来日した1966年、十四の時だった。この年、京橋の国立近代美術館で「現代アメリカ絵画展」があったのだが、ラウシェンバーグ、ジョーンズに混じってまったく無名のウォーホルのキャンバス作品、キャンベル・スープ、ジャッキー、電気椅子などもきていた。当時はワーホールといっていた。蛍光色なども使用したその煌びやかな作品は、それまでのアートとはまるで違って見えた。その数ヵ月後、銀座・壱番館画廊で「アメリカンアート・ポスター展」があって、私はラウシェンバーグを買いにいったのだが、そこでウォーホルのリズ・テイラーの作品ポスターがあり、一目で魅了されてしまい、こちらを購入した。色使い、構成など単純だがきわめて新しかったのだ。「極彩色によって連結された虚無」と中学生の私は思った。前年の65年、カナダ・トロントの個展時に使用されたポスターであった。このときカナダの税関は彼のブリロ・ボックスを芸術作品とはみなさなかった。>
(森下泰輔のエッセイ・連載第一回より)

14歳の中学生があの壱番館画廊でウォーホルのリズのポスターを買う、ゾクゾクしてきます。
エッセイで紹介される 森下さんのウォーホル・コレクションもさすが一癖も二癖もある、魅力たっぷりです。
おかげさまで回を重ねるごとにぐんぐんアクセスが急増しています。

下記のとおり、森美術館で4月19日夜、亭主も参加するスペシャル・トーク があります。
昨日あたりから募集を開始したようですが、お暇のある方、どうぞご参加ください。

■スペシャル・トーク
六本木アートナイト2014「日本で制作されたウォーホル作品:《Kiku》をめぐる物語

1974年、東京と神戸の大丸デパートでの個展で注目を浴びたウォーホル。1983年には日本を代表する花として菊を主題とした《Kiku》を発表しました。この作品の制作や日本におけるウォーホル展開催に携わった3者を迎え、作品誕生の秘話や日本におけるウォーホルの受容について紹介します。

出演: 綿貫不二夫(「ときの忘れもの」ディレクター)、根本寿幸(GALLERY360°ディレクター)、石田了一(摺師、石田了一工房代表)

日時:2014年4月19日(土) 20:00-21:30
会場:「Andy Warhol Café」(六本木ヒルズ森タワー52階 東京シティビュー内)
定員:60名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
主催:森美術館

■ときの忘れものは2014年3月12日[水]―3月29日[土]「瀧口修造展 II」開催しています(※会期中無休)。
201403
今回は「瀧口修造展 Ⅰ」では展示しなかったデカルコマニー30点をご覧いただきます。

●出品作品を順次ご紹介します。
II-22(157)瀧口修造
《Ⅱ-11》
デカルコマニー、紙
Image size: 13.6x9.9cm
Sheet size: 13.6x9.9cm

II-22(157)_裏瀧口修造
《Ⅱ-11(裏)》


II-20(154)瀧口修造
《Ⅱ-14》
1962年
デカルコマニー、紙
※富山県立近代美術館蔵No.53と対
Image size: 12.5x9.2cm
Sheet size: 12.5x9.2cm

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このブログでは関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。

カタログのご案内
表紙『瀧口修造展 I』図録
2013年
ときの忘れもの 発行
図版:44点
英文併記
21.5x15.2cm
ハードカバー
76ページ
執筆:土渕信彦「瀧口修造―人と作品」
再録:瀧口修造「私も描く」「手が先き、先きが手」
価格:2,100円(税込)
※送料別途250円(お申し込みはコチラへ)
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本日のウォーホル語録

<若い人たちは、年寄りよりも多くの悩みを抱えている、とぼくには思え、そういう悩みを持たなくていい年まで持ちこたえられたらいい、と願った。それで、まわりを見回してみると、若者は若者なりの、年寄りは年寄りなりの問題を抱えていた。「若い」悩みより、「年取った」悩みの方が扱いがやさしいように見えたので、白髪頭になることにした。そうすれば、誰も、ぼくが何歳かわからないし、おまけに、彼らがぼくを見て想像する年より、若く見えるだろう。そして、そのことでぼくは大いに得することだろう。つまり、1:ぼくは年寄りの悩みを持つことになること。そして、その悩みは若者の悩みより、扱いがやさしいこと。2:「お若く見えますねえ!」と、みんなが感心してくれるだろうこと。3:若くふるまう責任から解放されること――ときには、若さに不釣合いなことや、老人くさいことをやることだってできた――ぼくが白髪頭なために、そうしたところで、誰も気にかけやしないだろうから。白髪になると、ただ普通の人が、活動的に見えるよりも、もっと「若々しく」、「活発に」見える。何か新しい才能を獲得したみたいだ。そんなわけで、23か24のときに、髪を白く染めた。
―アンディ・ウォーホル>


ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。
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