スタッフSの「ART OSAKA 2014」レポートその3

ART OSAKA 2014、第三信をお送りします。
お待たせ致しました。アートフェア終了後も相も変わらずバタバタし通しで、週の終わりにあったイベントを次の週に終わりに紹介するという、なんともな有様なスタッフSこと新澤です。
今回は毎度お馴染み、新澤独断と偏見による出品作品紹介でございます。
今年はART OSAKA自体が原則として撮影禁止となり(画廊単位で撮影許可は出せるようになっていましたが)、残念ながら幾つかの画廊では気になった作品はあれど撮影はできなかった場合もありました。ですので、許可が下りた作品で鬱憤を晴らそうと思います。
テヅカヤマギャラリー (大阪)
栗棟美里個展 “Complex Wedding”より
栗棟美里
《Eternity/破片》
砕いた皿の欠片をパターンとして、ガラスの中にレーザーで掘り込んだ作品。
そうか、全部集めるとお皿の全貌が見えるんだな、などとA型人間的発想をした自分ですが、大きい欠片しか作品化していないので、全てを集めても基のとなったパターンは完成しないとのこと。不完全であることも美術の一面とはいえ、ちょっとモヤモヤします。

Nii Fine Arts (大阪)
野口琢郎
“I remember”
去年はうちからの出品だった野口さん、今回は4点の新作をNii Fine Artsさんから出品、見事完売されました。
野口琢郎
“I hide”
今年もKIAF、そしてときの忘れものでの個展がありますので、ファンの皆様は楽しみにお待ち下さい。
MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY psf/w (京都)
現代美術二等兵
《がっかりトリプル 2/3ver.》
世界三大がっかり観光名物が奇跡のコラボ! これが新時代のがっかりだ! と、言わんばかりの作品。どこぞの伝承に登場しそうな風体ですが、ホテルの室内というロケーションが尚のことシュールさを醸しだしていました。ちなみにポンプを内臓しており、イメージビデオではちゃんと放水していました。
現代美術二等兵
《未完の大作》
プラモ好き(ロボット物に限りますが)な自分にはやたら親近感を感じさせる作品。
かのミロのヴィーナスが、本体、両腕と、リンゴ2つの5パーツ構成のプラモデルに。ちなみに10x8cmとかなり小型です。
プラモデルというと大量生産が思い浮かびますが、こちらはなんと一品物。
アートゾーン神楽岡 (京都)
石井康博
去年のART OSAKAでも紹介させていただいた作家さんです。
スイッチを入れるとフロントライトと車内に灯りがつきます。車のサイズは親指くらいしかありませんが、だからこそ小さなギミックが映える作品です。

石井康博
《一人になりたかった》
こちらもある意味二段構えな作品。一見すると顔が壁に埋まっているように見える作品ですが…
…裏に回るとそこには壁から突き出した顔が。もちろん壁を突き抜いているワケではありませんが、こういったアイデアにはクスリときます。
hpgrp GALLERY TOKYO (東京)
野村康生
Method for "Namiura" -Wu Xing East-
MDFの上にアクリルを塗り、その上にシリコンで透明なレイヤーを作ってその上にまたアクリルを塗ってシリコンでレイヤーを…という積層構造で立体的な構図を構成している作品です。そこかしこに図形が描かれており、基となった作品が確かな法則に基づいて描かれていることを示しています。
大森暁生
"Swallow in the frame"
パッと見ると額の真ん中にツバメが浮いているように見えますが、実際に存在するのは手前の半身だけで、奥側は鏡に写った鏡像です。ツバメの周りを見れば鏡がはめ込まれているのは明らかですが、ツバメに関してはそういった認識が働かない辺り、人間の認識っていい加減ですねぇ。
Gallery 工房 親 (東京)
粕谷優
《ホモネアンデルターレンシスとホモサピエンス》
タイトルにもあるホモネアンデルターレンシスとホモサピエンスについて書かれているナショナルジオグラフィック誌を帯状に切り、それを丸めたロールを組み合わせてイメージを作り上げている作品。ロールの大きさや形を使いこなして、陰影だけではなく、ちゃんと造形を成しているところがスゴイです。
粕谷優
《ネアンデルタール人の頭骨》
上記と同様の手法で、こちらは単行本から構成されている作品。
Gallery 工房 親 PLUS展示 (東京)
個人的に今回の展示で一番インパクトがあったと思う部屋です。
今年はときの忘れものも大型作品を持ち込みましたが、こちらも天井全体を占有する巨大作品を持ち込まれていました。流石にそのまま持ち込むことはできなかったので、カンバス布は丸めて、室内で枠組を作ってカンバスを張ったとのこと。
作品が売れた時も単なる赤丸シールではなく、バラの蕾を使うなど、メルヘンな雰囲気を一貫させていました。
ジルダールギャラリー (名古屋)
向井正一
“ベビテクター「With ROBO」”
毎回同じフェアに出展される度に紹介させていただいている、元特撮スーツ制作者、向井正一さんの新作。
ますますロボっぽさが増して、というかロボそのものなデザインで、自分としては嬉しい限りです。
向井正一
奥から“ベビテクター「トリックスター」”、“ベビテクター「ショーグン」”、“ベビテクター「トリックスター」”
設定は子供の守護者の筈なのですが…いずれ劣らぬ癖ものっぷりを感じさせます。
Gallery Aile (ソウル)
キムヨンウォン
"Mountain exposure 14"
懇親会でお話した韓国の画廊の出品作です。
男としては、口にするのも気恥ずかしいランジェリー。それを分解してシルクの上に散りばめることで、ごく自然な風景画を構築しています。遠景はシルクを重ねることでパーツをぼかし、写真などを通すと下着で作られているとは思えません。


ピクチャーフォトスペース:Viewing Room (大阪)
須藤絢乃
〈幻影 Gespenster〉シリーズより
実在する行方不明者に、作家自身が扮したセルフポートレイトという、かなり毛色の変わった作品群。
自分としては、左の写真と下の写真に写っているのが同一人物ということからして衝撃的です。女は化けるとは良く聞きますが、化けすぎです。

ギャラリー風 (大阪)
高田光治
〈森の声を聞く〉シリーズより《船(大)》
船の形をした土台に乾燥した様々な茸と粘菌、そして米粒サイズの人型で構成された、ジオラマのような作品。聞いた所によると、茸はもう乾燥しきっているのでどうにもならないが、粘菌は水を与えられればまた活動を開始するだろうとのこと。生命力(?)強いんですねぇ。
万画廊 (東京)
吉島信広
《獅子王》
デザインといい、質感といい、まるで絵本から抜け出してきたような作品です。作品の背景を聞かなかったことが悔やまれます。
吉島信広
《午》(干支シリーズ)
以下二点は顔のみが額装された、別個のシリーズから。
いずれもコミカルながら、なにかしら恐ろしげな雰囲気があります。
吉島信広
《猿》(箱シリーズ)
今回も自分の偏り甚だしいセレクションにお付き合いいただきありがとうございました。
楽しんでいただけたなら幸いです。
(しんざわゆう)

ART OSAKA 2014、第三信をお送りします。
お待たせ致しました。アートフェア終了後も相も変わらずバタバタし通しで、週の終わりにあったイベントを次の週に終わりに紹介するという、なんともな有様なスタッフSこと新澤です。
今回は毎度お馴染み、新澤独断と偏見による出品作品紹介でございます。
今年はART OSAKA自体が原則として撮影禁止となり(画廊単位で撮影許可は出せるようになっていましたが)、残念ながら幾つかの画廊では気になった作品はあれど撮影はできなかった場合もありました。ですので、許可が下りた作品で鬱憤を晴らそうと思います。
テヅカヤマギャラリー (大阪)
栗棟美里個展 “Complex Wedding”より
栗棟美里《Eternity/破片》
砕いた皿の欠片をパターンとして、ガラスの中にレーザーで掘り込んだ作品。
そうか、全部集めるとお皿の全貌が見えるんだな、などとA型人間的発想をした自分ですが、大きい欠片しか作品化していないので、全てを集めても基のとなったパターンは完成しないとのこと。不完全であることも美術の一面とはいえ、ちょっとモヤモヤします。
Nii Fine Arts (大阪)
野口琢郎“I remember”
去年はうちからの出品だった野口さん、今回は4点の新作をNii Fine Artsさんから出品、見事完売されました。
野口琢郎“I hide”
今年もKIAF、そしてときの忘れものでの個展がありますので、ファンの皆様は楽しみにお待ち下さい。
MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY psf/w (京都)
現代美術二等兵《がっかりトリプル 2/3ver.》
世界三大がっかり観光名物が奇跡のコラボ! これが新時代のがっかりだ! と、言わんばかりの作品。どこぞの伝承に登場しそうな風体ですが、ホテルの室内というロケーションが尚のことシュールさを醸しだしていました。ちなみにポンプを内臓しており、イメージビデオではちゃんと放水していました。
現代美術二等兵《未完の大作》
プラモ好き(ロボット物に限りますが)な自分にはやたら親近感を感じさせる作品。
かのミロのヴィーナスが、本体、両腕と、リンゴ2つの5パーツ構成のプラモデルに。ちなみに10x8cmとかなり小型です。
プラモデルというと大量生産が思い浮かびますが、こちらはなんと一品物。
アートゾーン神楽岡 (京都)
石井康博去年のART OSAKAでも紹介させていただいた作家さんです。
スイッチを入れるとフロントライトと車内に灯りがつきます。車のサイズは親指くらいしかありませんが、だからこそ小さなギミックが映える作品です。

石井康博《一人になりたかった》
こちらもある意味二段構えな作品。一見すると顔が壁に埋まっているように見える作品ですが…
…裏に回るとそこには壁から突き出した顔が。もちろん壁を突き抜いているワケではありませんが、こういったアイデアにはクスリときます。hpgrp GALLERY TOKYO (東京)
野村康生Method for "Namiura" -Wu Xing East-
MDFの上にアクリルを塗り、その上にシリコンで透明なレイヤーを作ってその上にまたアクリルを塗ってシリコンでレイヤーを…という積層構造で立体的な構図を構成している作品です。そこかしこに図形が描かれており、基となった作品が確かな法則に基づいて描かれていることを示しています。
大森暁生"Swallow in the frame"
パッと見ると額の真ん中にツバメが浮いているように見えますが、実際に存在するのは手前の半身だけで、奥側は鏡に写った鏡像です。ツバメの周りを見れば鏡がはめ込まれているのは明らかですが、ツバメに関してはそういった認識が働かない辺り、人間の認識っていい加減ですねぇ。
Gallery 工房 親 (東京)
粕谷優《ホモネアンデルターレンシスとホモサピエンス》
タイトルにもあるホモネアンデルターレンシスとホモサピエンスについて書かれているナショナルジオグラフィック誌を帯状に切り、それを丸めたロールを組み合わせてイメージを作り上げている作品。ロールの大きさや形を使いこなして、陰影だけではなく、ちゃんと造形を成しているところがスゴイです。
粕谷優《ネアンデルタール人の頭骨》
上記と同様の手法で、こちらは単行本から構成されている作品。
Gallery 工房 親 PLUS展示 (東京)
個人的に今回の展示で一番インパクトがあったと思う部屋です。今年はときの忘れものも大型作品を持ち込みましたが、こちらも天井全体を占有する巨大作品を持ち込まれていました。流石にそのまま持ち込むことはできなかったので、カンバス布は丸めて、室内で枠組を作ってカンバスを張ったとのこと。
作品が売れた時も単なる赤丸シールではなく、バラの蕾を使うなど、メルヘンな雰囲気を一貫させていました。ジルダールギャラリー (名古屋)
向井正一“ベビテクター「With ROBO」”
毎回同じフェアに出展される度に紹介させていただいている、元特撮スーツ制作者、向井正一さんの新作。
ますますロボっぽさが増して、というかロボそのものなデザインで、自分としては嬉しい限りです。
向井正一奥から“ベビテクター「トリックスター」”、“ベビテクター「ショーグン」”、“ベビテクター「トリックスター」”
設定は子供の守護者の筈なのですが…いずれ劣らぬ癖ものっぷりを感じさせます。
Gallery Aile (ソウル)
キムヨンウォン"Mountain exposure 14"
懇親会でお話した韓国の画廊の出品作です。
男としては、口にするのも気恥ずかしいランジェリー。それを分解してシルクの上に散りばめることで、ごく自然な風景画を構築しています。遠景はシルクを重ねることでパーツをぼかし、写真などを通すと下着で作られているとは思えません。


ピクチャーフォトスペース:Viewing Room (大阪)
須藤絢乃〈幻影 Gespenster〉シリーズより
実在する行方不明者に、作家自身が扮したセルフポートレイトという、かなり毛色の変わった作品群。
自分としては、左の写真と下の写真に写っているのが同一人物ということからして衝撃的です。女は化けるとは良く聞きますが、化けすぎです。

ギャラリー風 (大阪)
高田光治〈森の声を聞く〉シリーズより《船(大)》
船の形をした土台に乾燥した様々な茸と粘菌、そして米粒サイズの人型で構成された、ジオラマのような作品。聞いた所によると、茸はもう乾燥しきっているのでどうにもならないが、粘菌は水を与えられればまた活動を開始するだろうとのこと。生命力(?)強いんですねぇ。
万画廊 (東京)
吉島信広《獅子王》
デザインといい、質感といい、まるで絵本から抜け出してきたような作品です。作品の背景を聞かなかったことが悔やまれます。
吉島信広《午》(干支シリーズ)
以下二点は顔のみが額装された、別個のシリーズから。
いずれもコミカルながら、なにかしら恐ろしげな雰囲気があります。
吉島信広《猿》(箱シリーズ)
今回も自分の偏り甚だしいセレクションにお付き合いいただきありがとうございました。
楽しんでいただけたなら幸いです。
(しんざわゆう)
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